物流変革とEC:ZOZOTOWN、当日配送を無料化の力点シフト/PAL、1出荷あたり450円
当日配送が標準の「スピード時代」を見据えた戦略
株式会社スタートトゥデイは、運営するショッピングサイト「ZOZOTOWN」において、これまで無料で提供してきた商品配送料を、10月1日から3,000円以上の場合に限り無料とするよう変更する一方、即日配送サービスの手数料を無料化することを発表した。
「ZOZOTOWN」のほか、「ZOZOVILLA」「ZOZOOUTLET」も対象となる。
ZOZOTOWNは2012年11月1日より配送費を完全無料化していたが、今回、無料サービスは3,000円以上の場合に限定する。
その代わり、従来有料サービスとして提供していた即日配送の手数料(500円)をすべて無料とするとのこと。
即日配送のサービス対象エリアは現在、東京都・神奈川県・埼玉県・千葉県(離島を除く)だが、今後は関西を中心に順次エリアを拡大していく予定だ。
スタートトゥデイの料金変更の背景には、パートナーとするヤマト運輸の物流変革があると思われる。ヤマト運輸は、2013年8月に神奈川県厚木市に24時間稼働する「厚木ゲートウェイ」を、10月に「羽田クロノゲート」を開設。2016年には、同様の物流基地を中部と関西でも竣工させる予定だ。
スタートトゥデイは、今後、アパレルのネット販売は当日配送が標準の「スピード勝負」になると見て、体制づくりを進めているのだろう。現実問題経営を圧迫する「無料」に一定の基準を設けて、そのリソースを首都圏・中京・大阪周辺の都市型消費者に振り向けていく戦略かと思われる。
PAL、5年後にはサービス0円計画も
物流では、最近次々と新しい動きが出ている。
たとえば、通販・EC事業者向けに物流代行サービスを展開するPALは今年7月から1出荷あたり450円で物流代行サービスを行う「EC-REVO ハイパーLOGI」の提供を開始している。
PALはオリジナル開発した自動梱包機を使うことで、物量が増えても常に正確な梱包を行うことを可能にし、スピード配送を実現。荷物は60サイズ(外寸合計が60cm未満)と80サイズ(同80㎝未満)に限定するが、コストパフォーマンスは高い。注サービス開始から1か月ですでに200件を超える問い合わせがあるという。
価格実現を可能にしたのは、通販の箱の上に企業の広告を貼り、箱自体をメディアとするサービス「AD-REVO」の拡大だ。
荷物を受け取った消費者は、箱を開けた後、まず自分が頼んだ商品がどんなものなのか確かめるため、同梱物の効果は薄い。しかし、箱に広告が貼ってあれば受け取ったときに自然と目に入る。
「同梱サービスよりも3倍以上の効果が出ている」とPALの辻有吾社長は語る。さらに「5年後に物流費用を0円にすることを目標に事業を展開している」というから、驚きだ。
ものの流れは企業の命運を握る。一方でダイナミックなスピード革命が進み、一方でスピードと価格を合わせた細やかな改革が進む。
ECや通販に関わる企業には、変化の早さに対応してサービス向上に取り組んでいくことが求められるだろう。