【書評】ほとんどのEC店舗に共通して必要な「成功の要素」とは
ECの市場は好調に伸び続けています。しかし、その一方で、競争の激化により、撤退を余儀なくされるネットショップも少なくありません。販促の手法もますます複雑化し、ノウハウなどの情報が溢れているため、どの情報を活用すればいいのか混乱してしまっている方も多いのではないでしょうか。
そこで、ネットショップの売上アップ法を体系立て、一冊の本にまとめたものが「売れるネットショップ開業・運営」(以下、本書)です。
ここでは、特にネットショップを運営する方には読んでいただきたいと強く感じた「店舗のコンセプト」に関わる部分をご紹介したいと思います。
売れるネットショップ開業・運営
一口にネットショップといえども、置かれている状況や必要な施策は店舗によって様々です。一般的な運営ノウハウに手当たり次第に取り組むのではなく、自店の状況を正しく把握し、施策を打つことが売上アップにつながります。本書では全5章・100の法則が紹介されています。
—「売れるネットショップ開業・運営」目次—
第1章:空回りしないためのネットショップの基本の法則
第2章:商品タイプを踏まえた集客の法則
第3章:店舗コンセプトを活かした接客の法則
第4章:「長く売れる」ための追客の法則
第5章:成長段階別・運営実務の法則
「店舗のコンセプト」づくり
100の法則の中の1つ「店舗のコンセプト作り」についてご紹介します。
ECサイトに訪れた見込み客が、商品を購入するか否かを決める要因となるのが「店舗のコンセプト」です。ユーザーは様々なネットショップをぱっと見て、どこで何を購入するかを決断しています。ECサイトの魅力をしっかりと伝えるために意識すべきポイントとして、次の4つがあります。
1、自店舗の強みを分析し、店舗コンセプトを考える
ほとんどのユーザーが一度にたくさんのネットショップを見比べるため、店の強みは「一瞬で」伝える必要があります。店舗ページを開いた瞬間に強みを伝えられるよう「強みを表すキャッチフレーズ」を載せておくとよいでしょう。
2、客層をイメージしてキャッチコピー作る
キャッチフレーズを考える際にポイントになるのが「客層をイメージすること」です。自店舗に訪れたお客様が「商品を買った」としたら、それは「どんな動機」だったかといった形で、客層は、年齢や性別だけではなく、深く踏み込んで想定する必要があります。
3、店舗コンセプトをデザインに反映させる
店舗のコンセプトを伝えるには、キャッチコピーだけではなく、サイトのデザインにもこだわるべきでしょう。ただ美しければいいというものではなく、商品の雰囲気に合ったデザインが適切です。
実店舗の接客に置き換えて考えるとわかりやすく、高級宝石店で「今日はいい指輪が入ってるよぉ」と気さくな接客されたり、下町の居酒屋でうやうやしく「お客様、こちらは上質なホッピーでございます。」と接客されても困ってしまいます。ECサイトのデザインは、自店の商品、コンセプトに合うものを用いると効果的です。
4、店舗紹介ページで安心感とコンセプトを伝える
デザインが完成したら、次に考えなければならないのが、「店舗紹介ページ」です。売り手の顔が見えないネットショッピングでは不安が伴います。実際、購入前に会社案内や店舗紹介のページを確認するユーザーは多いと言われています。
店舗紹介ページで熱心さや安心感を伝えることは非常に大切です。スタッフや店の写真とともにコンセプトを伝えると、より安心感を与えることができるでしょう。スーパーマーケットの青果コーナーで、生産者の顔写真つきのものが置いてあると、写真がないものに比べ安心感があるのと同じです。
サイトの立ち上げから運営までを網羅
本書では、例に挙げた店作りのコンセプトをはじめとする具体的な施策に加え、長期的な目線で、そのように運営すれば成功するのかについても解説させています。これからネットショップを始める方や、売り上げが思うように伸びずに困っている方には、大きな支えとなるでしょう。
施策がうまくいっているという方にも、最終章で紹介されている「ネットショップの成長段階に応じて発生する課題と、フェーズ毎に店舗が行うべき施策」は、将来起こりうる課題への対策を知るための教材として、活用いただけることと思います。