楽天が本日、品質維持施策start。店舗にこんな冊子を配布!

石郷“145”マナブ

レビューへの傾聴施策が店舗に気づきを与える

 ここ最近、ネットショップにおいて、話題になっていることがある。それは、楽天株式会社(以下、楽天)が発表した、品質維持施策という、安心安全のための新たな施策についての話であり、その施策がまさに本日、スタートした。

 同施策は大きくわけて、二つあり、一つはレビューに対しての傾聴施策だ。商品を買った際のレビューで、3点以下のものに関しては、楽天がみずからそのお客様へと連絡をし、低いレビューに至った理由を確認することになっている。

 ただ、一方的に、お客様の声を取り入れるというわけではない。あくまで、目的は、健全な売り場を作っていくことで、お客様に不信感を与え、不快な思いをさせる行動があるとすれば、それが何に起因をし、明確にすることで、楽天と店とでその解決策を考えていくためのものだからだ。

違反点数制度で、ルールを見える化

 それゆえ、この施策によって、ユーザー起因、店舗のパートナー起因、楽天起因、店舗起因と事例ごとに、細かく原因を特定して、改善の道を模索する。仮に、店舗起因だった場合、1件あたり¥700 を調査活動費用の一部として負担をするとしているものの、一ヶ月単位で5件を超えたときに限るとしており、悪質な店舗以外は、なかなかここに触れることもないのだ。

 もう一つは、違反点数制度だ。店に共通する、ルール決めを行い、それをオープン化して、そのレベル感に合わせた正確な処置を行っていく、というもの。場合によって、問題ありと判断されれば、当然減点もされる。

 例えば、連絡困難などは軽微な違反に該当し5点、各種表記ガイドライン違反などは、通常の違反に相当し20点、検索文字列 消費期限切れ食品や外部サイト誘導などは、深刻な違反がそれにあたり、35点となっていく。年単位で考え、累積で35点となれば7日間、ランキング掲載の制限や検索表示順位が下げられるほか、違約金が10万円、55点となればその制限が14日間となり、違約金が40万円となる。

今楽天の出店店舗に続々配布されているガイドブック

今楽天の出店店舗に続々配布されているガイドブック

 これを見て欲しい。店舗に関しては減点ルールだけばかり言われても納得のいかない部分もあるだろう。だからこそ、楽天は「こういう店舗運営をしていくことが大事」という指針を記載した、紙のガイドブックを作成したのだ。これらは順次、店舗に配られ始めている。事実、届いた店舗からは、これを教育資料にしたいという声もあがっているとのことだ。

 中身を拝見させていただいたが、14のステップで、一つ一つの工程を丁寧に説明している。例えば、「お客様の「ウレシイ」を作るポイント!」という項目と、それにまつわるコラム、チェックポイントと細かく説明が行き届いている。さらにお客様の声なども交えて書かれており、実践的だ。

内容としては、下記のような感じとなる。
Step3 在庫について
■商品の適切な在庫設定・管理をしましょう。
■「お客様の「ウレシイ」を作るポイント!」在庫を登録する。〜全ての商品について、受注発送 可能な在庫数を登録しましょう〜
■在庫管理のキホン
1)納期情報と連動した在庫登録・管理を徹底しましょう。・・・・
■お客様の声
注文後、数日経ってから「注文が殺到して、いつ送れるかわからない」とメールが。他店舗に比べ対応が遅いです。もう利用しません。
■コラム 万が一、過剰銃を起こしてしまったら・・・
■チェック 過剰受注を防ぐためのチェックポイント □手元に在庫はあるか □手元に在庫がない場合、納期を守れる入荷予定になっているかetc..
といった具合に、分かりやすい。

EC店舗のあるべき姿とは?

 楽天は1997年の創業以来、店が主役と謳い、全国各地にいるECコンサルと話し合いを重ねながら、店は賑やかになり、認知度を高まり、ファンもうまれた。でも、そこには明確なルールもなかったから、ただ売り上げに繋がれば、と少しの“やんちゃ”もあったように思う。

 これは楽天の店舗に限った話ではないが、売り上げを追うあまり、かつて薬事法や景品表示法の問題で、ECが問われた時代もあった。その度、どうあるべきかと生まれ変わってきたのも事実だ。  

今や、当たり前のようにして、スマホを片手に、誰でも簡単に、ネット通販に興じることができる時代となった。もう置かれている立場は、変わったのだ。刻一刻時代が変わりゆく中で、店の姿勢が今問われている。今回の施策が発表されて、自由度の高いショップから、逆に今回の施策内容を見て、自分たちの行き過ぎに気がついたという声も聞かれたし、この施策に対して色々な意見があるとは思う。

 

ただ、まちがいなく、ネット通販は、人々の生活の中に当たり前に存在するようになり、だからこそ、実店舗と変わらぬレベル感と、意識が求められる時代になっているのも事実だ。ともかくこの施策が、少なからず時代が変わりつつあることを示しているように思う。さあ店舗は今後どうあるべきなのか。


記者プロフィール

石郷“145”マナブ

キャラクター業界の業界紙の元記者でSweetモデル矢野未希子さんのジュエリーを企画したり、少々変わった経歴。企画や営業を経験した後、ECのミカタで自分の原点である記者へ。トマトが苦手。カラオケオーディションで一次通過した事は数少ない小さな自慢。

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