NECとマクロミルが提携し、質と量の面でより深化した消費者理解ができるマーケティング・サービスの開発へ

ECのミカタ編集部

日本電気株式会社(本社:東京都港区、代表取締役 執行役員社長 兼CEO:新野 隆、以「NEC」)と株式会社マクロミル(本社:東京都港区、代表執行役 グローバルCEO:スコット・アーンスト、以下「マクロミル」)は、生活者データの利活用領域における提携を開始した。

先進的なマーケティングソリューションの共同開発を行う

今回の提携を通して、最先端AI技術群である「NEC the WISE」を展開するNECと90カ国9,000万人以上のパネルネットワークを有するマクロミルの両社が協力し、より広くかつ深く消費者インサイトを捉えることで、先進的な企業向けマーケティングソリューションの共同開発を行う計画だ。

なお、両社は2019年のサービス開始に向けて、1.NECのAI技術「顧客プロフィール推定技術」を活用した生活者データの不足項目の補完・拡充、2.マクロミルの実施する会場調査にNECの「遠隔視線推定技術」を用いて、目に留まったポイントや視聴滞留時間などを可視化し、生活者のよりホンネに近い選好傾向の分析、の2点について、4月から実証実験を行っている。

より深化した、かつロジカルな消費者理解へ

より深化した、かつロジカルな消費者理解へ

提携には、次のような背景があるようだ。昨今、ライフスタイルが多様化する中、マーケティングリサーチにおいて生活者ニーズのより深い把握が課題となっている。

そうしたリサーチでは、生活者の消費傾向や価値観に関するデータ収集と活用がその鍵となり、各企業がアンケート結果などの意識データや様々な行動データを基に取り組んでいるものの、これらは生活のごく一側面であり、生活者個人を起点にした連続する活動をトータルに捉えられているとは言えない。

その上でマクロミルは、リアルとサイバーそれぞれの領域で、業界をまたいだ生活者起点のデータを広く収集・分析し、より深い消費者インサイトを捉えることで顧客企業のマーケティング課題解決に貢献してきた。

一方のNECは、長年にわたりAIの研究・開発に取り組み、世界トップクラスの精度を誇る「顔認証技術」や、データ分析プロセス全体を自動化・簡易化する「dotData - 予測分析自動化」などの最先端AI技術群「NEC the WISE」により社会やビジネスのニーズに応えてきた。

今回、マクロミルが持つ多様なデータとNECの技術を用いて提携し、より深く消費傾向や価値観を反映したマーケティング活動に役立つデータ、そして分析価値を企業へ提供することで一致したのだ。

実証実験後のサービス開始に期待

開発を目指すマーケティングソリューションの概要は下記の通りだ。

◇1. AIによる生活者データの不足項目を補完・拡充

マクロミルが独自に収集した生活者データに対し、NECの「顧客プロフィール推定技術」を活用することにより、生活者の詳細プロフィールや購買情報などの実績データを補完・拡充する。データソースを推定拡張することで、顧客企業のより精緻なマーケティング活動への貢献を目指す。

◇2. 消費者調査を高度化し、よりホンネに近い選好傾向を分析

マクロミルが行う会場調査(CLT、Central Location Test)に、モニター(調査対象者)の視線方向を高精度に検知できる「遠隔視線推定技術」などのNECのセンシング技術を用いることで、アンケートで得られる意識データだけでは分からないモニターのホンネに近い選好傾向を分析する。さらにマクロミルの脳波データ分析技術を用いてモニターの主観に基づいた意識データと実態に基づいたデータを組み合わせて分析することで、より深い生活者ニーズの理解を目指す。

◇3. 多様なデータと最先端の分析技術による、マーケティング活動の高度化

マクロミルが保有する豊富な生活者データを、NECの「dotData - 予測分析自動化」を用いて、企業のマーケティング活動における高度なサポートの検討を行う。マーケティング用に整備されたデータを一定規模保有する企業だけでなく、保有しない企業へも高精度なデータ分析を行い、自社データだけでは想像もしなかった結果から、より効果的な活動を可能とするサポートの提供を目指す。

今後は、実証実験などを通し、マクロミルの持つ豊富なデータ群、NECの技術力を融合させ、両社で新たな生活者データ利活用事業の開発が進められる見込みだ。

これまでは、消費者一人一人の主観や感情面まで掘り下げた趣向分析や、デバイスを横断した消費行動、ビッグデータを目的に沿って分析するなどの施策は、技術的なものを含めて多くのハードルがあった。今回の提携によって、質と量の面でより高度は消費者理解へつながるものとみられ、EC事業はもちろん、広く企業のマーケティング活動に応用できるものとみられる。実証実験完了後の具体的なサービスの提供開始にぜひ期待したい。


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