「楽天ペイ(楽天市場店舗向けペイメントサービス)」始動。傾聴から改善へ、その真意は。

ECのミカタ編集部

楽天株式会社 ECカンパニー 決済プロジェクト 統括責任者 皆川 尚久氏

 4万店ものEC店舗が出店している「楽天市場」を運営する楽天株式会社(以下、楽天)が、新たな施策を打ち出した。楽天市場店舗向け新決済プラットフォーム「楽天ペイ(楽天市場店舗向けペイメントサービス)」(以下、同サービス)を、2017年4月以降より順次導入すると発表した。

 今回は、どのような意図があって同サービスの提供を開始するのか、出店店舗が同サービスを利用することによって何が変わるのか、“傾聴から改善へ”ステップを踏んだその真意を、ECカンパニー 決済プロジェクト 統括責任者 皆川 尚久氏に伺った。

楽天は傾聴施策によって何を得たか

 楽天といえば最近、出店店舗、そして楽天市場全体の品質を上げる品質維持施策をスタートさせたことで話題となった。同サービスについてもその品質維持施策に通ずるところがあり、出店店舗や顧客が寄せる楽天市場の決済に関する声に耳を傾け、改善することを目指した結果のひとつとして同サービスが誕生した。

 ではどのような声があったのか。例えば、顧客からは「支払い方法の拡大」などを求める声が上がっており、出店店舗についても「決済関連業務の負荷軽減」や「入金サイクルの短縮」など、なるべく決済業務に携わらずとも済む環境の整備が求められていた。

楽天市場店舗向けペイメントサービス イメージ

 同サービスは、以下6つの機能を備えている。

①ユーザーが利用可能な決済手段の大幅拡充、全店舗統一化
②店舗の入金サイクルの統一、短縮化
③不正注文検知機能の強化
④チャージバック補償制度の強化
⑤店舗の決済関連業務の代行
⑥契約事業者単位での入金額と請求額の相殺機能の導入

 それぞれの機能について詳しく解説していきたい。

出店店舗を支える「楽天ペイ(楽天店舗向けペイメントサービス)」6つの機能

①ユーザーが利用可能な決済手段の大幅拡充、全店舗統一化
 楽天市場では、出店店舗が自由に選ぶことのできる決済手段が3つまでと制限されているため、出店店舗によって顧客が利用できる決済手段にばらつきがあった。そこで同サービスでは、楽天市場共通の決済手段全てを出店店舗に提供する。よって、顧客が店舗ごとに決済手段が違うために、不便さを感じるといったことはなくなるだろう。

②店舗の入金サイクルの統一、短縮化
 元々30日であったクレジットカード決済の入金サイクルをおよそ10日短縮し、その他の決済に関しても各店舗ごとに異なっていた振込のタイミングを統一する。特にクレジットカードでの取引は、楽天市場の取引額全体の約80%を占めているため、この改善により資金繰りがしやすくなり、出店店舗の負担も軽減するのではないだろうか。

③不正注文検知機能の強化
 同サービスにより決済機能が豊富になることは、利便性が高まる一方でトラブルや不正のリスクも懸念すべきだろう。そこで楽天はシステム投資を行い、不正注文のモニタリング機能を強化する。それだけでなく特定の国や地域からの不自然な注文などに対しては、3Dセキュア・セキュリティコード認証を導入していく。

④チャージバック補償制度の強化
③の機能に加えて、一定額までのチャージバック補償を無料で用意する。補償の内容については、上図を確認していただきたい。海外住所向けで月額100万円のプランについては、今回初めて設けられたもので、楽天市場が越境ECに積極的に挑戦できる場であるからこそ、対策を改めて強化したことが伺える。各コースともこれまでより月額保険料が月額2,000円低くなった。

⑤店舗の決済関連業務の代行
決済業務に追われて本来行うべき店舗業務になかなか取り組めない、というような出店店舗も多いのではないだろうか。楽天市場は、同サービスにおいてシステムとオペレーションセンターを構築、出店店舗4万店の決済関連業務を代行する。具体的に、顧客への入金依頼処理や入金確認業務、返金・返品処理などを代行し、出店店舗がページ制作や販促に集中できる環境を提供していくとのこと。出店店舗がすべき作業は、注文の確認、商品発送、発送完了報告、返品確認...と、たった数ステップだ。

⑥契約事業者単位での入金額と請求額の相殺機能の導入
同サービスでは、楽天市場が決済代行を行った商品代金から、出店店舗への請求額を差し引き、店舗へと入金を行う。今までは、決済方法ごとに異なる日にちでの振込の手間や振り込み手数料が負担となっていたが、これらを軽減することができる。

以上、同サービスを導入することによって出店店舗はこのような機能が利用できる。6つの機能が個々でというよりも、連携して最大限の効果を発揮していることに意味があるのだろう。

決済業務への負担を出店店舗に感じさせない利便性で、楽天市場全体の品質底上げが期待される同サービスだが、実際にその利用料はどのくらいかかるのだろうか。そして、出店店舗は来年の4月までにどのような準備をする必要があるのだろうか。次のページで解説。

2017年4月から開始!店舗は何を準備すべき?

楽天市場店舗向けペイメントサービス利用料 料金テーブル

 「今までは、R-card plusの月額費用であったり、データ処理料やキャンセル処理料をチャージさせていただいておりましたが、楽天市場店舗向けペイメントサービスではそういった料金を無料とします。あとはシンプルに、決済手数料として料金テーブルを作成し、全決済手段の決済高に応じて計算したもの利用料として設定いたします。料金テーブルに関しては、平均決済単価と月額決済高に応じて3.5%から2.5%まで下がっているような構造になっており、出店店舗様の流通額が増えれば増えるほど、段階的に料率は下がる仕組みとなっております。」

 これまで外部の決済代行システムを利用している出店店舗にとっては、「外部システムと何が違うのか」「お得なのか」というような疑問が発生するだろう。ただ、説明したとおり、決済の統一化に不正検知の機能や決済業務の代行まで、決済だけでない様々な付加価値をあわせたトータルの仕組みを提供できるのは楽天だけだ。

 「決済の種類を増やすだけでは、ただ出店店舗様の業務が煩雑になるだけです。ですので、楽天市場店舗向けペイメントサービス導入までにしっかりとお客様にご説明させていただき、決済に関する不都合を解消していきたいです。それは結果として、各出店店舗様がお客様の決済に対するニーズを満たすことに繋がり、レビューの星の数を上げることにもなるのではないでしょうか。」

 出店店舗が同サービスを導入したことで顧客が利便性を感じれば、リピート購入にも繋がってくるはず。同サービスを導入するか否かで、大きな差がでてくるかもしれない。そうした中で、出店店舗は同サービス導入に合わせてどのような準備をしておべきか。

 「各店舗様内での業務フロー見直しと、外部のシステムを利用されている出店店舗様に関しては、システムを移行する際に何らかの影響がでる可能性もございますので、その2点について心構えとご準備をお願いできればと思います。ただ、導入後は、基本的に楽天が決済業務を代行いたしますので、出店店舗様の手を煩わせるようなことはございません。」

 再度お伝えするが、同サービスの順次導入開始予定は、2017年4月からとなる。時代の流れにあわせたサービスを実装することは、結果として店舗の顧客満足度を上げることになるだろう。“傾聴から改善へ”、楽天の進化にEC店舗は何を思うのだろうか。


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