楽天カンファレンス潜入!三木谷浩史氏が登壇「AIを積極活用、配送拠点も大幅強化」を明言

石郷“145”マナブ

 楽天株式会社(以下、楽天)は、楽天カンファレンスを実施している。まず、代表取締役社長兼会長の三木谷浩史氏が登壇し、今後の方向性を説明した。

 最初に強調したのはグローバル企業としての意気込みだ。既にグローバル化は社内から始まっており、楽天に絡むエンジニアの約40%が海外の人だとしており、世界に通用する最新のノウハウを結集して、サービスのクオリティの向上を務めながら、サービスそのものも世界進出を図っている。

 Viber もRakuten Viberという具合に、楽天という名前を入れてそれを世界にの広める動きをし、ブランドとしての価値向上を進めている。また、その中で楽天IDの登録を促し、ブロックチェーンなどを使って楽天スーパーポイントの活用するなどして、楽天経済圏を生かした未来についても言及した。

 そして、話は国内の方向性に移すと、オンラインとオフラインの融合としてウォルマートとの業務提携の話を挙げ、米国アマゾンによるホールフーズ買収などの話にも触れ、融合は時代の流れであると説いた。

ネットをベースにリアルを変えて行く楽天

 融合しかり、ネットをベースにした経済へと変わりつつあるとし、自らの体験も交えて上海の例をあげた。例えば、支払いにおいても現金で済ませるのは日本人だけで、多くはモバイルペイメントを活用していることに衝撃を受けたと話しており、他にも、ライドシェア、バイクシェアが日常になっていて、中国の方が10年ほど先に行っているのではないかと感想を述べた。また、あわせて、この流れは傾斜は違えど、日本にも来ることとなり、楽天もそれに備える意向を明らかにしている。

 国内の状況については楽天も大きなチャレンジが必要と話しており、具体的には配送ネットワークの話をトピックとして挙げて、出荷を制限せざるを得ない状況への対処するとした。

ついに楽天が配送問題に関しての対応施策を明らかに

 多くの店舗が配送業社などから値上げの提案を受けているのでは?と話し、サプライチェーンマネジメントの強化に触れた。すでにRakuten Directでは自社の物流を持っているが、ここにとどまらずデリバリーのネットワークを変えていくと話した。

 そして、「楽天は『ワンデリバリー』を実現しなければならない」と話し、注文してから届けるまでを全て楽天の上に乗せていく意向を明らかにし、それを2年以内に構築していく決意を見せた。宅配は基本、CtoCがベースに使われていることに着目。

 三木谷さんがいうのは、そこの考え方にとらわれない配送だ。例えば、楽天グループの企業がBtoB用に用意された物流網を生かして、自ら届けることも視野に入れ、他にも大手私鉄の沿線については、その子会社が届ける案や楽天の出店店舗自体が受け取り拠点となるなど、「ワンデリバリー」を実現する為のネットワークを各社の協力を得ながら実現していきたいと話している。

コンビニ&郵便局受け取り、楽天の強みを生かしたサービス向上

 また、受け取り拠点は受け取り場所の多様化を進めるだけでなく、昨日発表した通り、郵便局での受け取りも可能にして、再配達を未然に防ぐ。

 また、今までの配送が基本、人の手により行われていたことにも着目し、楽天としては配送をAIと結びつけることで、配送の精度が上がるとしている。例えば、楽天グループ各社ではあらゆるジャンルでIDを持つユーザーとの関わりをもっていることから、人の属性を浮かび上がらせることができるとした。そこに基づけば、「この人は朝何時にいることが多い」というのが導き出すことも可能となり、楽天の強みを生かすことで、最適な配送が実現できる、としたのだ。

 さらに、ウェアハウスマネジメントも強化し、物流拠点を10箇所まで増やし、カバーしきれない離島については、ドローンを活用していくまで説明しており、驚いた。先日の西友との連携により生鮮食品のようなものに関してはそうした拠点も活用し、、シェアリングエコノミーの可能性にもチャレンジし、自転車を使って配達するなどの方向性も模索することを明らかにした。従来の既成概念にとらわれない物流が実現するかもしれない。

決済に関してもテコ入れすると発表したほか、チャットの装備も約束

 物流に話は止まらない。決済についてもこれまで、支払い手段は店舗により違っていたものを、一つにするとし、これをワンペイと呼んで推進していくというのだ。

 更に、店舗でチャットを標準装備させたいとした。タンスのゲンを壇上に上げて、店舗のスタッフに対して質問をチャットで行いリアルタイムで答えるその実演をこの場で行なった。三木谷さんによれば、動画とか説明文では分かりきれない要素をこれで伝えるとした。

 また、これをAIで効率化するという話もしており、最初のうちはAIは限定的ではあるが、情報が蓄積されることで店舗の機能をフォローする役割をより果たしてくれるようになると話している。

 ただ、チャットに関しても覚悟を持って取り組む必要ありとしており、それのためのスタッフを用意する必要性についても話していた。この点に関しては上記に書いた「楽天ペイ」などで今までスタッフがやっていたことを楽天が引き受けることで、自然とそちらのほうにリソースを移していけたら理想、と話している。

 楽天は今まで投資してきたものを、多様化するお客様対応に活かせるように変化させていく様子がうかがえて、ある意味、単純に商品のストーリーを伝え商品を売る場であったこの楽天が、お客様との意思疎通を図って相互に関係性を強化するための場所へと変化していることが感じられた。

 それゆえ、店が楽天の中でやることも変わってくるように思うし、楽天が店舗に対してフォローする中身も、今回の物流を筆頭に、大きく変わっていくに違いない。新時代の楽天とあなたはどう向き合うのだろうか。


記者プロフィール

石郷“145”マナブ

キャラクター業界の業界紙の元記者でSweetモデル矢野未希子さんのジュエリーを企画したり、少々変わった経歴。企画や営業を経験した後、ECのミカタで自分の原点である記者へ。トマトが苦手。カラオケオーディションで一次通過した事は数少ない小さな自慢。

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