日本郵便、初の海外企業出資 国際宅配便事業への進出へ

フランス「ジオポスト」と香港「レントングループ」 との資本・業務提携

日本郵便は、フランス物流会社ラ・ポストの子会社である「ジオポスト」及び、香港物流企業「レントングループ」の二社と資本・業務提携を行うことを発表した。昨今、成長速度の著しさに注目されているアジアEC市場への展開を中心とし、国際物流事業を手がける総合物流事業者を目指し、アジアでの確固たる地位の確立を遂げようという動きである。今回の展開は、日本郵政グループにおいて初となる海外企業への出資案件となる。

提携先となる二社であるが、「ジオポスト」は小包エクスプレス事業でフランス第一位、欧州第二位のシェアを有する国際物流企業である。「レントングループ」はキャセイパシフィック航空等の空港輸送ネットワークを活用し、グローバルな郵送配送サービスを提供する国際物流企業である。
日本郵便の日本全国に渡るネットワーク、レントングループのグローバルな航空輸送ネットワーク、ジオポストの海外小包配達ネットワークを結びつけ各企業のノウハウを統合し共有化することで、高品質な国際宅急便サービスの普及するとともに、海外企業との関係強化や人事交流を行い国際物流事業の発展に尽力する姿勢を見せている。

従来の国際郵便やEMSでは提供が不可能であった、関税元払いなどの付加価値サービス等の機能を備え、小口郵便を安定した品質かつ低廉価格で確実に手軽に届けることのできる海外向け国際宅急便サービスを、本年度秋頃より開始する。従来のサービスをブラッシュアップすることで、よりユーザーのニーズを満足させるハイグレードなサービス提供を実施し、新たな市場の開拓を目指す意向だ。

ボーダレス化が進む国内ECとアジア市場開拓 物流面で強力なバックアップ目指す

日本国内で海外対応をしているEC企業のイメージとして、国際配送は料金が高く時間がかかり、なおかつ扱いが雑という漠然とした認識があるのは否めない。例えば、フランスの物流事情は日本と比較した場合ラフであるというのは有名な話だが、筆者も以前配送物を紛失された経験があり、海外配送の際は業者選びをしっかりしないといけないという認識だ。
今回の日本郵便とジオポスト、レントングループの連携により、日本の配送業者の大きな強みであるクオリティの高さと丁寧さなどをワールドワイドに展開できる。これにより、配送地域の対応の幅が広がるなどの効果も期待でき、海外向けECを運営している事業者にとってこの業務提携は大きな魅力となるだろう。成長著しいアジアEC市場への本格的な参入の足がかりとしても重宝しそうだ。
日本郵政がその歴史の中で初めて海外企業との提携をむすんだ点も含め、今後の展開に期待が高まる。