PayPalは2015年eBay離れを公式発表 傘下抜け出し独走への道をいく

スピンオフの話題が正式にリリース 事業分割は2015年第2四半期完了の見込み

世界最大規模の海外オークションサイトeBayの膨大な取引を支える決済サービスとしてアメリカを中心に世界中で広く普及しているPayPalが、今回親会社であるeBay傘下を抜け、独自の企業として動き出すことを発表した。
一ヶ月ほど前よりこのスピンオフの話題はあがっていたが、正式に発表されるのは今回が初。PayPalは1998年創業、2002年にeBayが買収した。13年という年月を経て、新しい動きへの注目が高まっている。

PayPalの売上は昨年比19%アップの72億ドル、eBayの99億ドルという売上は下回るものの、成長率はPayPalが上回っているとされている。
eBayの分社は以前より多くの株主が望み要求していたことであった。今回その戦略的見直しが受け入れられた背景には、AppleがApple Payで、阿里巴巴集団がAlipayで、それぞれオンライン決済サービスに参入し、決済分野での競争が急激に加熱する兆しを見せ始めたことなどがあるだろう。決済手段を独自に持つ、あるいは買収し取り込むというプラットフォーム事業者の必須環境において、eBayにとってのPayPalは目指す方向性に違いが出てきたように映ったのかもしれない。
eBayとしてはEC決済の効率化をPayPalに期待していたが、昨今のPayPalはモバイル支払い分野で特化を見せはじめ、将来的戦略としてECを離れ総合支払いサービス業に向かう動きを見せている。前出の、ライバル業者の独自決済サービスの流れを受け、開き始めた両社方向性の違いが深刻な決断材料へと変遷していったのではないだろうか。

分社前と後の両社

eBayはモバイル経由で年間200億ドルの売上を上げており、今回の同社の発表によれば、PayPalの急成長により利益面で大きく支えられてきたとのこと。
またPayPalは、eBay傘下を抜けることによりAppleや阿里巴巴など従来ライバルであった企業とも提携できるようになり、成長と拡大の加速が予測される。

両社ともに、分離後は新しくCEOが任命される。eBayではマーケットプレイス担当プレジデントであるDevin Wening氏、PayPalではプレジデントのDan Schulkman氏がそれぞれ着任する予定である。

相互に新たな展開が期待される。しかし、PayPalが独自の成長を遂げ、買収元を巣立っていくとの見解がある一方で、分社をかねてより強く望んでいた投資家の一人、カール・アイカーン氏は、「eBayにとってはPayPalはお荷物である。分社化によってeBayの会社価値は増大するはず」と主張するなど、PayPalとeBayのタッグを良い関係と思っていなかった関係者も多くいるようである。

様々な側面より、今後の両社が見せる動きには注目していきたい。