アマゾン ジャパン、徳島県と災害発生時における支援協定を締結
災害時の「個別のニーズ」に対応する配送サービス
マゾンジャパン株式会社は、5日、徳島県と「災害発生時における支援に関する協定」を結んだ。南海トラフ巨大地震など大規模な災害が発生した際、避難所に必要な物資の調達を、アマゾンの「ほしい物リスト」サービスを利用して迅速に行うことができる。アマゾンと自治体との協定は全国で初めて。
この協定は、徳島県からアマゾンへの呼びかけで実現したものだ。
徳島県では、南海トラフ巨大地震が起きた場合、人口の4分の1を超える20万人以上が避難所生活を強いられると想定している。
一方、アマゾンでは企業の社会貢献として、これまでにも世界各地の地震、津波、ハリケーン等の大規模災害により被災した地域へ物資を届ける活動を行ってきた。日本でも東日本大震災の際には、約7,000か所以上の避難所、学校、非営利団体、個人宅等に合計10万個以上の物資を届けた。売買によるものが多く、単純な「提供」ではないが、十分に高い評価に値する。
また、関連するアマゾンウェブサービスは、インターネット上で情報発信をしたい被災者のためにITインフラの支援をした実績を持つ。
徳島県庁で行われた締結式で、飯泉嘉門知事は、「助かった命が、劣悪な避難所生活で心身共に疲れ、災害関連死を起こす悲劇を繰り返してはいけない」と述べ、世界に発信できるモデルにする抱負を語った。
一方、ジャスパー・チャン アマゾン社長は、「東日本大震災のとき最初に要望のあった物資は、食べ物でも水でもなく、チェーンソーだった。個別のニーズに対応することが重要だ」と意義を強調した。
チェーンソーは何に使われたのだろうか? 倒壊した家屋で柱や壁を切断するのに必要とされたのだろうか?
いずれにしても被災直後の緊急活動に役立ったことが推測され、「個別のニーズに対応する重要さ」がうかがわれる。
「ほしい物リスト」を利用した合理的なシステム
アマゾンの支援は「ほしい物リスト」サービスがもとになっている。「ほしい物リスト」は販売されている商品の中から、自分がほしい商品を登録しておく仕組みで、閲覧した人が商品を購入して人に送ることもできるため、誕生日のプレゼントなどで利用されている。
アマゾンではこのサービスを災害時に応用し、避難所ごとに必要な物資と数量をリストに公開できるようにした。支援したい人が物資を購入すると、数日で避難所に届けられる。
「被災地」と聞くと、まず食料・水.衣類などの支援が思い浮かぶ。確かにそれも必要にはちがいないが、実際に必要とされるものは千差万別だ。たとえば乳幼児や高齢者向けの流動食などは、忘れられがちだ。
「ほしい物リスト」を利用すれば、災地が求める物資と送り手側のミスマッチを解消して、各避難所の細かなニーズに対応できる。道路の復旧状況次第だが、「ほしい物」が届くスピードも期待できる。
今後、さらなる拡大を期待したい。