ヤマト運賃改定にみる「ラストワンマイル問題」に対する考察

ECのミカタ編集部

 ヤマト運輸株式会社(本社:東京都中央区、以下ヤマト)のホームページに、平成29年4月28日「重要なお知らせ」として2点の重要事項が掲載された。「宅急便の基本運賃改定と各種サービスの内容変更および新設について」「ヤマト便のサービス内容変更および運賃改定について」の2点だ。

 それぞれの内容の詳細は以前にもお伝えしているので、下記のリンクから確認していただければと思う。
https://ecnomikata.com/ecnews/14442/
https://ecnomikata.com/ecnews/13966/

 ヤマト運輸のお知らせによれば、2点とも「新たな労働力の確保や社員の処遇改善、またラストワンマイルネットワークの強化のため」という文言が最初に書かれている。今回切り取ってみたいのは「ラストワンマイル」という言葉だ。

 ラストワンマイルとは、もともとは通信業界で使われていた言葉で、直訳すると「最後の1マイル」だが、通信業界においての意味としては通信事業者と利用者を結ぶ最後の区間の事を指す。

 昨今、通信業界だけではなく、物流業界においてもこのラストワンマイルという言葉はよく耳にするようになった。物流業界におけるラストワンマイルとは、商品が最寄りの配送センターからユーザーへ荷物受け渡されるまでの最後の区間のことを指している。

大きな社会的損失とそれに対する具体的な策は?

 国土交通省が発表した「宅配の再配達の発生による 社会的損失の試算について」 という資料によると、平均して約20%という割合で再配送されている状況とだという。つまり5件に1件はラストワンマイルにおいて差し戻しが行われていて、それにより「年間約1.8億時間の労働時間の発生(年間約9万人分の労働力に相当)」等の大きな社会的損失が生じていると発表している。

 また、国土交通省は再配達の削減に向けた具体的を以下のようにまとめている。
<主な具体策>
1)WEB・アプリ等を活用したより簡単な配達日時指定方法の導入
2)再配達による社会的損失の社会的な理解促進や再配達削減の貢献に応じた受取人へのメリット付与
3)コンビニで取り扱う宅配・通販サービスの拡大や受取手順の改善等の利便性向上
4)住宅の宅配ボックスの設置促進や宅配ボックスに入るサイズとする梱包の適正化
5)鉄道駅等への宅配ボックスの設置等の新たな受取方法の導入・拡大

「ラストワンマイル問題」は新たなインフラの幕開けとなるか

 ECの発展に伴って物流量は爆発的に伸びてきた。そこで浮上してきた「ラストワンマイル問題」はヤマトだけに限った話ではない。EC業界において、配送料の値上げという対策は売り上げに直結する大問題だ。

 「荷物を受取る」というゴールに向けて、すでに様々な策は練られてきているが、ユーザーという物流のアンカーにどうバトンをつなぐのか。ここに関してはもっと策を出して掘り下げていかなければならない課題だろう。ユーザーに「ラストワンマイル問題」を意識してもらう啓蒙活動はもちろん、バトンの受け渡し方法を増やし、受け取りやすいシステムを構築する事は全業界において急務だ。

 しかし、「問題点がある」という事はそこにビジネスのタネが眠っているという事でもある。各社すでに取り組みを始めている「ラストワンマイル問題」は新たなインフラの幕開けともなり得る。アイデア次第では一気に業界革新的なシステムも可能になるかもしれない。ECのミカタでは問題解決に向けて積極的に発信をしていくと同時に、新たなビジネスという観点でも「ラストワンマイル問題」に向き合っていきたい。

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