国内EC、B to C市場は11.2兆円規模に成長/経産省発表

拡大を続けるEC市場

経済産業省は26日、電子商取引に関する市場調査の結果を発表した。データからは急速に拡大するEC市場が浮かび上がるが、その特徴はアマゾン・楽天・ヤフーによる独占ではなく、大小の企業から個人業者までが参入する「乱戦」であることだ。

経済産業省による調査の期間は2013年1月~2013年12月。日本、アメリカ、中国の電子商取引市場を調査した。
この調査は「2013年度我が国経済社会の情報化・サービス化に係る基盤整備」として1998年度から毎年実施され、今回で16回目となる。

調査によると、2013年の日本国内のB to C -EC(消費者向け電子商取引)市場規模は、11.2兆円まで拡大し、前年比17.4%増となっている。
インターネットで商取引が行われる狭義のB to B -ECは186兆円に拡大(前年比4.4%増)。インターネットに加え、VAN、専用回線などで商取引が行われる広義のB to B -ECは269兆円に拡大した(前年比2.8%増)。

また、商取引市場すべてに対する電子商取引の市場規模(EC化率)は、B to C -ECで3.7%(前年比0.6ポイント増)、狭義B to B -ECで17.9%(前年比0.4ポイント増)、広義B to B -ECで25.9%(前年比0.2ポイント増)と、すべてが増加傾向を示した。

大小入り乱れる事業者、国境を越える消費者

EC市場の急速な拡大の背景にあるのは、何だろうか? やはりアマゾン・楽天の2強と、昨年「eコマース革命」を打ち出して追い上げをはかるヤフーら「巨人」による独占だろうか?
確かに「巨人」が市場の多くを占めていることは、まちがいのない事実だ。しかし、どんな巨大企業もあらゆる商品やサービスを対象とする市場で、その半分も独占できるものではない。大小入り乱れて、EC市場そのものが底上げされていると見るべきなのである。

現在、ネット上ではさまざまなショップやサービスの新規参入が続いている。そうした新規参入者は、「巨人」とは違う分野で市場を開拓している。

なお、経済産業省の調査によれば、日本の消費者によるアメリカおよび中国の事業者からの越境ECによる購入額は1,915億円に達していた。その中にはアマゾンやe-Bayを利用したC to Cの販売も多く含まれているだろう。

また、アメリカの消費者による日本および中国の事業者からの越境ECによる購入額は7,197億円、中国の消費者による日本およびアメリカの事業者からの越境ECによる購入額は8,072億円だった。

EC市場は国内でふくれあがるとともに、国境を越えて拡大しているのである。