情報漏洩に要注意、クレジットカード利用の意外な実態【内閣府政府広報室調べ】
その利便性の高さから、ECの支払い方法にも選択されることが多い「クレジットカード」。しかし、その一方で、情報漏洩などの被害に遭うおそれもある。クレジットカードでの支払いについて、消費者は実際どう思っているのか、内閣府政府広報室が発表した「クレジットカード取引の安心・安全に関する世論調査」を元に調べていく。
クレジットカードを利用する目的、利用したくない理由
まず、「クレジットカードを積極的に利用したいか」という質問に対し、「そう思う」と回答した人が39.8%、「そう思わない」と回答した人が57.9%と、半数を超えている。クレジットカードを積極的に利用する人について、利用したい場面を訊ねると、「店舗での高額の買い物やサービスの利用」(72.6%)、「公共料金や税金、通信料金などもサービスの月々の支払い」(62.9%)となった。また、「インターネットを利用した買い物やサービスの利用(58.2%)、「臨時の出費や手持ちの現金が不足している場合」(36.1%)も挙がった。
一方、「クレジットカードを積極的に利用したいと思わない理由」に関しては、「日々の生活においてクレジットカードがなくても不便を感じないから」が55.4%と最も多かった。次いで、「クレジットカードの紛失・盗難により、第三者に使用されるおそれがあるから」(41.3%)、「個人情報などがクレジットカード会社や利用した店舗などから漏洩し、不正利用されてしまう懸念があるから」(35.4%)と続いた。さらに、「予算以上の買い物をしてしまうから」(33.7%)という理由もあった。
クレジットカードの安全性の認知度は?
クレジットカードの安全性を高める対策に、ICカード決済や暗証番号の入力があるが、これらの安全性について、「いずれも知っていた」と回答した人が37.2%だった。また、「ICカード決済がより安全であることは知っていたが、暗証番号の入力が安全であることは知らなかった」が8.3%、「ICカード決済がより安全であることは知らなかったが、暗証番号の入力が安全であることは知っていた」が7.2%と低い割合にとどまった。一方、「いずれも知らなかった」は44.5%と半数に近く、高い割合となっている。
その一方、インターネットで買い物をする際に個人用IDやパスワードを入力する方法の認知度に関しては、「知っていた」が59.4%、「知らなかった」が35.2%と認知している人が半数を超えている。また、IDやパスワードの入力を求められた場合の対応は、「セキュリティ対策のため必要な入力であるため、入力する」(25.8%)が最も多かった。また、「面倒に感じるが、入力する」(16.0%)、「面倒なので、入力不要なお店で買い物をする」(2.7%)、「クレジットカード以外の支払方法を選んで買い物をする」(10.4%)が挙がった。その他に「インターネットで買い物をしない」(35.9%)という回答もあった。
情報漏洩を防ぐサービスの登場、トークンサービスなど
クレジットカードの安心・安全な利用のために力を入れてほしいことには、「クレジットカードの不正使用に関する取締りの強化」が57.4%と最も多かった。次いで、「クレジットカード取引におけるセキュリティ対策の規制にかかる法整備」(52.3%)、「クレジットカードの不正使用に関する相談窓口の充実」(30.2%)と続いた。その他に「特にない」(10.9%)と、現状の施策に満足している様子が伺える回答もあった。
今回の調査では、クレジットカードを利用したくない人が半数以上存在することが明らかになった。これは意外な結果ではないだろうか。店舗やECで買い物する際に便利な支払方法だが、やはり、情報漏洩や不正利用が気になる人が多いようだ。それを表すように、今後のクレジットカードの施策について「不正使用に関する取締り」と回答した人が半数を超えていた。クレジットカードをもっと安心して使ってもらえるようになれば、ECでの買い物の機会も増えるかもしれない。そのために、ECではさまざまな取り組みがなされている。
そういった取り組みの一つに、例えば、ソフトバンク・ペイメント・サービス株式会社が提供する「トークンサービス」がある。これは、顧客が入力したクレジットカード情報をトークンという別の文字列に変換の上で決済することができるサービスだ。EC店舗ではクレジットカード情報を保持しないため、情報漏洩のリスクを軽減することができるのだ。
他にも、しっかりとした対策を確実に行うことによって、クレジットカードによる様々な事故を未然に防ぐことができる。それが、顧客を安心させることとなり、ECサイトの信頼に繋がるのではないだろうか。EC利用者の増加と共に、クレジットカードに関する事故も増加していく可能性がある。顧客が安心してショッピングを楽しめるためにも、対策を怠ることはできない。