2018年の中国市場4兆5,623億円、小売は9.12%伸長【ルイスマーケティング調べ】
株式会社ルイスマーケティング(以下、ルイスマーケティング)は、2015年に中国人消費者が日本で購買した金額の統計予測を発表した。今回は、本データを基に「爆買い」でメディアを賑わしている中国人消費者の購買行動について考えていく。
並行輸入市場の2015年時点の売上は約6,000億円
まず、2015年に中国人旅行者が消費した額は14,174億円、そのうち買い物に占める金額は8,089億円に上る。(※1)一方、2015年に中国人が日本から越境ECで購入した金額は7,956億円に上り、大きく成長している。(※2)
※1 参照:日本政府環境局(JNTO)
※2 参照:経済産業省
続いて、中国の並行輸入市場(※3)は中国人の海外渡航の増加とインターネットの普及により急速に伸びており、2014年は前年比100%以上伸びて日本円で3兆円に上る。並行輸入市場は、世界中の商品が対象となるが、ルイスマーケティングが越境ECサイト「天猫国際」の国別売上から推測した結果、2015年時点で日本商品の売上はおよそ6,000億円となった。
※3 中国人が日本商品を購買する市場
中国最大手ECサイト「タオバオ」の人気商品TOP10
前述の「中国人旅行者」「越境EC」「並行輸入」を合わせると、市場の合計は2兆2,045億円に上り、年間小売総額に占める比率は4.4%となった。また、今後の伸びを合計すると2018年の市場規模は4兆5,623億円であり、年間小売総額に占める比率は9.12%まで伸びる見込みだ。
こういった統計を裏付けるように、中国最大手のECサイト「タオバオ」では日本商品の取り扱いが増加している。以下の画像は、日本商品の売れ筋の月間販売数量と金額である。
ただし、「天猫国際」と「タオバオ」で取り扱われている在庫は中国人消費者が購入した商品の一部であり、ルイスマーケティングが10社以上のメーカー担当者と調査した結果、実態は「天猫国際」と「タオバオ」での流通額の10~20倍は中国人消費者が購入している状況であった。
インターネット広告が購買意欲を増す
中国人消費者が購買を強めている日本商品の売れるきっかけは、インターネット広告である。日本ではインターネットがテレビに次ぐ広告媒体となっているが、中国では2014年にインターネット広告がテレビ広告を上回った。また、2017年にはインターネット広告が他の主要5媒体(テレビ・新聞・ラジオ・屋外・雑誌)の合計を超える見込みだ。
実際に、ユーザー数7億人を超えるSNSアプリ「微信(ウィーチャット)」のメディアアカウントで「日本で買うべき神薬12」という記事が話題となり、一部のメーカーの商品が飛ぶように売れた事実もある。
今回の調査結果は、今後も中国人消費者による市場は伸びていくことが予想できる内容となった。越境ECに進出する際には、中国人消費者をターゲットとすることでまだまだ売上が伸びる可能性がある。さらに、調査によると商品の宣伝にはインターネット広告が効果的だろう。中国市場では日本市場以上に、インターネット上で話題になることがヒット商品への近道になりそうだ。