完全自動でアシックスジャパンの不正取引とかご落ちを改善【アシックスジャパン・Forter セミナーレポート】

ECのミカタ編集部 [PR]

増加する不正取引を防ぐために3Dセキュアを導入するが、かご落ちなどによる機会損失に悩む事業者は多い。2025年3月にはEMV 3-Dセキュア(3Dセキュア2.0)の導入が原則義務化されるため、事業者はかご落ちの対策にも取り組む必要がある。

今回はECのミカタが主催した「EC事業者向けの総合セキュリティカンファレンス2024」から、Forterの不正対策ソリューションによってチャージバックとかご落ちが大幅に改善したアシックスジャパン株式会社のDTC統括部 デジタルコマース部 部長 大和田岳史氏と、Forter Japan シニア アカウント エグゼクティブ 野口雄作氏のセミナーの模様をレポートする。

Forterに問い合せる

不正取引は瞬く間に件数が増加する

ランニングシューズにおいて業界を牽引するアシックスジャパン株式会社(以下、アシックス)は、小売店への卸販売だけでなく顧客との接点を大切にするためにDtoCを強化し、2018年にECサイトを刷新した。以降の6年間でECサイトの売上は右肩上がりに成長し、2024年には7~8倍の伸長を見せている。

しかし、ECの売上増加とともにチャージバックの件数も増加した。「一度、穴を見つけられてしまうと不正取引は瞬間的に増加します。私たちはシステムのリニューアルと3Dセキュアの設定の変更の際に被害に遭ってしまいました」(大和田氏)。

AIを活用すれば、不正対策にかかる人的工数をゼロにできる

AIを活用すれば、不正対策にかかる人的工数をゼロにできる画像はカンファレンス登壇資料より

増大するチャージバックを防ぐために、アシックスは不正対策ツールを導入した。ツールの導入前はグローバルで統一したルールベース型のシステムを使っており、「ルールの中でもこの条件は強めよう」「このドメインは制御しよう」など試行錯誤をしていた。3Dセキュアは、かご落ちのリスクがあるためできるだけ避け、部分的に使用していたそうだ。「これだけではうまくいかず、私たちは持ち回りで大画面に映し出される注文データに人が張り付きながら、定めた条件に該当する注文を弾いていました。人の目で弾けるものには限界がありますし、ストレスもたまってモチベーションが落ちてしまう状況に陥っていました」(大和田氏)。

そこでアシックスは「目視での人的工数をゼロに」「3Dセキュアかご落ちを最小限に」「チャージバック率を大幅改善」の3つを目指すべき姿として定めた。ソリューションを検討する際は5社から提案を受けたが、約8カ月と10ケース以上の詳細なシミュレーションを経て、最終的にAI機械学習型であるForterのサービスを導入した。「AIの機械学習型であれば、人的工数やルールの設定が必要ありません。1カ月半ほどのテスト運用で課題を解決できると判断し、利用を開始しました」(大和田氏)。

チャージバックは0.3%→0.02%、かご落ちは4.1%→0.7%に減少

Forterのサービスを導入した結果、アシックスでは大きな効果が得られた。チャージバックは0.3%から0.02%に減少し、3Dセキュアの利用率が25%から4%に下がった中でかご落ちは4.1%から0.7%にまで減少した。「業務的な観点でも人的工数がゼロになり、ルール設定にかけるメンテナンス工数もゼロになりました。システムのリニューアルがある際は設定の調整と確認が必要ですが、日常のオペレーションではダッシュボードを安心して見ているような状況です。また、決済ができないといったお客様からの問い合わせに対応するカスタマーサポートもスリム化に成功しており、コスト削減にもつながっています」(大和田氏)。

今後はForterのサービスの適用範囲を拡大し、転売ヤー対策やクーポンの不正利用対策にも活用する予定だ。

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膨大な情報をもとに精度の高い判定を実現

では、なぜForterのサービスはアシックスの課題解決に貢献できたのだろうか。Forterは不正対策ソリューションのサードパーティのベンダーとして世界最大級の取扱金額を誇っている。2023年には、年間で約61兆円の取引を判定した。「日本のBtoCの取引が年間20兆円強と言われており、Forterは3倍もの取引をしています。そのため、不正者の情報や新しい手口などを熟知しています」(野口氏)。

Forterが精度高く取引を判定できる理由として、野口氏は以下の3点を挙げた。

1. 偽装が難しい情報を含め、多数のパラメータを判定に利用
2. 全てのパラメータを組み合わせて、個人(=アイデンティティ)を特定。
  特許取得(Probabilistic Linking=確率的な紐付け )
3. ネットワーク効果

Forterでは偽装が簡単な情報だけではなく「訪問したページ」「VPNやProxyの情報」「実際のロケーション」など、偽装が難しいまたは痕跡の残る情報を確認している。集まった情報からForterが特許を取得している確率的な紐付けを行い、個人を特定していく。

個人を特定した後、Forterのネットワーク内で評判の確認が行われる。事業者にとって新規のユーザーであっても、他の事業者では既存のユーザーである可能性が高いからだ。Forterのネットワークに加盟できれば、多数のアイデンティティから過去に不正がないかどうかを調べられるため、高い精度での判定が可能となっている。

3Dセキュアの原則義務化に伴い、事業者と3Dセキュアの共存は必須

Forterが提供するソリューション範囲は「アカウント保護」「不正取引の防止」「承認率の最適化」「チャージバックリカバリー」「転売・返品など」と幅広く、カスタマージャーニーにおいて、あらゆる不正や乱用を目視することなく防げる。アシックスは「不正取引の防止」「承認率の最適化」「転売・返品など」のソリューションを利用し、チャージバックとかご落ちが改善した。

また、2025年3月末にはEMV 3-Dセキュアの導入が義務化されるため、事業者はこれと共存しなくてはならない。Forterでは、明らかな不正は事前にブロックし、リスクに応じて3Dセキュアの実施の有無を判定する。その結果、従来は3Dセキュアによるかご落ちが18%だったアシックスは、部分的に3Dセキュアを利用することで1.2%にまで減少した。

画像はカンファレンス登壇資料より

「両シナリオを比べてみると、Forterと3Dセキュアを組み合わせた方が、圧倒的にコンバージョンは改善できるとわかります。これが、我々が考える3Dセキュアとの共存です」(野口氏)。

精度高く判定できるForterでは、コンバージョン改善とチャージバック損失について契約で保証(補填)している。3Dセキュアの原則義務化が迫る中、かご落ちなどによる損失を逃さないためにも、事業者は共存する体制を整えなくてはならない。

大和田岳史(おおわだ たけし)
アシックスジャパン株式会社 DTC統括部 デジタルコマース部 部長

2018年10月より、現行のブランド公式サイト アシックスオンラインストアの開設、会員プログラムOneASICS立ち上げなどデジタル戦略立案・実行に従事。現在マーケットプレイスを含めたDTCのEコマース事業を統括。好きなシューズはMAGICSPEEDとGEL-Trabuco。

野口雄作(のぐち ゆうさく)
Forter Japan シニア アカウント エグゼクティブ

2000年にリクルートの関連会社に東京営業所の立ち上げメンバーとして入社。2011年にDeNAに入社。事業開発部の立ち上げメンバーとして、ビジネススキームの構築、ゲーム会社や出版社とのアライアンスを担当。2015年にPayPalに入社。新規営業チームを管掌し、大手ゲーム会社や動画配信サービス等大手加盟店の獲得に貢献。2021年にフォーターの日本チームの第2号社員として入社し、営業全般を担当。

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