マクアケに新ガジェットを投入する事業者の出品ミッションとは? 【体験会レポート】

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大矢根 翼

株式会社マクアケ(以下、マクアケ)は2025年9月25日、応援購入サービス「Makuake」に出品中、または出品予定のガジェット・家電を紹介する体験会を開催した。

消費者が新しい商品やサービスを応援の気持ちを込めて先行購入できる「Makuake」は、ガジェット領域に強みを持つプラットフォームだ。今回の体験会ではマクアケ 第二キュレーション局 局長 纐纈建人氏が登壇し、「Makuake」のビジネスモデルやミッションなどを解説。続いてプロジェクトに挑戦する各社から新商材の強みや、「Makuake」に出品する意義などが語られた。

マクアケの事業はオンラインからオフラインまで拡大中

毎日20~30件の新しいプロジェクトが始まっているという「Makuake」には豊富なプロジェクトデータが蓄積されており、こうしたデータはマクアケも参画して2025年7月に開業したデジタルバンク事業「01Bank」における融資判断としても活用されているという(※1)。

※1:「01Bank」は01銀行株式会社が提供する事業者向けデジタルバンク事業で、マクアケはプラットフォーマー第一号として参画(写真は7月に開催された「01Bank」の記者発表会より)

また、纐纈氏は日本進出を目指す中国の事業者に向けた説明会を杭州で開催した際には77社が参加したことに触れ、「これからも、面白いガジェットや家電がMakuakeに登場してくると思いますので、ぜひご期待ください」と語った。

さらに纐纈氏は「Makuake」のビジネスモデルが、業者に資金調達の場を提供するだけでなく、「プラン → デビュー → グロース」のサイクルでプロジェクト実行者(事業者)の継続的な成長をサポートするものであることを紹介。2000万円の応援購入を獲得した商品を例に挙げ、「プロジェクト実施前のリサーチ段階から、応援購入による資金調達、そして販売後のサポートまで一連の流れで支援を行っています」と長期的なサポートを強調した。

事業者向けにはオフラインイベントも開催しており、7月には「マクアケ CHALLENGER’S MEET UP 2025」を開催。300名の参加者を集め、事業者間での交流や新規プロジェクトも始動したという。

画像:「Makuake 家電・ガジェットジャンル体験会」資料より

独自性の高い商品を目立たせる狙いのMakuake出品

今回の体験会にはさまざまな機能をもつ、13の商品が並んだ。その中からいくつかをピックアップして紹介しよう。

株式会社フリックフィットは、体調や姿勢などがスマートフォンアプリで管理できるスマートソール「ardi(アルディ)」を販売している。同商品は「Makuake」上で2025年10月21日までに1500万円を超える応援購入を達成している。

「ardi」はユーザーの動きをデータベース化して蓄積しており、事業責任者の山本健夫氏は「姿勢を気にする女性層や運動する方、高齢者など、それぞれに適したアプリケーション開発を進めています」と語る。なお、デイサービスで「ardi」を用いた実証実験も行っているという。

「ardi」は独自性の高い商品なだけに、一般的な流通経路で認知を獲得することが難しい。フリックフィットでは応援購入を通してガジェットに対するアンテナの高い「Makuake」ユーザーとの接点を作ることを目指している。

◎画像:「Makuake 家電・ガジェットジャンル体験会」資料より
◎参考:「ardi」プロジェクトページ(Makuake内)

近い目的で出品している事業者がiFLYTEK JAPAN AI SOLUTIONS株式会社だ。同社は新商品の「AINOTE 2」を「Makuake」に出品した。ペンタブなどの大手メーカーWacomと技術提携して開発された「AINOTE 2」は大型化、従来商品に比べて多機能化が進んでおり、ChatGPTによる要約も無制限に利用できる。

同社 営業部長の亀田佳生氏は「家電量販店ではどの売り場に置けばよいのかわかりにくく、ユーザーの皆さまも探しにくいというのが実情です」と販路の課題を説明。ガジェットという大きなくくりで魅力的な新商品を探しているユーザーが多い「Makuake」は、「AINOTE 2」を世に送り出す場所として適しているという。

◎参考:「AINOTE 2」プロジェクトページ(Makuake内)

コミュニケーションの場としてのクラウドファンディング

高圧洗浄機などの大手ケルヒャージャパン株式会社は、「Makuake」にスチームクリーナーの「ケルヒャー SC1」を送り込んだ。ノズルの付け替えで風呂場や床など、家じゅうの汚れを落とせる上に、手軽に使えるコンパクトさをアピールしている。

キャッチコピーは「ズボラの奥義、なんでもスチーム!」。同社 マーケティング&プロダクト本部 家庭用プロダクト本部 部長の東郷みぎわ氏は、従来の顧客とは異なる客層を狙って開発された商品だと語る。

「これまでは掃除好きやきれい好きの方をターゲットにしていましたが、あえて今回は 『掃除が苦手』『やらなきゃと思いつつやれてない』ような方に向けて作りました」(東郷氏)

商品自体は完成しているため、「Makuake」にはプリセールという形式で出品し、マーケティングのテストを行った。東郷氏はいわゆる「綺麗好き」ではないユーザーからのフィードバックなどを集める中で、「新しいユーザー層へのアプローチ方法や、どんなコミュニケーションが響くのかをテストしています」と語った。

◎画像:「Makuake 家電・ガジェットジャンル体験会」資料より
◎参考:「ケルヒャー SC1」プロジェクトページ(Makuake内)

この他にも、体験会にはフィルム撮影の風合いをボディ内でエミュレートするカメラや、自動フィット機能を備えた電動ワークチェア(下写真)など、ユニークなガジェットが並んだ。

電動ワークチェア「LiberNovo Omni」
◎参考:「LiberNovo Omni」プロジェクトページ(Makuake内)

いずれのガジェット・家電も「量販店に並んでいると素通りされてしまうかもしれないが、ワクワクする商品を探している『Makuake』ユーザーの目は強くひきつける」商品ばかりだ。

クラウドファンディングの活用方法は、ますます多様化している。EC事業においても、資金調達手段と決めつけず、ターゲットリーチやテストマーケティングなど、さまざまな事業フェーズで候補に含めると、検討の幅は広がるだろう。

※本記事で紹介したプロジェクトには、すでに終了しているものもある


記者プロフィール

大矢根 翼

2018年法政大学卒業後、自動車部品メーカーに就職。
ブログ趣味が高じてライターに転身し、モータースポーツメディア『&Race』を副編集長として運営。
オウンドメディアの運営、記事制作など、複数ジャンルで記事制作をメインに活動している。

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