中国ECをリードする京東集団が欧州と直結した専用定期列車の運行を開始
「京東商城(ジンドンしょうじょう)(JD.com)」を運営する大手EC&小売インフラカンパニー京東集団(ジンドンしゅうだん)(代表:劉強東 本社:中華人民共和国 北京市 NASDAQ:JD)は、2018年5月11日より、ドイツ・ハンブルクと中国・西安を繋ぐ定期貨物列車の運行を開始したことを公表した。
EC物流初の定期貨物列車
中国市場を牽引するECサイトを運営する京東集団は自社流通網も巨大だ。中国最大規模となる流通網は、中国国外に110の倉庫、900本以上の国際路線を持ち、現在224の地域へ京東商城(JD.com)で購入された荷物を宅配することが可能となっている。
今回、開通した「移動倉庫」は、中国国内最大の国際内陸港・西安国際港務区と、ドイツ・ハンブルクを繋ぐ、EC物流初の定期貨物列車となる。16日間をかけて、ハンブルグからポーランド、ベラルーシ、ロシア、カザフスタンを経由し、新彊ウイグル自治区の阿拉山口市から中国に入国し、目的地である西安国際港務区の鉄路コンテナセンターに到着する。
その後貨物は、中国エリアの京東物流によって全国各都市の保税倉庫へと送られ、最速で消費者の注文後1時間半程度の時間で商品を配達するのだ。
列車そのものが「移動倉庫」になり注文ができる
今回の定期貨物列車の開通により、運輸コストは空輸の5分の1程度、時間は海運よりも半分以上の短縮が可能となるという。貨物は現地の倉庫から鉄道のレール上の倉庫に移動し、そのまま中国国内の保税倉庫や中心部の倉庫へ移動するため、全移動工程において京東物流による追跡と厳格な監視が可能だ。
さらに、この物流モデルでは、商品が「移動倉庫」に移動した段階から世界中からデータにアクセス可能で、商品が国内倉庫に到着する前にも購入することができるのも大きな特徴となっている。
京東集団が生み出すダイナミズム
空輸は輸送速度が速いが、荷物着後の倉庫コストも安くはない。また船便は、一度に大量の物資を運べるが、反面で極めて時間がかかる。
これに対して鉄道は、比較的迅速に物資を輸送できるうえに、今回の施策のように、専用列車そのものを移動式の倉庫にするというは極めて画期的なアイデアだ。
欧州大陸やロシアとも地続きで、鉄道を使った物流を最大限活用できる中国。そして巨大ECプラットフォームである京東集団だからこそできるダイナミックかつ思い切ったソリューションと言えるだろう。