「2017年 日本の広告費」が示す数字に思う、この時代に欲される広告のあり方

ECのミカタ編集部

 株式会社電通(本社:東京都港区)は、日本における総広告費と、媒体別・業種別広告費を推定した「2017年(平成29年)日本の広告費」を発表した。

 2017年(1~12月)における日本の総広告費は前年比101.6%の6兆3907億円で、2012年から6年連続で前年実績を上回ったという。

 日本の広告費は、マスコミ4媒体の広告費とインターネット広告費、そしてプロモーションメディア広告費に大別できる。総広告費におけるそれぞれの構成比は、マスコミ4媒体が43.7%、インターネットが23.6%、プロモーションメディアが32.7%となっている。

 ここ数年、マスコミ4媒体とプロモーションメディアの構成比が次第に低下する一方、14年以来2桁成長を続けるインターネット広告の構成比は年々高まっている。17年には日本の広告費全体の4分の1弱をインターネット広告が占めるに至っており、広告費全体を押し上げる要因となっている。また、昨年に引き続き、モバイル視聴のさらなる浸透により動画広告も続伸が期待される。

 「インターネット広告費(媒体費+制作費)」は、1兆5,094億円(前年比115.2%)と4年連続の二桁成長をみせた。ネット広告の仕組みが自動化・最適化に向けて進化していくに従って、広告配信の対象は集団から個人へと変化しつつある。

 個人に向けた配信の最適化は、One to Oneマーケティング、あるいはカスタマーセントリックに通じる考え方といえるだろう。また、アナログとデジタルの組み合わせもさまざまに進化し始めており、例えば個人対応のバリアブル印刷でQRコードを掲載したダイレクトメールを送付し、個々の顧客をウェブに誘導する仕組みで成果を上げているケースもある。

「アナログかデジタルか」ではなく、効率的な組み合わせを模索する

 全てをデジタルで完結させようとしてメールマガジンを配信するよりも、実はアナログな印刷物などを送付した方がウェブへの誘導効果が高く、有効なデジタルマーケティングにつながるというケースも増えてきている。

 インターネットが普及してから二十余年。さまざまな出来事や経験を踏まえたところで、生活者も企業も、アナログかデジタルかの二者択一ではなく、それぞれの嗜好に応じた新たな組み合わせ、効率的な組み合わせを模索しているといえるだろう。

 時代はテレビや雑誌からインターネットへと大きく切り替わりを見せてきている。その全てが取って代わられようとしているわけではなく、モノとしての広告にもう一度スポットライトが当たっていたりと、「本当に欲されているものは何だろうか」という問に対して答えが出つつあるといったところだろうか。

 これから動画コンテンツがより一層普及した時にまた世の中は変わってくる。常にユーザー目線に立ち、欲されるものをしっかりと提供していくということがいつの時代でも基本になるのだ。

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