失敗から学べ!単品通販・D2Cの広告クリエイティブの“しくじり”例
こんにちは。売れるネット広告社 代表取締役社長 CEO 加藤公一レオです。
すでに20年以上広告業界に身を置いている私は、大小あらゆる単品通販・D2C会社の広告のコンサルティングを行ってきた。
私が代表を務める『売れるネット広告社』では、クライアントから膨大な広告費をお預かりして、“1000回以上”の【A/Bテスト】を繰り返している。
したがって「こうすれば広告の費用対効果が上がる」という成功ノウハウを知っているかわりに、「これをやると大失敗する」という“しくじり例”も誰よりもわかっていると思う。
経験上、世の中で流行っている施策でも、“売れるノウハウ”的には逆効果になっている場合も案外多い。
そこで、「失敗から学べ!」という意味を込めて、私が実際に目の当たりにした単品通販・D2Cの広告クリエイティブの“しくじり例”をご紹介しよう。
しくじり例①:レスポンシブランディングページでコンバージョン率低下
<0勝10敗>
最初の“しくじり”は、「レスポンシブランディングページ」である!最近はEC利用におけるスマホ比率が増えており、ランディングページをレスポンシブデザインにしている単品通販・D2C会社も多い。
「レスポンシブランディングページ」とは、PC・スマホ・タブレットなど、デバイスごとに異なる表示領域に合わせて、自動でサイズやレイアウトを調整して表示するランディングページのことである。デバイスごとにクリエイティブを制作する手間が省けるレスポンシブデザインはとても便利に思えるが、“自動調整”にはどうしても限界がある。
レスポンシブランディングページを採用している単品通販・D2C会社のほとんどは、スマホユーザーの使いやすさを優先したデザインにしている。
したがって、そのランディングページをPCで見ると、「ページの幅が狭い」「本来ファーストビューに表示されるべきキャッチコピー・画像・申込ボタンの3 要素がファーストビューに表示されない(途中で切れる)」「申込フォームが使いにくい」といった弊害が生じるのである!
その結果、スマホファーストのレスポンシブランディングページを使うと、PCユーザーのコンバージョン率が低下する。
PC専用ランディングページでコンバージョン率1.38倍
ここで実際に、『売れるネット広告社』のクライアント10社以上で実施した、PCユーザー向けのランディングページの【A/Bテスト】結果をお伝えしよう。
「スマホ寄りのレスポンシブランディングページ(スマホユーザーをメインターゲットとした、スマホファーストのレスポンシブランディングページ)」と、「PC専用ランディングページ(PCユーザー向けに最適化して制作したランディングページ)」の成果を比較したところ、スマホ寄りのレスポンシブランディングページに比べ、PC専用ランディングページのほうが、平均して1.38倍コンバージョン率が高かった!
PC専用ランディングページのほうがPCの大画面を最大限活用することができるため、商品やブランドの世界観にユーザーを引き込みやすいことに加え、キャッチコピー・画像・申込ボタンの3要素がファーストビューに表示されていて見やすく、申込フォームもPCユーザーにとってより使いやすいものになっているからである。
PCユーザーを対象とした【A/Bテスト】でPC専用ランディングページが勝利するのは当たり前だが、その「当たり前」を軽視している単品通販・D2C会社が多いことが問題なのだ!
売上を最大化しようと思ったら、PC経由の売上を諦めてはダメで、スマホとPCそれぞれのデバイスに『最適化』した別々のランディングページを制作することが重要なのである!
単品通販・D2Cの広告クリエイティブは細かい“改善”の積み重ねが大差を生む。だからこそ、絶対に手を抜かずにスマホとPCそれぞれに合わせてランディングページを『最適化』しよう。
しくじり例②:チャット申込フォームでコンバージョン率低下
<5勝5敗>
最近流行ったチャットフォームランディングページにも、やはり落とし穴がある。「チャットフォームランディングページ」とは、チャットボットを使った申込フォームを採用したランディングページのことである。
一時期、チャット申込フォームを導入したランディングページが雨後の筍のように急増した。
「はじめに、お客様のお名前をご入力ください」「続いて、郵便番号をご入力ください」…と、「対話形式の申込みフォームで親しみやすさを演出できる」「単品通販・D2Cの申込フォームに慣れていないお客様にも入力しやすい」など、メリットばかりが強調され、「今までの申込フォームはもう古い!」とまで言われた。
ところが、「通常の申込フォーム VS チャット申込フォーム」の【A/Bテスト】を行ったところ、チャット申込フォームの成績は「5勝5敗」であった。
一時期、チャット申込フォームはコンバージョン率が大幅に上がる革命的な機能のように言われたが、商材との相性や顧客層によっては、むしろコンバージョン率が下がってしまうこともあるのである…。
チャット申込フォームの導入を検討する際は、事前に申込フォームの【A/Bテスト】を行い、自社の商材や顧客層との相性を見極めてから、慎重に導入するようにしよう!
しくじり例③:クリエイティブに有名人起用でCPO悪化
<2勝8敗>
「広告クリエイティブに有名人を起用すれば、ユーザーの目に留まって売上が上がるのでは」と考える単品通販・D2C会社は多い。
単品通販・D2Cに関するあらゆる【A/Bテスト】を繰り返してきた『売れるネット広告社』では、もちろんあらゆる商材で写真の【A/Bテスト】も行っている。
そこからわかったことは、「有名人の写真を使ったクリエイティブは、商品写真を使ったクリエイティブに負ける」という残念な事実である!単品通販・D2C会社は、有名人を起用するために莫大なギャランティを払っているのに、多くの場合、そのギャランティをペイすることができないのだ…。
有名人の写真を使ったクリエイティブが、商品写真を使ったクリエイティブに負ける理由のひとつが「好き嫌い」である。特に女性の場合、モデルやタレントの好き嫌いが激しい傾向にあり、嫌いなモデルやタレントが広告に出ていると広告原稿のクリックすらしないからだ!
また仮に、有名人を使ったクリエイティブがユーザーのクリックを誘発したとしても、モデルやタレントにつられてクリックしただけであり、商品の申込みにつながらない場合が多い。
その結果、わざわざ高いお金を払って有名人を起用したのにCPOが悪化し、広告の費用対効果が下がってしまう単品通販・D2C会社が後を絶たないのである。
単品通販・D2Cの広告クリエイティブにおいて、最も広告の費用対効果が高くなる写真はズバリ“商品写真”である!わざわざ有名人に何百万円・何千万円という大金を払う必要はないのだ。
しくじり例④:記事型広告を挟んでコンバージョン率悪化
<1勝9敗>
最近の単品通販・D2C業界では、第3者ドメインによる“個人の体験談ブログ風”の記事型広告を挟むモデルも大流行した。
ユーザーが広告原稿をクリックすると、まるで個人が商品を使った体験談を書いたかのようなブログ記事風の広告に遷移し、さらにそこから広告主のランディングページに遷移させるという3段階のフローになっている。
『売れるネット広告社』では、広告主(クライアント)以外の第3者による記事型広告の配信は行っていないが、広告主自らが出稿する記事型広告の【A/Bテスト】は行ってきた。
具体的には、記事型広告を挟んで3段階で遷移させるフロー(広告原稿⇒記事型広告⇒ランディングページ)と、広告原稿からシンプルに申込フォーム一体型ランディングページに遷移させるフローの成果を比較した。
その結果、広告原稿から申込フォーム一体型ランディングページに遷移させた場合に比べ、あいだに記事型広告を挟んだ場合は、コンバージョン率が低下することがわかっている。
記事型広告をやるなら“申込フォーム一体型記事型広告”に
広告原稿とランディングページのあいだに記事型広告を挟むとコンバージョン率が下がる理由はシンプルで、画面遷移が増えるからである。画面遷移が増えれば増えるほど、穴が開いたバケツの底から水がこぼれ出るように、お客様がどんどん離脱していく。
ズバリ、単品通販・D2Cの申込フローにおいて遷移数の増加はご法度である!記事型広告を挟んで遷移数を増やすのは、お客様が離脱するタイミングを増やし、わざわざコンバージョン率を下げにいっているようなものだ。
この場合、記事型広告そのものが悪いのではなく、“やり方”に問題がある。記事型広告を出すのであれば、広告主である単品通販・D2C会社と同一ドメイン下で記事型広告を制作し、記事型広告から直接商品申込みができる“申込フォーム一体型記事型広告”にするべきである!!
このような2段階のシンプルなフローであれば、画面遷移が増えることによる離脱がなくなるため、コンバージョン率低下を防げる!
しかも、広告主自らが制作した記事型広告を広告主サイトと同一ドメイン下で出稿するため、広告主によるコントロールがきき、第3者による薬機法や景表法違反の悪質な広告がはびこることもない。
逮捕者が出たこともあって、もはや第3者による記事型広告を挟むモデルは“オワコン”なので、記事型広告を出稿するなら「単品通販・D2C会社が自社で制作すること」「記事型広告上で直接商品申込みができるようにすること」の2点を徹底してほしい。
以上、私が見てきた4つの“しくじり例”をご紹介してきた。膨大な数の【A/Bテスト】を繰り返していると、世の中の単品通販・D2C会社の多くが盲目的に信じている“常識”が、実は間違っていたことが判明することも少なくない。
単品通販・D2Cの広告クリエイティブに携わるあなたには、新しいテクノロジーや流行りに惑わされず、“統計”という『事実ベース』で広告の費用対効果が上がるクリエイティブを作っていってほしい。
※「申込フォーム一体型」は特許庁商標登録済み商標です。登録商標第6041909号