講談社、Amazonに抗議声明。何が起こっているのか
今年8月3日からアマゾン ジャパン合同会社(以下、Amazon)が開始した、定額制の電子書籍読み放題サービス「Kindle Unlimited(キンドル アンリミテッド)」をご存知だろうか。実は、この「Kindle Unlimited」を巡って大手出版社の株式会社講談社(以下、講談社)がAmazonに対し抗議する声明を発表した。何が起こっているのだろうか。
人気急上昇中「Kindle Unlimited」その裏でトラブル発生?
ECで購入できるのはモノだけではない。電子書籍の購読サービスのような、コトの消費も充実してきている。Amazonの「Kindle Unlimited」もその一つだ。
「Kindle Unlimited」は、月額980円で書籍8万冊以上・洋書120万冊以上・コミック3万冊以上・雑誌240誌以上・短編作品といった多くのジャンルの電子書籍を読むことができ、サービス開始からおよそ2か月しか経っていないが消費者から絶大な人気を集めている。
しかし、その人気が、Amazon、そして各出版社にとってマイナスとなってしまった。
実は今、「Kindle Unlimited」で講談社の人気書籍の配信が停止されているのだ。そしてそれは講談社だけではなく、他の出版社に関しても同様の事態が発生しているという。
なぜこのようなことが起こったのか。サービス開始当初、Amazonは「Kindle Unlimited」で配信する書籍をより多く揃えようと、一部の出版社に対して、年内は上乗せ料金を支払う契約で書籍提供を促したが、想定よりも多く消費者の人気を集めたことで予算が超えたため、講談社をはじめとする各出版社の人気作品を読み放題の対象から外すこととなった。
講談社によると、「(Amazon側から)何らの連絡もなく」配信が停止されたとのことだが、Amazonと出版社間での「Kindle Unlimited」に関する契約は公表されていないため、Amazonが特に各出版社に相談することなく配信を停止して良い条件だったのかは不明である。
講談社はこうした状況を改善するべくAmazonに対し続けて抗議を行ってきたが、Amazonは9月30日夜以降、講談社が提供する1,000を超える作品全てを一方的に同サービスから削除した。
こうした状況の下、一番に考えるべきなのは「Kindle Unlimited」の利用者の気持ちだろう。利用者にとっては、両社間の契約など重要ではなく、自分の読みたい書籍が読めるかどうかというサービスの質が一番重要なのだ。
企業理念に「地球上で最もお客様を大切にする企業であること」を掲げるAmazon。ここで消費者の信頼を獲得し続けられるかどうか、その対応に注目が集まる。