売上拡大前に知りたい!Amazon輸出の保険の必要性と選び方のコツ

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株式会社Cyber-records

Amazon輸出ビジネスを始めたけれど、「海外へ送るときに保険って本当に必要なの?」「コストがかかるから後回しにしたい」と考えていませんか。

確かに、売上がまだ少ないうちは固定費を抑えたいと考えるのは自然なことです。しかし、海外販売には日本国内とは異なるトラブルやリスクがつきものです。

「発送した商品が破損して届いた」「お客様から製品トラブルで賠償請求が来た」——。こうした事態が起きたとき、保険という備えがないと、事業継続が難しくなる可能性があります。

この記事では、Amazon輸出においてなぜ保険加入が推奨されるのか、その理由を具体的なトラブル事例を交えて解説します。また、セラーが最低限知っておくべき「2つの保険」の違いや、保険未加入による機会損失についても掘り下げます。

リスクを正しく理解し、長くビジネスを続けるための「守りの知識」をしっかり身につけていきましょう。

国内配送とはここが違う。海外特有の「3つのリスク」

国内配送とはここが違う。海外特有の「3つのリスク」

まず知っておくべきは、海外配送の現場環境は日本の宅配便とは事情が異なるという点です。

長距離輸送ならではの負荷が荷物にかかります。


▼1. 荷扱いの違いと破損リスク
海外の物流現場では、荷物が積み重ねられたり、衝撃が加わったりすることは珍しくありません。

また、税関(Customs)での検査時には、梱包が開けられ、再梱包が不十分なまま戻されることもあります。

「日本から送ったときは綺麗だったのに、届いたときは箱が潰れて中身が破損していた」というケースは、海外配送では一定の確率で発生すると考えておく必要があります。

高額な商品の場合、一度の破損が大きな損失につながります。

▼2. 「置き配」普及による紛失トラブル
米国などでは、玄関先に荷物を置いていく「置き配」が一般的ですが、それに伴う盗難(Porch Piracy)も課題となっています。

追跡情報が「配達完了(Delivered)」になっていても、お客様から「届いていない」と問い合わせが入るケースがあります。

保険に入っていなければ、この損失は基本的にセラー(出品者)の負担となり、「商品は失い、返金もしなければならない」という状況に陥ります。

▼3. 返品時の状態悪化
海外のお客様は返品を行う頻度が比較的高い傾向にあります。

その際、梱包が簡易的で返送中に壊れたり、付属品が不足していたりすることもあります。

こうしたトラブルも、輸出ビジネスの一部として受け入れ、対策しておく必要があります。

米国市場ならではの「訴訟・賠償リスク

米国市場ならではの「訴訟・賠償リスク

配送トラブルは金銭的な損失で済みますが、より注意が必要なのが「賠償責任(PL)」のリスクです。

「自分はメーカーではなく小売店だから関係ない」と考えるのは早計かもしれません。

▼販売者も責任を問われる可能性がある
米国の法律(PL法など)では、製品に欠陥があって事故が起きた場合、メーカーだけでなく「流通に関わった販売者」も訴訟の対象になることがあります。

特に日本から商品を輸出して販売する場合、現地の消費者から見ればあなたが「商品を供給した責任者」とみなされやすいのです。

▼賠償請求が高額になるケースも
「おもちゃの部品を子供が誤飲した」「化粧品で肌トラブルが起きた」「充電器が発熱して家具が焦げた」

こうした事故が発生した場合、訴訟社会である米国では高額な損害賠償請求に発展する可能性があります。

弁護士費用だけでも大きな金額になるため、個人や中小企業にとっては事業存続に関わる問題となります。

万が一の事故に対する備えとして、PL保険は非常に重要です。

アカウントを守るための「Amazon規約とルール」

アカウントを守るための「Amazon規約とルール」

リスクへの備えだけでなく、Amazonで販売を継続するための「ルール」としても保険は必須です。

▼売上1万ドルを超えたら加入が必須に
Amazon.com(米国)の規約では、「いずれかの月で売上が1万ドル(約150万円前後)を超えた場合」、30日以内に適切な保険(商業賠償責任保険)に加入し、その証明書(COI)を提出することが義務付けられています。

未提出の場合、売上金の留保やアカウント停止などの措置が取られる可能性があります。

▼【重要】保険加入には「隠れたメリット」がある
実は、適切な保険に加入することはコスト負担だけではありません。

Amazonの規定(A-to-z Guarantee)により、保険加入済みのセラーに対しては、1,000ドル以下の有効な賠償請求をAmazonが代わりに支払い、セラーに請求しないという保護制度が適用されます。

「保険に入っているからこそ、小規模なトラブル対応をAmazonに任せられる」という大きなメリットがあるのです。

最低限知っておくべき「2つの保険」

最低限知っておくべき「2つの保険」

▼1. 貨物保険(外航貨物海上保険)
役割:「商品を届けるまで」を補償

配送中の破損、紛失、盗難などをカバーします。

FedExやDHLなどの配送キャリアにも一部補償はついていますが、上限額が低かったり、適用条件が限定的だったりします。

高額商品を扱う場合や、FBA納品でまとめて送る場合は、別途専門の貨物保険を掛けるのが安心です。

▼2. 海外PL保険(商業賠償責任保険)
役割:「届いた後の事故」を補償

商品が原因で起きた対人・対物事故の賠償金をカバーします。

Amazonが加入を求めているのは主にこちらの保険です。

重要なのは、「日本国内のPL保険」では海外の事故はカバーされないという点です。

必ず「海外輸出対応」かつ「Amazonの要件(補償額100万ドル以上など)」を満たすプランに加入する必要があります。

保険選びのポイントとコストの考え方

保険選びのポイントとコストの考え方

▼保険料は「必要経費」として計画する
多くの海外PL保険は年間数万円〜十数万円程度から加入可能です。

月々の売上規模に対して数パーセント程度に収まることが多く、リスクヘッジとしては現実的なコストです。

利益計算をする際に、最初から「保険料も原価の一部」として組み込んでおけば、経営上の負担感を軽減できます。

▼「Amazon Insurance Accelerator」を活用しよう
どの保険に入ればいいか迷った場合は、Amazon公式の「Amazon Insurance Accelerator(Amazon保険アクセラレーター)」というプログラムを活用するのが最もスムーズです。

これはAmazonが提携する信頼できる保険プロバイダーを紹介してくれる仕組みで、ここから申し込めば「Amazonの要件を満たした保険」に確実に加入でき、証明書(COI)の提出も簡単に行えます。

まとめ

Amazon輸出における保険は、事業を安定させるための重要な基盤です。

1. 配送リスク:海外特有の破損・紛失に備える
2. 規約対応:売上1万ドル超過時の加入義務に対応する
3. 大きなメリット:加入により、1,000ドル以下の賠償はAmazonが負担してくれる

トラブルが起きてからでは取り返しがつかないこともあります。

まだ加入していない方は、売上が伸びて通知が来る前に、まずは情報収集や見積もりだけでも始めておくことをおすすめします。

安心を確保し、着実に海外ビジネスを拡大していきましょう。

<ご注意>本記事の内容は執筆時点の情報に基づいています。Amazonのルール(保険要件)や各国の法律は変更される場合があります。最新情報は必ずAmazonセラーセントラルや専門の保険代理店等でご確認ください。


著者

株式会社Cyber-records

2008年にGLOBAL EC COMPANY(GEC)として創業し、以来、ECビジネスの啓蒙者として、運営代行、コンサルティング、ブランディングなどに従事。モールおよびマーケットプレイスのEC支援サービスの提供に加え、ふるさと納税事業や越境ECの支援も行う。

https://www.cyber-records.co.jp/
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