2016年のトレンドワード6選~最新EC業界大図鑑を試し読み~

ECのミカタ編集部

 ECのミカタは、昨年に続く2作目として「2016年のEC業界を総まとめ!!最新 EC業界大図鑑」を発売しました。EC業界の基礎的な用語や概要〜最新のトレンドや重大ニュースをまとめた一冊になっています。ここでは、「2016年のトレンドワード6選」を公開します。

 その他のEC業界用語をPDFにまとめましたので、ご活用ください。
 → https://www.ecnomikata.com/knowhow/detail.php?id=12759

トレンドワード1 「WEB接客」

AIが実現する未来のECサイト
 Web上の接客のあり方が変わってきています。例えば、アパレルを購入するとき、Web上ではサイズを選べないように思えますが、Unisizeというサービスを使えば、いつくかの質問に答えるだけでぴったりのサイズを発見することができます。その他、「KARTE」というサービスを使えば、サイトを訪問したお客様の性別、年齢、購買履歴などをリアルタイムで可視化し、一人一人に最適な提案ができます。

 特に接客の仕方という部分で、2016年はそこにAIを活用する機会が増えています。AI(Artificial Intelligence:人工知能)とは一般的に、人間が持つ学習・推論・判断などの知能的働きを備えたコンピューターシステムのこと。様々な業界や商材への導入が進み、ECにもその波が押し寄せています。中でもAI搭載の"Web接客"ツールを導入するサイトが増加し、大きなインパクトをもたらしています。

 ECサイトの充実によって買う楽しみが増幅した一方、事業者間の競争は激化しています。今後のECサイトには、Web接客の効果的なアプローチによって、いかにリピーターを獲得できるかが求められています。

新しいテクノロジーが生み出す次世代ECサイト
 「ZenClerk」というサービスはユニークです。発想の原点は、開発者の友人がショッピングサイトを見ている時、そのマウスの動きやページ遷移を後ろで見ていたら、どういう動きをするかで、大体買う商品が予測できる、と思いついたことにあります。その動向を機械学習させれば、見る側の興味関心が高まるタイミングで、クーポンを表示できるというわけです。そうすることでAIをECにつなげています。最近では、スマートフォンで過去の履歴を見づらいことから、店で特に興味のあると分析されたものをリスト化する「interest Widget」も登場し、AIが購入動機を生み出しています。

 また、コグニティブ・テクノロジーを使ったIBMの『Watson』も見逃せません。コグニティブとは日本語で「認知」。コンピュータが経験から学び、自ら答えを導き出すという革新的なシステムです。ECサイトにおいてWatsonをいち早く導入したのが、アウトドアや登山用品を専門に扱うアメリカの会社「The NorthFace」。現在、英語版のページで、ジャケットについて、Watsonと対話し、自分に合った製品を選んでもらうことができます。質問し、その答えを理解して、提案を切り替えていく、コグニティブ・コマースです。まるで、実際に店舗で店員さんと会話をしているかのようです。今後のECサイトにおいてもこうしたイノベーションは、時勢だいECを見据える上で重要なファクターになります。よりパーソナルで、より精度の高い提案が求められる時代。Web接客はショップとユーザーをつなぐ要となり、その品質そのものが、ショップの付加価値を担う可能性を持っています。

トレンドワード2 「アプリ」

インターネット端末別利用状況(個人)
(出典)平成27年通信利用動向調査の結果端末別(総務省)

次なる施策はアプリ
 今年ほど、アプリの存在が光った年はありません。今やスマートフォ ンの普及率はパソコンをしのぐ勢いとなっています。総務省の平成27年通信利用動向調査によると、インターネットの端末別利用状況のうちパソコンが56.8%、続いてス マートフォンが54.3%となり、その差は2.5ポイントと、スマートフォンが確実に追い上げてきています。こうした背景からもわかるように、ECサイトのスマートフォン対応はもはや当たり前であり、ネットショップが次なる施策として注目すべきはアプリなのです。

 なぜアプリなのでしょうか。顧客へのプロモーションとして活用するのであれば、SNSでもよいのでは?と思われる方もいるかもしれません。しかし、SNSはあくまでも外部メディアであるため、その仕組みに左右されやすく、流行による浮き沈みが激しいことが懸念されま す。アプリであれば、アプリ内で自社メディアを立ち上げることも、プッシュ通知を利用して即時性の高い情報を発信することも可能なため、安定した集客や販促を行うことができるでしょう。ECサイトへ顧客を誘導する手段として、アプリが効果を発揮することが期待できるのです。実際に、アプリを経由してECサイトの売り上げが伸びたという事例も多く聞かれるようになってきました。そうした事例は、スマートフォンの普及に伴って今後もますます増えてくることでしょう。

アプリとECの相性は抜群!
 先述した通り、アプリにはプッシュ通知機能が備わっているため、即時性の高い情報発信が可能です。また、アプリはスマートフォンのホーム画面に常時表示されるため、今届けたい情報を今すぐに、顧客の目につく位置へ表示することができるので、従来のメールマガジンよりもはるかに開封率が高いことはアプリの特徴の一つといえます。

 アプリがここまでECサイトとの相性が良いならば、今日からでも導入したい!と思うものです。しかし、アプリを制作するには膨大なコストと制作時間が必要となり、中小企業にとってはまだ手を伸ばしにくい印象があります。ただ最近では、コストも時間も抑えたアプリ開発を提供している企業も活躍しているので、今後は自社にあった支援企業のサポートを利用し、時代の流れに合 わせた〝アプリEC〟の運用を選択していくことが、成功への近道となりそうです。

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トレンドワード3 「スピード配送」

高い利便性にリピーター続出
 「いま必要なものが、すぐ届く」。ECサイトのスピード配送の競争は、年々激しさを増しています。ECが普及し始めた2000年代前半においては、「翌日」到着が画期的なことでした。しかし昨今では、〝少しでも早く受け取りたい〟というニーズを反映するように、当日配達が当たり前の時代になりつつあります。スピード配送の代表例の一つは、注文後最短 20分で配送される楽天の『楽びん!』。日用品一般を扱うほか、昨今では一部医薬品もラインアップ。提携レストランができたての料理を配送するサービスもあります。また、リリース時に大きな話題を呼んだアマゾンの『アマゾンプライムナウ』は、注文後1時間以内の配達可。日用品から家電まで約1万8000点を取り扱います。都内広域や神奈川県の一部、関西地方でも利用が可能になりました。

 なお、EC業界大図鑑では、実際に、編集部が楽びん!、プライムナウで注文してみました。ページでそのレポートをご確認いただけます。その他、LOHACOは一部地域で10時まで注文すれば、当日18時から24時(あるいは翌日6~8時)に届けるとしており、ヨドバシドットコムでは、一部地域で最短2時間30分で届けると発表しました。なお、希望の届け時間で、商品の届く時間を絞り込めるようになっています。

スピード配送のこれから
 アマゾンは将来に向けて、ドローンを使った30分配送の試験を実施中。一般人の配送も視野に入れるなどさらなる利便性を追求しています。スピード配送がさらに進化すれば、ライフスタイルは劇的な変化を遂げるでしょう。しかし一方で、物量の激増や送料無料化が配送業者への負担となり、品質低下や人材不足などが懸念されています。特に再配達コストや環境への影響が問題視され、喫緊の対策が求められています。

 スピード配送は今後ますます対象エリアを拡大し、さらなる時短の工夫がなされると予測されます。しかしこのサービスは、大手企業だからこそ実現可能であることも否めません。また、配送業者への負担が増加すれば、多くのEC事業者にも影響が及ぶでしょう。〝この商品は早く届ける必要があるのか〟。そういった視点から改めてマーケティングを見直し、商品力、ブランド力、丁寧な対応などを磨いて差別化していくことがECに求められています。

トレンドワード4 「宅配ロッカー」

「ロッカー受取サービス」の認知度(n=508)
(出典)「ネットショッピング実態調査(配送編)」ネットリサーチ「Fastask」

不在配達に物流3社が立ち上がる
 2016年は、今までにも増して再配達の問題が取り沙汰され、その影響か宅配ロッカーが〝進化〟した年でした。思えば、ECはネット上だけで完結するものではなく、ネットショップと顧客をつなぐ〝配送〟 の存在があってようやく完結します。近年、配送の精度は高まってきていますが、受け取る側である顧客のライフスタイルが大きく変化していることもあり、不在再配達の問題が顕在化しています。不在再配達は、物流業界だけの問題ではなく、EC店舗のイメージダウンにつながりかねないことから、 EC業界でも真剣に向き合っていかなければならない問題です。

 そこで物流企業各社は、配送先のお客様が自分の都合に合わせて好きな時に好きな場所で荷物を受け取れる環境を整えるべく、コンビニ受取、そして宅配ロッカーへの配達の対応を進めています。特に宅配ロッカーといえば、ヤマト運輸とフランスで郵便事業における実績を持つネオポストシッピングが合弁会社「Packcity Japan株式会社」を設立。ロッカーの列単位で他社の再配達の荷物を受け取ることができるオープン型ロッカー「PUDOステーション(Pick Up & Drop Off station)」を展開していることが 2016年の大きなニュースとなりました。この「PUDOステーション」が優れているのは、ヤマト運輸の荷物だけではなく、競合となる、日本郵便や佐川急便などの荷物も預けられることです。このように大手物流企業が垣根を越えて協力し、お客様を最優先にサービスを提供する動きは、業界に新しい可能性を見せてくれました。

宅配ロッカーの利用実態
 ただ、宅配ロッカーでの商品受取というのは、コンビニ受取に比べるとまだ利用率が低いようです。2016年に、ネットリサーチ「Fastask」が調査した「ネットショッピング実態調査配送編」では、直近1年以内にECサイトで買い物をした人のうち、注文した商品の受取専用ロッカーを「利用したことがある」人が7.5%、「知ってい る」人が 48.8%との結果が出ました。

 本調査でおよそ1/3の人が「店頭で荷物を受け取ったことがある」と回答したのに対し、宅配ロッカーで荷物を受け取る人は、その存在を認知しているものの、かなり少ないことがわかりました。それはなぜでしょうか。アンケートの回答には、 ロッカーのセキュリティー面や衛生面を気にする声が目立ちました。こうした利用者の不安を除くことが、より自由な配送を実現させるための、2017年に向けた課題の一つかもしれません。

次ページでは「動画」「フリマアプリ旋風」を紹介します!

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トレンドワード5 「動画」

参考:経済産業省「電子商取引に関する市場調査」2015年度版

動画が広げる可能性
 ビデオコマース。これは、インター ネット上の商品やサービスの販売を促進するために、ビデオコンテンツを使用することをいいます。スマートフォンでインターネットを利用する人の増加に伴い、ビデオコマースも普及してきました。経済産業省によると、2014年末には47.1% の人がインターネットをスマートフォンで利用している結果が出ています。そして2016年は特に、このビデオコマースに関するツールが多くリリースされ、国内外問わず多くの企業がビデオコマースにおいて成功を収めているのです。

 ECサイトは商品を購入する際、実際に商品を見たり触ったりすることができません。そのため画像だけではサイズ感や用途、イメージなどが伝えきれないのが現状で、購入を断念してしまう消費者がいるのも事実です。そこでビデオコマースを利用することによって、消費者へ商品の詳細を伝え、購買意欲を掻き立て、 購入の離脱を防ぐことができます。そして近年のトレンドとしては、インフルエンサーを起用した動画マーケティングが多くのEC事業者の注目を集めています。EC事業者や運営を支える支援企業だけにとどまるのではなく、インフルエンサーという大衆に影響力を持つ人々と協力して商品を売っていくのです。2016年9月に「Shop Japan」を運営する株式会社オークローンマーケティングもこのビデオコマースに参入してきました。それが、インフルエンサーが動画を使ってECサイトの商品を紹介する「STORICO」というサービスです。

中国越境ECでも動画が活躍
  日本で注目されているビデオコマースですが、中国に向けた越境ECサービスでも脚光を浴びています。中国のEC市場では、偽物の商品が多く出回っているため、商品に向けられる疑いの目が厳しいといった現状があります。そのため、日本の商品は「本物なのか?」と疑われてしまい、商品の価値さえ理解してもらえないことも。また、中国消費者の特性として、SNSなどでクチコミを見て購入に至る場合が多くあります。しかし、まず購入されないことには、クチコミまで達しません。 越境ECにて成功した日本企業が少ない要因は、ここに隠されていたのです。

 この問題を解決し、越境ECにて成功を収めるために、動画が活躍しています。まずは動画を使い、優良な日本商品の情報を中国消費者へ届ける必要があるのです。Inagora株式会社が提供する「豌豆公主(ワンドウ)」や株式会社bolomeが提供する「bolome」といった中国向け越境ECのプラットフォームを展開するスマートフォンアプリも動画に注目し、サービスを提供しています。そして「豌豆公主」は2016年3月にリニューアルを行いました。最大の特徴は、ユーザー参加型のSNSコミュニティ「公主说(プリンセストーク)」です。「豌豆公主」の編集部が日本のライフスタイルに特化したトピックスを設け、ユーザーがこのトピックスに対して意見や感想などを投稿・閲覧するこの仕組みは、中国消費者が日本の商品を購入するために有効な機能といえるでしょう。

トレンドワード6「フリマ旋風」

急速に広がるフリマアプリのメリット
 昨年に引き続き、CtoC市場の成長が著しいです。CtoCとは「Consumer to Consumer 」、つまり消費者同士で行われる商取引のこと。EC業界では、フリマアプリやオークションに代表されます。そして2016年はフリマアプリがさらに成長した1年でした。フリマアプリは、スマートフォンで個人間の売買取引ができるフリーマーケットのようなプラットフォームアプリです。経済産業省によると、2015年のモールや独自ドメインなどのBtoC-EC市場規模は前年 比7.64 %増となっています。しかし2014年までの過去5年間では前年比10%以上増が続いたことを考えると、伸び率は鈍化しているといえるでしょう。その理由の一つとして挙げられているのがCtoC-EC、つまりフリマアプリ市場の成長なのです。

 フリマアプリが急速に普及している要因は、オークションとは異なり〝出品者が定めた価格で、スピー ディーに売買できる〟ことが挙げられます。オークションは、出品後に設定した日数まで入札者が競りを行うのが基本です。しかしフリマアプリでは、出品者が設定した価格で時間を掛けずに売ることができます。フリマアプリで圧倒的なシェアを占めるメルカリでは、2016年9月の時点で日米合計5500万ダウンロードを突破し、累計出品数は2.5億品、1日の出品数は50万点以上にもなります。そして約半数の商品が、24時間以内に売れるという結果が出ています。

フリマアプリが消費者にもたらしたこと
 メルカリは、流通総額が100億円を突破し、多くのユーザーに愛されています。そして近頃このメルカリを筆頭に、フリマアプリは、消費者の購買行動に変化をもたらしています。それは売ることを前提とした購買行動です。例えば財布を買うにしても、安物よりもブランドや機能性を重視するといった、〝フリマアプリにおいて売りやすい商品〟を購入するという行動を起こすようになってきたのです。

 また、2016年9月には大手モールを運営する楽天が、日本初のフリマアプリ「フリル」を運営するFablicを買収するという動きもありました。フリルが楽天グルー プに入ることによって、楽天IDや 楽天スーパーポイントがフリルでも利用できるようになります。これにより、さらにユーザーの利便性は向上し、フリマアプリユーザーは増えていくことが見込めます。フリマアプリが急速に普及する中で、今後もフリマアプリ特有の購買行動を起こす消費者は増えていくことでしょう。

<「2016年のEC業界を総まとめ!!最新 EC業界大図鑑」より一部抜粋>

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