Yahoo!ショッピングが「安全・安心への取り組みレポート」2025年上半期版を公開
LINEヤフー株式会社(以下、LINEヤフー)が運営するYahoo!ショッピングは2025年8月19日、安全・安心への取り組みと実績をまとめた「安全・安心への取り組みレポート」(以下、本レポート)の2025年上半期版を公開した。このレポートの公開は2025年3月の2024年下半期版に続く3度目となる。
本レポートでは不適切な商品やストアを排除する取り組みや、LINEヤフーが目指す「取引トラブル0」に向けての近年の取り組みが紹介された。
出店前後の審査を厳格化して悪質ストアを排除
「Yahoo!ショッピング」は2024年から出店審査の厳格化を進めている。出店審査の合格率は2023年上半期の25.2%から2024年上半期11.2%、2025年上半期4.2%と下降した。この出店審査に合格したストアのみが、適正なストアを準備できていることを確認する開店審査に進める。
2024年からLINEヤフーは出店審査時点で在庫証明審査、携帯電話・フリーメールアドレスを利用した申し込みの禁止などを開始。不審なストアの登録を未然に防ぐ取り組みを進めている。
出典:LINEヤフー株式会社「安全・安心への取り組みレポート」発表会投影資料
また、出店後の監視や審査も強化している。2024年10月からは未審査状態の個人事業主ストアへの休店措置、無在庫転売に関するフォームの設置、在庫証明依頼などを通して、ガイドライン違反のストアを取り締まり始めた。これにより、ガイドライン違反による休店や退店措置となったストア数は2023年から約半減している。
成果についてLINEヤフーは「消費者から聞こえる偽造品、模倣品、偽物、無在庫転売の声は減少している。ストアからも転売についてのクレームが減少し、評価が高くなっていると受け止めている」と説明した。
2025年4月からはAIによる商品パトロールが始まり、過去取引データを学習したAIが検知した違反は3倍以上に向上したという。Nintendo Switch 2や政府備蓄米といった注目度の高い商品に対しては個別対応を取ることで、公正な取引環境の構築に取り組んでいる。
健康に影響のある商品、ブランド品、偽造品の多い商品も審査が必要な特定商材に指定されており、2025年6月からは新たに偽造品の多い浄水カートリッジが取り扱い審査の必要な商品に指定された。
ブランド審査の強化も並行して進められており、未審査ストアの商品削除数は2023年上半期の1750件から2024年上半期2292件、2025年上半期3438件と上昇している。知的財産権保護プログラムの簡略化によって、権利侵害が疑われる商品の申告は、2023年上半期に比べて4分の1以下に減少したという。
出典:LINEヤフー株式会社「安全・安心への取り組みレポート」発表会投影資料
システム化×人力の不正検知で被害発生金額は4割減
2025年2月よりLINEヤフーはストアの評価を不正に操作する目的で投稿される「やらせレビュー」の自動削除を開始した。日次でレビューを自動判定し、疑われる該当者のレビューを削除している。2025年6月からは商品レビューに対しても同様の措置が講じられるようになり、2025年上半期のうちに1123ストアで45万2701件のレビューを削除した。
質疑応答では「『やらせレビュー』の件数は増加しており、特定のストアや商品に連続して投稿される動きが増えている」と、レビューの取り締まりが必要な現在の市場環境が語られた。
出典:LINEヤフー株式会社「安全・安心への取り組みレポート」発表会投影資料
もう一点、LINEヤフーが注力するのが不正決済対策だ。自社開発の不正検知システム、EMV 3Dセキュア、24時間稼働での人力判定を組み合わせた仕組みによって、被害発生金額は2024年上半期から2025年上半期で41.2%減少した。
今後はストアの厳選、不適切なストアや商品の排除、不正行為の防止に加えて新たな取り組みを行うことで、取引トラブル0を目指すという。LINEヤフーはAIを活用して優良ストアや優良配送の不正獲得防止、不正決済の自動審査など、取り組みの自動化を目指している。
不正の手段は巧妙化、高速化を繰り返しており、ECモールはユーザーと事業者が安心して取引できる場を提供するために、常に最新の対策を迫られている。2025年上半期を振り返ってのLINEヤフーの自己評価は80点。「最低限やれることはやっているが、一部進捗が遅れている」と開発を進める必要性を語った。不要な損害を被らずに健全な売上成長を目指す事業者としては、各モールの不正対策にはアンテナを高く持っておきたい。