エンタメEC 2024年上半期最新事情 第三回 アニメ×越境EC最前線「世界に浸透するアニメ文化」

BEENOS株式会社

前回は日本音楽ジャンルについてBEENOSグループの海外ユーザー向け購入サポートサービス「Buyee」の購買データを元にした越境ECランキングデータをご紹介しました。第三回となる今回は成長を続けるアニメ市場にフォーカスし、「Buyee」の上半期のランキングデータとともに海外のアニメの浸透度とアニメ商品の需要について解説します。

国内と同規模に拡大する海外アニメ市場

日本動画協会「アニメ産業レポート2023」によると2022年時点でアニメ関連市場規模は過去最高の2兆9277億円を記録しており、そのうち海外市場が1兆4,592億とアニメ市場の拡大をけん引しています。アニメ市場は動画配信サービスの普及を受けて世界市場で成長を続けており、関連する商品への需要も高まっています。
BEENOSグループが2024年3月に発表した越境ECを利用する海外アニメファン807名に聞いた「日本のアニメ受容とグッズ購入」に関するアンケート調査では「アニメを見ることの位置づけ」については「アニメ好きな特定の人の趣味であるが、アニメ好きを公言することに抵抗はない」が最も多く36%という結果となり、そのほかのアニメ視聴が身近であるという回答は合計すると71%と高い割合を示し、海外でもアニメ視聴が一般に定着していることがわかっています。

「Buyee」2024年上半期は、アニメ・コミックグッズカテゴリが最も伸長

「Buyee」2024年上半期は、アニメ・コミックグッズカテゴリが最も伸長

BEENOSグループが提供する海外向け購入サポートサービス「Buyee」における上半期を対象とした伸長カテゴリランキングではアニメ・コミックグッズが1位を獲得したほか、2位のトレーディングカード、4位のフィギュアなどアニメ関連商品が多数伸長しました。また、2024年の上半期の購入件数を対象としたカテゴリランキングでも1位にトレーディングカード、2位におもちゃホビー、4位アニメ・コミックグッズ、6位にフィギュアとアニメ関連商品がランクインしました。Buyeeにおいてアニメグッズの購買は成長を続けており、購入件数の推移では2021年上半期と比較として2024上半期では3.3倍にまで成長しています。越境ECにおいて、アニメ関連商品は今後も購買が拡大していくと考えられます。

フィギュアだけじゃない 海外ユーザーによるアニメグッズの最新購買事情

フィギュアだけじゃない 海外ユーザーによるアニメグッズの最新購買事情

「Buyee」においてアニメジャンルの定番人気となっているフィギュアは堅調に購買が伸長していますが、アクリルスタンドやキーホルダー、缶バッジなどのフィギュア以外のアニメグッズも2021年上半期と比較すると約4.5倍に拡大しました。購買拡大の背景にはアニメ視聴を通じて気軽にグッズ購入を楽しむライトユーザー層が増大したことが関連し、アニメ視聴が一般化する中でフィギュアなどと比較して手に取りやすい価格帯の商品を購入するライトユーザー層がアニメグッズの購買数を押し上げていると予想できます。フィギュアを除いたアニメグッズ購買のメインユーザー層は1位が北米、2位に東アジア、3位がヨーロッパとなっており、各エリアの年齢層は20代、30代が中心となっています。ユーザー層としては特に20代の女性を中心に購買が伸びており、購入エリアはアニメ文化が浸透しているアジア圏だけでなく、北米、ヨーロッパが中心となっておりアニメ文化の浸透が海外に広がっていることがわかります。

海外市場に伝播する「推し活」文化

海外市場に伝播する「推し活」文化

アニメ文化と合わせてぬいぐるみやアクリルスタンド、缶バッジなどを専用のポーチやバッグと一緒に携帯して写真撮影などを楽しむ「推し活」はアニメグッズ市場においても外せない要素として成長しています。日本ではこうした推し活に関連した商品はECだけでなく、アニメ専門店ではない店舗でも全国で気軽に手に取ることが出来る環境がありますが、特に北米圏やヨーロッパ圏ではアニメ専門店の数は日本と比較しても少なく、推し活商品を手にできる環境が身近にはない状態です。しかし、動画配信サービスの普及によって飛躍的にアニメ視聴者層が拡大し、アニメグッズの購買、ひいてはSNSなどを通じた推し活への関心も世界で広まりつつあります。Buyeeにおいても痛バッグやうちわ、ぬいぐるみやトレーディングカードを収納するクリアポーチなど、推し活で使用される商品カテゴリの購買が伸長してきています。推し活関連商品の購買層は日本市場と同様に女性が86%と大半を占めており、購買数は2023年上半期比で1.4倍に成長しています。購入国はアメリカが1位となっており、2位以降はアジア圏の各国が追随しています。
購買のメインユーザー層は20代が約65%を占め、次に30代が21.9%と若年層が中心となっています。こうしたライトユーザー層は購買力の強いコアユーザーへの成長も期待でき、アニメ関連商品の市場はさらに拡大していくと考えられます。

2024年上半期放送アニメ 海外でグッズが人気の作品ランキング

2024年上半期放送アニメ 海外でグッズが人気の作品ランキング

Buyeeにおける2024年上半期に放送を開始したアニメを対象としたランキングでは1位に1期放送以来世界的な人気を誇り、今年2月には140以上の国と地域の映画館でワールドツアーを実施した「鬼滅の刃 柱稽古編」がランクインしました。ランキングにはアプリゲーム発アニメとして2位に「あんさんぶるスターズ!! 追憶セレクション『チェックメイト』」、7位に「ブルーアーカイブ The Animation」がランクインしたほか、「鬼滅の刃」と同じく週刊少年ジャンプ発作品としては3位に「僕のヒーローアカデミア 第7期」、「聖闘士星矢: Knights of the Zodiac バトル・サンクチュアリ Part2」がランクインしました。ランクインした作品は10作品中7作品がシリーズ作品となっており、長期にわたって高い人気を誇っている作品がランキングの大部分を占めましたが、「WIND BREAKER」や「ダンジョン飯」などもアニメ化を機会に関連商品の購買数が成長しています。

世界では動画配信サービスの普及を受けてアニメ視聴層が拡大しています。それに伴い、グッズ購入層にも変化が見受けられ、低単価で手に取りやすいアニメグッズを気軽に購入するライトユーザー層が徐々に形成されつつあります。今後、ライトユーザー層が更に購買力の高いコアユーザー層に成長する可能性も秘めており、市場は更に発展していくと見込まれます。一方、海外市場ではグッズの流通量や新商品の情報が日本ほどは充分ではありません。日本のコンテンツの躍進に伴い、ファンに商品を届けるためにも販路の獲得やさまざまなチャネルでの商品流通が求められていると考えられます。


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BEENOS株式会社

BEENOSグループは越境EC黎明期である2008年より海外転送サービスである「転送コム」事業を開始し、海外発送オペレーションやグローバルなカスタマーサポートなど独自のノウハウを培ってまいりました。海外への販売環境の構築に留まらずお客様の獲得や集客支援も提供しており、手厚い海外販売支援が評価され、BEENOSグループ全体での国内企業の越境EC支援実績は累計5,000件以上(※1)に上ります。また、海外購入サポートサービス「Buyee(バイイー https://buyee.jp/ )」は、多様な配送手段や決済手段、北米やヨーロッパ、アジアへ向けた独自の物流サービスによる国際配送料の安さ、複数のサイトで購入した商品でも同梱できることなど高いサービスレベルが好評で、リピート率も高く、現在会員数は550万人以上となりました(※2)。

(※1)BEENOSグループが提供する「Buyee」「Buyee Connect」およびダッシュボードの提供、越境EC関連サービス「転送コム(https://www.tenso.com/)」、海外マーケットプレイスへの出店および出品サポート、マーケティングおよびプロモーション支援の件数を合わせた数字、BEENOSグループとしての国内企業の越境EC支援実績の累計、2023年10月時点
(※2)「Buyee」と越境EC関連サービス「転送コム」を合わせた数字、2024年7月末時点

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