中国の急成長するソーシャルECサービス『Pinduoduo(拼多多)』が30億ドルの資金調達か

ECのミカタ編集部

中国のソーシャル ECプラットフォームPinduoduo(拼多多)は、Tencent Holdings(騰訊控股)のリーディングによって30億ドルの資金調達に至ったとみられることが明るみになった。

異例の急成長をとげているPinduoduo

2015年に設立されたPinduoduoは、リリースからまもなく3年になる。そして中国で最も成長の速い EC関連事業者の一つとなり、アプリ上で、のべ約3億人のユーザーを集めた。2017年には、取扱高が1,000億人民元(約1兆7,000億円)を超えており、この金額はTaobao(淘宝)が5年前に、JD(京東)が10年前に到達した金字塔に匹敵する。

中国では、アリババ経済圏とテンセント経済圏がEC市場という熱いバトルフィールドで激しくぶつかり合っている。京東やVipshopといったテンセント陣営のEC関連企業の攻勢が勢いを増し、アリババの牙城に食い込もうとしているのだ。Pinduoduoもテンセント陣営の一員としてEコマース分野で急成長し、テンセント経済圏拡大に貢献している企業だ。

ユーザー自らが進んでセールスマンになる仕組み

ユーザー自らが進んでセールスマンになる仕組み

Pinduoduoが得意とするのはソーシャルEC分野だ。テンセント陣営が好むWeChatやQQといったSNSを活用し、グルーポンのような共同購入型のビジネスを合わせ持った企業で、サイト上で取り扱う商品の安さでも定評がある。

Pinduoduoでは、単品だけを購入すると大変割高な価格となるが、既定の販売個数をクリアすると、かなり割安な価格を享受できる。そこで、商品が欲しいユーザーは、自らがより安い価格でそれを得るために、目的の商品のセールスマンと化して友人知人を巻き込んでいくのだ。つまり、WeChatユーザーなどを無料のセールスマンとして巻き込んでしまうという斬新なビジネスモデルを構築しているのである。

このビジネスモデルは、主に文化的な意味で日本市場にはマッチしにくいかも知れないが、東南アジアのインドネシアやフィリピンなどのSNSを好む国やインドなどでも受け入れられる可能性があるだろう。

Pinduoduoの時価総額は、約150億ドルに

そのPinduoduoが今回、 Tencent Holdings(騰訊控股)のリーディングによって30億ドルの資金調達に至ったことが明るみになった。今回の資金調達には Sequoia Capital も参加しているようだ。この新規出資を受けてPinduoduoの時価総額は、実に約150億ドルに達する見込みだ。

Tencent Holdings は、Pinduoduoが2016年に実施したシリーズ B調達ラウンドにおける投資元のうちの一社だ。Pinduoduoは、オンライン小売への進出に関心を示してきた Tencent にとって、重要な戦略的関係を持つ。Pinduoduoは、小規模都市の低収入層をターゲットにしてきたことが功を奏し、中国の競争の激しいオンライン小売業界で事業を拡大してきた。

今回の資金調達の目的や同社の今後の動向についての詳細に関する情報はまだ無い。しかし、その額の大きさから、なんらかの大々的かつ具体的な施策のための資金調達であるのは明白であり、その選択肢の幅も広いと言えるだろう。今後のさらなる展開に注目したい。

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