
UGCのパイオニアがUGC元年を振り返る! ECを成功に導くレビュー・SNSのUGC徹底活用方法【コマースフォース セミナーレポート】
EC市場の競争が激化する中、顧客のリアルな声であるUGC(User Generated Content)の活用は、売上を大きく左右する要素。では事業者がUGCを効率的に運用し、自社の成長に結びつけるには、どんな点に注意を払うべきなのだろうか。
今回は2024年12月に開催されたECのミカタカンファレンスから、UGC活用ツール「UGCクリエイティブ」を提供する株式会社コマースフォースの代表取締役社長 小野瀬冬海氏によるセミナー「EC成功に導くレビュー・SNSのUGC徹底活用方法」をレポートする。
UGCを制するものがECを制する
小野瀬氏はまずUGCの基本的な捉え方を紹介しつつ、EC運営においてUGCの有無が決定的な差を生むことを解説した。
「UGCは一言で言うと『一般ユーザーによって作られたコンテンツ』のことで、企業発信の口コミはUGCとは言いません。具体的には、実際の消費者によるInstagramやTikTokの投稿、@cosmeの口コミ、Amazonや楽天、食べログ、ホットペッパービューティーなどのレビューといったものがUGCに該当します。
では、UGCはなぜECにおいて重要なのかと言えば、それは『決定的な差別化になる』からです。現在ネット上にはモノやサービス、情報があふれ、ヒット商品はすぐに模倣されるような状況で、(他社との)差別化が難しくなっています。そのため、どうしても『広告費』勝負になりがちですが、広告費を潤沢に使える会社ならまだしも、限られた広告予算の中で最大のリターンを出さなければならない通販会社様、EC事業者様がほとんどだと思います。
そこで大事なのは、かけた広告費に対してしっかり効果が出る仕組みと、コンバージョン率を高めていく仕組み作りで、その鍵を握るのがUGCです。UGCがある状態で広告を運用するのと、そうでない場合とでは、広告の費用対効果(ROAS)が圧倒的に変わってきます。
UGCは本物の消費者の声ですから、マネしようがありません。ですから、UGCという顧客の声を資産としてしっかりと使っていくこと、つまりUGCを制する者が結果的にECを制すると言っても過言ではありません」 (小野瀬氏)。
画像提供:株式会社コマースフォース(カンファレンス登壇資料より)
消費者の「信頼」を勝ち取るためのUGC
続いて小野瀬氏は、UGCが商品への信頼感を高め、ユーザーの購買行動につながることを紹介した。
「消費者がネットで商品を購入するときに最も重視するのは『信頼』と『安心』。直接接客を受けることができないECでは、低価格や高機能、見た目よりも、『信頼できる』『安心できる』かが重要で、これが担保されていないとすぐにサイトから離脱されてしまいます。その信用を獲得するために、口コミ(UGC)が大事なのです。
ではどのような口コミを集めれば『信用』を担保できるのか。それは「ポジティブなレビュー」「ユーザーによる写真」「ユーザーによる動画」の3つです。インフルエンサーや企業アカウントからの情報発信も大切ですが、顧客発信の口コミのほうが信用、参考にされています。
施策として取り組む順番も大事で、口コミをためていない状態で広告を打っても売れるわけがありません。Amazonや楽天を思い浮かべてほしいのですが、ユーザーはレビューが1件もない商品を買うでしょうか? 反対にまったく無名の商品でも、高評価のレビューがたくさんあれば安心、信用してもらえます。そういう状態で広告費をかけたほうが費用対効果は上がります。そしてECモールと同じように自社サイトでもレビューを活用することが重要であるということも、強調したいポイントです」(小野瀬氏)。
UGC活用の間違いと、売上を最大化する活用術
口コミの重要性を把握し、レビュー・Instagram・TikTokといったUGCを集めることができたら、次のステップはいよいよそれを「どのように活用するか」だ。小野瀬氏は【UGC活用の間違い】をあげながら、売上向上につなげるノウハウを紹介した。
数値分析に基づいた運用
UGCを掲載するだけでなく、どのUGCが効果(CV)につながっているのかを、数字で証明しないと意味はありません。どのUGCが何回クリックされ、どれくらい読まれているか、再生されているか、効果につながっているのかをABテストなどを繰り返しながら分析し、その結果を基にUGCを入れ替えたり、新たに増やしたりといったことを高速で行って売上につなげるのが、正しいUGCの活用方法です。
画像提供:株式会社コマースフォース(カンファレンス登壇資料より)
サイト内完結
自社サイトのUGCをユーザーがクリックした際に、Instagramなどの外部サイトに遷移させるのは、せっかく集客した顧客を逃すことになってしまいます。UGCをクリックしたらポップアップで投稿の全文が読めるようにするなど、自社サイト内で情報を表示するようにしましょう。
運用型のUGC活用
リアルタイムでデザインを変えられないのも問題です。タグ設置のみでUGCを好きなページに掲載でき、デザイナーや制作会社を通さずにデザインを修正したりUGCの入れ替えができたりするツールを使うべきです。また『なんとなくUGCを生成しているだけ』では不十分で、分析に基づき効果の高いUGCを効率的に生成することが大事です。
自社ECでのレビュー活用/専用ツールの導入
モールにおけるレビューの重要性は認識していても、自社サイトで活用していない通販企業様は多いです。モールでレビューをためるのは非常に大切ですが、それだけではプラットフォーム依存になってしまい危険です。直接フィードバックいただいたお客様とコミュニケーションをとることはモールではできませんが、自社サイトなら可能。自社サイトでしっかりとレビューを集めていくことは、これからの時代必須になってくると思います。
最後に、レビューの収集・分析には、それに特化した専用ツールを導入すべきです。カートに付いている簡易的なレビュー機能だけでは正しい使い方ができず、効果が出ないということになりかねません」(小野瀬氏)。
成功事例から学ぶUGC活用のヒント
セミナーの締めくくりとして、小野瀬氏はコマースフォースが提供する「UGCクリエイティブ」を活用して成功を収めている企業事例を紹介した。
画像提供:株式会社コマースフォース(カンファレンス登壇資料より)
「認知・集客・クリック率の向上させるためのUGC、アップセルやクロスセルを促進するUGCなど、目的に合わせてUGCをうまく使い分けることが重要です。
『UGCクリエイティブ』では(2022年から)国内で初めて『TikTokのUGC活用機能』を提供しているのですが、ヘアケアブランドのKINUJO様ではかなり早い段階で同ツールを導入し、広告費を本格投入する前からUGCに注力することで大きな成功を収めています。KINUJO様はUGCをしっかり集めてランディングページなどに掲載してから、広告費を一気に投入して爆発的なヒットにつなげました。信頼・信用と口コミの重要性を理解し、正しい順番で施策を実行された成功好例と言えるでしょう」(小野瀬氏)。
“集めて終わり”でなく、正しい分析に基づいてこまかな効果検証を行い、スピーディーにサイト改善の施策を回し続けてこそ、UGCは戦略的資産となる。ECビジネスを成功に導くUGCの可能性を示すセミナーとなった。