2020年、最新テクノロジーが私たちの買い物を変える〜次世代スーパー、自動運転etc〜

ECのミカタ編集部

 ECサイトの登場によって、私たちの物の買い方は大きく変わった。しかし、この買い物の変化はまだまだ序章に過ぎないかもしれない。なぜなら、テクノロジーの進化によって、新たな買い物のスタイルが誕生しつつあるからだ。果たして、それはどのような変化なのだろうか。2年後の2020年の変化に想いを馳せながら、その萌芽を見てみよう。

アリババの次世代スーパーは「購入してからわずか30分でお届け」

 EC業界の巨人・アリババ。そのアリババは「ニューリテール戦略」という新たな戦略を打ち出している。そして、その中核を担うのが「盒馬鲜生(ファーマーシェンション)」という新たな小売店舗の展開だ。

 盒馬鲜生は、商品を購入するスーパーマーケットの役割だけでなく、レストランやオンラインショップ、ロジスティックを複合したものだ。現在は、上海や北京などに13店舗展開している。

 盒馬鲜生は日本人が持つ買い物の常識とは大きくかけ離れている。なんと、店舗から5km 圏内であれば、購入してからわずか30分で配達が完了してしまうというのだ。これを実現してしまうロジスティックを、盒馬鲜生は持ち合わせている。商品を購入する際は、商品についているEタグをスマホでスキャンすれば、その情報を確認することができ、決済をオンラインで完了させることができるのだ。

 また、盒馬鲜生は商品を購入するだけにとどまらない。店舗で販売している食材を、盒馬鲜生にあるレストランで調理してもらうことも可能だ。このように、EC大国の中国は新たな小売のあり方を提唱するようになっている。

「e-Palette Concept」は日本発の新たな買い物のあり方を実現する!?

「e-Palette Concept」は日本発の新たな買い物のあり方を実現する!?

 お店が自分の家の前にやってきたなら・・・

 空想のような未来が、ひょっとすると実現するかもしれない。そんな予感をさせるのが、2018年1月にアメリカで開催された「CES」でトヨタ自動車が発表した「e-Palette Concept」(以下、e-Palette)だ。

 e-Paletteはクルマの技術をオープンにして、クルマをデバイスとしてサービスを提供するという点が新しい。思えば、iPhoneにしても、iPhoneが何かをするというよりは、何かをするためのプラットフォームになっている。まるで、iPhoneをクルマに置き換えるようなイメージをすると分かりやすいだろうか。つまり、クルマ=乗るためのものという概念がなくなり、あらゆる生活の利便性を高めるプラットフォームになるというわけだ。

 具体例を見てみよう。一見すると、小型のバスを思わせるような作りになっているが、内部はさまざまな形態に改造することができる。病院にしたり、小売店にするなど、e-Palette を使うクライアント次第でどのようにもできるのだ。

 この e-Palette はそうしたデバイスとしての機能を最大化させる次世代自動車の一つとして、電動化と自動運転を実現するとしている。また、すでにアマゾンやピザハット、Uber などが興味を示しており、トヨタと協業する方向で進んでいるという。トヨタが掲げる MaaS(Mobility as a Service)のコンセプトを具現化しようとしている。

 この e-Palette のようなモビリティが実用化されると、そもそも店舗へ足を運ぶ必要もなくなる。買い物の概念が大きく変わる可能性を秘めていると言えるだろう。トヨタは、2020年の東京オリンピックの際に、この e-Palette の一部の機能を搭載した車両を提供して、モビリティとして活用することを検討している。

 店舗が自宅近くに来るだけでなく、買い物そのものも多様化していく。ライブコマースという手法を使えば、ライブでやりとりして、物を買うこともある。この点、日本よりはるかに進んでいるが中国だ。KOL(Key Opinion Leader)がライブコマースでおススメする製品が、若者を中心にどんどん売れていくという。

そのライブコマースを、企業がより簡単にできるように、チャットアプリ・WeChat とそこで動くプログラムを手軽に作れるミニプログラムを掛け合わせている「WeStock」というサービスがリリースされている。これは、商品をPRしたい企業が、WeStock にその商品を提供する。そして、WeStock に登録しているKOLに対して商品を提供してライブコマースでPRしてもらうという仕組みだ。企業としては余計な広告費をかけず、宣伝を行うことが可能だ。しかも、消費者に影響のあるKOLがPRすれば、販売が促進される可能性も高い。

将来、消費者はテレビCM以外のきっかけで買い物をすることが当たり前になっていくかもしれない。

「買い物2020」を心待ちにしたい

 近未来型のスーパー、自動運転車による移動販売、ライブコマースの普及、私たちの買い物スタイルが変化する兆しが徐々に見え始めている。

 これらは単独でも消費者に大きな変化を与えているが、ミックスすることで、より強力な販売プラットフォームができるのではないだろうか。例えば、ライブコマースでPRされた製品を、e-Palette がすぐに自宅近くまで届けてくれるとなれば、もうもはや今のネット通販とはまるで違ったイメージを持って迎えられる。それはそれで、消費者にとって大きな魅力となり、ECにとって新たな未来をもたらすに違いない。

 この例は、技術的にはすでに実現可能なものの組み合わせだ。2020年、私たちの買い物は大きく変化していてもおかしくはない。物を買いたいなどの消費の気持ちは不変であっても、今のテクノロジーの変化と共に、その手段は大きく変わっていくことは予想ができ、そこでEC店舗が何を考えるか、それが問われているように思う。


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