海外で人気の日本商品は？国別ランキングで大公開（SD export販売動向レポートより）

　株式会社ラクーン（以下、ラクーン）は、自社が運営するBtoB越境ECサービス「SD export」の最新販売動向について明らかにした。世界ではどのような商品が人気を集めているのだろうか。越境EC挑戦の参考にもしていただきたい。

世界134か国へ販売可。「SD export」とは

　SD exportは、日本国内のメーカーと海外の企業・小売店が取引できるBtoBの越境ECサイトである。2015年8月からサービスを開始し、現在の商品掲載数は約16万点にもなり、約600社のメーカーが国境を超えた世界15,000店舗への販路拡大ツールとして活用している。

　特徴としては、国内メーカーはどの国からの注文でも国内倉庫（埼玉）に発送するだけということ。そのあとの輸出作業や手続き、代金回収はすべてSD exportが代行する。つまり、国内に発送するのと変わらない作業で海外への販売が可能なのだ。

「SD export」会員登録数の多い国

　SD exportは会員登録制となっており、利用するには事前登録が必要だ。会員数を国別に見ると2016年11月までは台湾が1位であったが、2016年12月からアメリカが1位となった。特にここ最近はアメリカ、オーストラリア、カナダの北米、英語圏の国の登録数が増加傾向にあるという。増加の要因としては、これらの国々に対する広告強化やサイトの全面英語化対応、そしてこれらの国々から人気の高い動物モチーフやキャラクター商品が充実していることがあげられる。

「SD export」がよく利用されている国

　次に国別の購入額をみると、台湾が全体の39％を占め1位、続いて香港が2位、アメリカが3位となっている。台湾でよく利用されている理由としては、親日家が多いこと、日本のテレビ番組や雑誌が販売され日本カルチャーに親しみを持っている人が多いこと、そして日本との距離が近いため配送料が安価で早く届くことなどが考えられる。また、台湾でここ数年盛り上がっている「懐日（日本を懐かしむ）ブーム」の影響で、改めて日本製品の人気も高まっていることも予測できる。

　では実際に、各国ではどのような商品が人気なのだろうか。次章では、SD exportの売上上位5か国について、国別で人気の商品ジャンルを紹介する。

台湾、香港･･･国別で人気の商品ジャンルはこれだ

左）台湾人気商品ジャンル　右）香港人気商品ジャンル

■台湾
1位 食器・キッチン
2位 ステーショナリー・クラフト
3位 バッグ・財布
4位 レディースアパレル
5位 ベビー・キッズ

台湾からの注文の約60％が、食器・キッチン用品となっている。特に岐阜県多治見の陶器や波佐見焼、有田焼などの日本製の素朴なデザインの食器が人気だ。SD exportで食器をよく購入している台湾の会員小売店によると、日本の食器は実店舗とネットショップ合わせて月15,000枚ほど売れているとのことで、質とデザイン・柄が良いことが人気の理由なのだとか。

■香港
1位 バッグ・財布
2位 レディースアパレル
3位 ベビー・キッズ
4位 服飾雑貨
5位 ステーショナリー・クラフト

1位のバッグ・財布ジャンルの中でも人気なのは、ここ数年人気が継続中のanello（アネロ）のバッグだ。アネロは日本の女性の間で人気に火がつき、それが飛び火する形でアジアに拡がり、海外でも人気となっている。

左）アメリカ人気商品ジャンル　中央）オーストラリア人気商品ジャンル　右）マカオ人気商品ジャンル

■アメリカ
1位 ステーショナリー・クラフト
2位 食器・キッチン
3位 玩具・ホビー
4位 レディースアパレル
5位 バッグ・財布

アメリカでは、ステーショナリー・クラフトジャンルの売上が約50％を占めている。中でも日本メーカーのボールペン、サインペン、シャーペンが人気だ。また、アミューズメント施設等でよく見るような猫や犬のキャラクター商品が人気で、キャラクターものがよく売れている。

■マカオ
1位 レディースアパレル
2位 服飾雑貨
3位 靴
4位 バッグ・財布
5位 インテリア雑貨

マカオは平均的に様々なアイテムが売れているが、雨の多い地域であるためか特にレイングッズが人気となっている。日本製の靴（防水）、またレインブーツ、傘がよく売れているとのこと。

■オーストラリア
1位 食器・キッチン
2位 玩具・ホビー
3位 レディースアパレル
4位 ステーショナリー・クラフト
5位 バッグ・財布

オーストラリアでは、とにかく「猫」デザインのアイテムが売れているようだ。お皿やフライ返し、お玉などのキッチンアイテムからぬいぐるみ、アイピロー、めがねケース、バッグまで幅広いアイテムの猫のデザインのものが人気となっている。

次章では、売上上位5か国以外の中からいくつかの国の人気商品を紹介する。

【番外編】フランス・イギリス・中国で人気なのは

左）フランス人気商品ジャンル　中央）イギリス人気商品ジャンル　右）中国人気商品ジャンル

■フランス
地下足袋が人気で、老舗の地下足袋メーカーの商品が売れている。海外で地下足袋は“忍者シューズ”として注目され、世界で放映されている日本の人気テレビ番組「SASUKE」の参加者が地下足袋を愛用していたことなどからも、海外での地下足袋の認知をあげている。特にフランスでは、地下足袋がおしゃれアイテムとして認知され、ファッションにも取り入れられているようだ。

■イギリス
急須や湯飲みなどの茶道具が売れており、常滑焼や信楽焼、九谷焼などの日本の焼き物の食器類もよく売れている。食器以外では、マスキングテープも人気なのだとか。海外でもマスキングテープは販売されていますが、日本のマスキングテープはデザインのかわいさや、素材を傷めずに何度も貼り直しできる紙・のりの品質の良さなどから「Japanese Washi Tape」として人気がある。

■中国
招き猫などの猫の置物が人気となっているようだ。もともと中国では、猫に対して富と幸運をもたらすというイメージが根付いており、風水発祥の地でもある中国では縁起の良いものとみなされている。そういったことから、日本の招き猫はここ数年で中国全土に人気が拡がり、店頭でよく見られるようになっている。

以上のように、国によって人気のある日本の商品というのは全く異なってくる。もしこれから越境ECに挑戦しようと考えるのであれば、まずは自社商品がどの国で需要があるのかをリサーチしておきたいものだ。