ECコスト意識「物流費が最も負担」約3割/日本ネット経済新聞調査

「広告宣伝費」よりも負担感が強まった「物流費」

日本ネット経済新聞が、EC事業者を対象に行ったコスト意識調査の結果を発表した。「最も負担に感じている費用」を選択式で聞いたところ、「物流費」と回答した企業が全体の30.6%を占めてトップだった。

コスト意識調査は9月、全国のEC事業者を対象に実施したものだ。調査方法はアンケート方式で、有効回答数は36社だ。

EC事業で負担に感じている費用を聞いたところ、「物流費」(30.6%)、「商品原価」(19.4%)、「広告宣伝費」(16.7%)、「システム費用」(16.7%)、「サイト制作・メンテナンス費用」(11.1%)、「顧客対応費用」(2.8%)、「その他」(2.8%)の順だった。
 過去2年間トップだった「広告宣伝費」は3位となり、代わりに「物流費」が3年ぶりのトップとなった。

物流費の負担感が高まっている背景には、配送会社による運賃の値上げに加え、通販の送料無料が広がっている現状があるのだろう。
実際、「物流費」を最も負担に感じると回答した11社のすべてが、過去1年以内に配送会社から運賃の値上げ要請を受けていた。

「送料無料」に対抗するサービスの開発が重要

調査によれば、値上げを受け入れた企業からは、「運賃値上げが利益圧迫の要因になった」(家具・インテリアEC)、「大手が寡占状態なので受け入れざるを得ず、厳しい」(アパレルEC)、「アマゾンや大手企業との配送料の差が開いて戦えなくなる」(食品EC)といった意見が挙がったという。

ヤマト運輸、佐川急便、日本郵便の大手3社の法人割引見直しにより、安く配送できる選択肢は極端に減った。EC業者にとって、宅配便は仕事の生命線であり、省くことはできないため、影響は大きい。

アマゾンのマーケットプレイスや楽天のスーパーロジスティクスなど、仕分けや梱包などの物流関連サービスを提供するシステムを利用するのもひとつの手だが、すべてのECサイトに適しているわけではない。

中小のEC業者にとって、送料無料のアマゾンは脅威だ。
送料が高くても買ってもらえる商品やサービスを開発するなど、対策を構じていくことが大切だ。