2013年度TV通販市場上位30社計 5200億円/躍進のヒントは「ジャパネット」にあり

全体的には拡大傾向にある通販市場

通販新聞社は2013年度(2013年6月~2014年5月)のテレビ通販実施企業の主要上位30社の売上高合計を、前回調査比3.6%増の5208億円と発表した。ヒット商品の不在やテレビの通販枠の高止まりなどで市場は停滞期に入っていると見られるが、市場シェアの高いジャパネットたかたが“復活”し、市場を牽引する通販専門チャンネル2社が堅調に推移し、市場規模拡大は維持したようだ。

通販専門放送局は上位2社が堅調

通販専門放送局では、ジュピターショップチャンネル(JSC)の2014年3月期売上高は商品力や番組力の維持・拡大、ネット販売事業の強化などで売り上げを伸ばした。これに加えて3月の消費増税前の駆け込み需要も後押しし、増収で推移した。

QVCジャパンの2013年12月期売上高は創業以来初めて売上高1000億円の大台を突破した。前年から引き続き、衣料品や寝具などの売れ行きが堅調に推移。また、調理家電やタブレット端末、オーディオ機器などの家電も売り上げを伸ばした模様だ。

テレショッパーでは、ジャパネットたかたが躍進

テレビ局から放送枠を購入して通販番組を放映する、いわゆる「テレショッパー」については、ジャパネットたかたがめざましい躍進ぶりを見せた。
ただし、ほかのテレショッパーは概ね横ばいもしくは苦戦を強いられ、閉塞感が漂う。

明暗が分かれたキー局通販

在京キー局またはグループ会社が実施するテレビ通販は、明暗が分かれた。ここ数年、高い成長を続けてきた日本テレビ放送網の前期の通販売上高は、前年比6.8%減の101億6800万円と2期連続で減収。グランマルシェのテレビ通販売上高も5.4%減の87億円。

一方、ディノス・セシールのテレビ通販売上高は同13.3%増の90億8400万円と2ケタ増で推移。テレビ東京ダイレクトは4.7%増の67億7600万円、ロッピングライフが2.4%増の87億6700万円と伸びている。

業績を伸ばすヒントは、ジャパネットたかたにあり!

金額的には拡大しつつあるにもかかわらず、どこかに停滞感が漂う通販市場だが、総じてジャパネットたかたに学ぶべきではないだろうか?

テレビ販売の構造的な低迷で一時期業績が落ち込んだジャパネットたかたの高田明社長は、「シニアの皆さん、ぜひタブレット端末を始めて、『人生が変わった』というご意見をください!」と声を張り上げる。

ジャパネットたかたの価格は、ほかのインターネット通販や家電量販店と比べて安いわけではない。しかし、パソコンやタブレット端末など、高齢者が敬遠しがちなデジタル家電に専門の担当者が自宅を訪問して設定するサービスをつけ、さらに60分間の無料レッスンをつけて、魅力を打ち出した。

シニアはなぜ家電量販店で買わないのかといえば、多くの機種から1つを選ぶことが難しいからだ。その点、1つを選んで「これがお薦め!」とやってくれるジャパネットたかたはありがたい。
その売り方は、あらゆる商品を扱うスーパー型のアマゾンとは全く別の「提案」による販売に磨きをかけたものだ。

高田社長の闘い方を見ていると、「結局、ビジネスは智恵と工夫なのだ」という気がしてくる。