ECサイトの閲覧デバイス、ついにスマホが逆転か

Webサイトにアクセスする際に、ユーザーが利用するデバイスがついに逆転の傾向が見えてきた。ネットショップや動画サイトはその中でも顕著な結果が出ており、利用はPCよりもスマートフォンを利用したアクセスが、大幅な増加傾向にあるようだ。近年、インターネットサイトへのアクセスはPCからスマートフォンへのシフトが始まっていると言われていたが、一部サービスではすでにスマートフォンの利用がPCよりも多いという傾向が出始めた。

一部ネットショップでデバイスの逆転現象が

ニールセンが発表したスマートフォン視聴率情報の2月調査結果から、ネットショップのスマホアクセス逆転現象は昨年から顕著になっており、楽天市場はPC利用者が減少、スマートフォンからの利用者が昨年末よりも増加していた。また、Amazonも今年の2月の段階でスマートフォン利用者がPC利用者を超えている。一部のネットショップへのアクセスで数値を取ると、明らかなデバイスの逆転現象が見られているのだ。

また、株式会社ドコモ・ドットコムが3月25日から販売を開始した「ECサービス利用実態に関する調査」では以下のように記されている。

【テーマ別調査「ECサービス利用実態に関する調査」から一部抜粋】
◆ECサービス利用デバイス
Q:ECサービスを利用するのは、スマートフォンとパソコンどちらのご利用が多いですか。(単一回答)

 全体ではパソコンを優先的に使うユーザーが半数以上を占め、パソコンでの利用が主流と言える。男女別で見ると、男性は7割近くのユーザーがパソコンを優先的に使うのに対し、女性はスマートフォンを優先的に使うユーザーがパソコンを上回り、男女での利用傾向は大きく異なる。
 年代別で見ると、男女ともに年齢が下がるにつれて、スマートフォンを優先的に使うユーザーの割合が増加しているが、特に女性はその傾向が顕著で、20代以下ではスマートフォンを優先的に使うユーザーがパソコンを優先的に使うユーザーを大きく上回っている。
 若年層がスマートフォンを優先的に使う割合が高いのは、PC所有率の低さや利用機会の少なさが理由として想定されるが、一方で、スマートフォンがECサービスを利用するデバイスとして十分に要件を満たすものと認識されていることがうかがえる。

携帯電話のスマホ普及率もまだまだ増加傾向に

携帯電話の各デバイスの普及率にも変化が生まれている。MM総研(東京都港区)は携帯電話事業者と電気通信事業者協会(TCA)が発表する契約数、MM総研による独自の調査および分析データを基に、最新の携帯電話契約数と今後の予測を行った。

以下、MM総研「スマートフォン市場規模の推移・予測(2014年4月)」より一部抜粋

【定義】
本リリースにおける「携帯電話契約数」と「端末契約数」の定義は以下とする
「携帯電話契約数」:フィーチャーフォン、スマートフォン、回線契約タブレット(以下、タブレット)、データ通信カード(モバイルWi-Fiルーター含む)、通信モジュール等の5つの商品カテゴリの総合計
「端末契約数」:フィーチャーフォン、スマートフォンの合計契約数

◆2014年3月末の携帯電話契約数は1億4,413万件で人口普及率113.4%
◆2014年3月末のスマートフォン契約数は5,734万件で端末契約数の47.0%
◆2014年3月末のOSシェアはAndroid 57.1%:iOS 41.8%
◆2019年3月末のスマートフォン契約数は1億300万件に拡大と予測

今後の課題はマルチスクリーン化にどう対応するか

また、Ciscoのレポートでは、2012年のノートPCとタブレット端末、スマートフォンの利用比率は65%:5%:30%であったが、2015年には25%:20%:55%になると予測している。つまり、2012年まではPCユーザーをターゲットにしていれば、少なくとも顧客の65%をカバーできたが、2015年ではわずか25%の顧客層しかカバーできなくなるのである。

恐らく、このままECサイトのマルチスクリーン化が加速すると、ECサイトの構築、運用面においてこれまで多くの事業者が実施してきたような「端末ごとに別々のECサイトを構築し、運営する」という方法に限界が訪れるだろう。マルチスクリーンに対応できる新たな方法を確立しなければ、運営側の人手によほどの余裕がない限り、企業の破綻を懸念せざるを得ない。

今後はECサイトのマルチスクリーン化に対応できるよう、サイト運営はもちろん、事業の仕組み自体の再構築が必要となってくるだろう。