池袋PARCOに10台の「AmazonEcho」を設置。「おもてなし」までロボットは代替できるのか

ECのミカタ編集部

 株式会社パルコ(本部:東京都渋谷区)は、池袋PARCO館内の複数箇所にAmazonのスマートスピーカー「AmazonEcho」を設置し、PARCOに来店されるお客様に対して音声対話によるご案内サービスを開始する。

 パルコは「独自の先行的 ICT 活用」を中期経営計画の事業戦略の柱のひとつとして掲げており、店舗でのデジタル環境を整備することで新たな消費体験の提供を推進している。

 その一環として全国のPARCO館内にて様々なロボットを活用したご案内の実証実験を実施してきた。2017年には、東京都産業技術研究センターとの共同事業として、08ワークス株式会社及び日本ユニシス株式会社と共同で、商業施設・小売店等での業務に特化したロボット「Siriusbot(シリウスボット)」を新規開発し、実証実験として実際に来店される利用者へ館内の案内サービスを提供した。

 パルコは、2017年11月にAmazonが提供するクラウドベースの音声サービス「Amazon Alexa」向け音声対話アプリケーションとして、商業施設のご案内に特化した「PARCO スキル」を開発しており、この度、実店舗への設置を開始する運びとなった。

 端末が小型である特性を活かし、ご案内のニーズが想定される複数箇所(10カ所)に設置することにより、これまで案内が行き届かなかった場所でも、気軽に問合せをしてもらえる接客環境の実現を目指しているという。

 利用者がAmazon Echoに話しかけることにより、池袋PARCOのショップ、レストラン、取扱い商品に関する情報や、周辺施設の情報について音声で検索することができるようになる。池袋PARCOのインフォメーションカウンターにて日々集計を行っている問い合わせ記録のなかで、よくあるご質問を中心に600種類を超えるバリエーションの質問に応答することが可能だ。

「新しいショッピング体験」に挑戦するパルコ

 いよいよ人の仕事をロボットが代替する時代が本格的に到来してきたと感じる。面白いなと感じるのは、「ロボットは単純な仕事から奪っていく」と、よく聞くのだがパルコは「おもてなし」という人が最も得意とする分野へあえてロボットを投入しているという点だ。

 掃除や在庫整理などではなく、接客の部分を機械にある程度委ねている。もちろんまだまだ人件費を削れる段階の精度ではないだろうし、むしろ実証実験にはコストがかかる。

しかし、これが「新しいショッピング体験」へと繋がるのであれば未来が見えてくるということなのだろう。

 AIにより、購入した商品や来店履歴、好きな商品の傾向などユーザー一人ひとりに合わせた情報提供が実現できるようになってくれば人間の記憶力など遠く及ばない。そして将来的にそれは十分に起こりえる。

 パルコの先進的な取り組みは、小売業のシステムを根幹から覆すものになるかもしれない。未来は誰にもわからないが、「挑戦した者」だけがそれを手にする権利があるのだと痛感した。

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