【2018年度】越境ECの今を解説(前編)

ECのミカタ編集部

これまでの越境EC

越境ECはこの数年、EC業界で常に話題になっているテーマです。「越境ECが重要なのは分かっている」という方は多いと思います。「今さら越境EC?」という感想もあるかもしれません。しかし、実際に越境ECに参入して売上を伸ばしている事例は、特に中小のEC企業においては、まだ十分に多いとは言えません。

一方で、今後そういった事例が増えていく可能性はあります。越境ECについて情報は収集しているが実践には踏み切れていないという場合、今がその機会かもしれません。また、今まで越境ECについて検討したことがなかったという場合も、売上拡大のチャンスが潜んでいる可能性があります。

越境ECが注目され始めた当時は、それなりの資本やブランドがある企業でないと参入が難しかったり、越境ECならではの課題にぶつかり、長続きしないケースが少なくありませんでした。

越境EC参入の際に、まず課題となるのが、言語・物流・決済です。この3点をクリアしないと、そもそも参入すること自体が難しいでしょう。

言語は、ただECサイトを翻訳すれば良いわけではなく、消費者に不安を抱かせない説明が必要です。特に、商品ページからカートへのページ遷移、決済の場面などは、多言語化が難しい点です。
物流は、商品を確実に届けることは当然として、配送料をできるかぎり抑えることや、スピード感も求められます。
決済については、ECでは世界的にクレジットカードが利用されることが多いです。しかし、国や地域によってはクレジットカード以外の決済方法が好まれることもあります。国内のECにおいても同様ですが、希望する決済方法が利用できないというのは、カゴ落ちの大きな原因となってしまいます。他にも、国や地域によって異なる税制や法律、商習慣についても、正しく理解し、現地のルールに沿って対応する必要があります。

詳しくは後述しますが、この点を押さえていないと、致命的な失敗につながってしまいます。特に中国は越境ECに関する税制が複雑です。また、参入はできても、すぐに売上が伸びるとは限りません。現地の消費者のニーズ、トレンド、商習慣などは日本にいてはなかなか感じにくいところですし、常に情報のアップデートが必要です。

成長市場においては、少し前の情報が今は当てはまらないということが少なくありません。最新の情報に応じたプロモーション、マーケティングも必要になるでしょう。最近は越境EC参入も低コストで可能になっていますが、売上を上げるために投資が必要な場面も当然あります。参入前に、売上を伸ばすために必要な投資はいくらか、どのぐらいで回収できるのか、見込みを立てることが重要なのは言うまでもありません。

こういった越境ECの課題を、自社だけで解決するのは、なかなか難しいでしょう。しかし、心配はありません。越境EC市場の拡大に伴い、越境ECのためのプラットフォームや支援サービスが整ってきているので、それらを積極的に活用しましょう。適切なプラットフォームやサービスを利用することで、数年前に比べ、越境ECへの参入ハードルは格段に低くなっています。

越境ECの今

越境ECは、国内の多くのEC企業に、一度は検討してほしい市場です。その理由は、越境ECの市場規模の大きさと今後の成長率です。2017年の日本のBtoC–ECの市場規模は16兆5054億円で、対前年比9・1%(※)となり、十分成長市場であるように見えます。しかし、2017年の世界のBtoC–ECの市場規模は2兆3000億米ドルで対前年比24.8%となり、今後も二桁成長が見込まれています。しかし、世界的に見ると、日本のEC市場の成長率は決して大きいものではありません。

世界的なEC市場の成長は、各国の国内だけの成長ではありません。2017年の世界の越境EC市場規模は5300億米ドルで、対前年比32.5%と成長率が大きく、2020年まで対前年比%台の成長が見込まれています。世界のECユーザーは、国内だけでなく海外のECサイトも積極的に利用していることが分かります。

日本のBtoC–EC市場も成長を続けてはいますが、成長率はやや鈍化しています。また、今後進む人口減少などの社会問題も考えると、売上拡大のためには、国内の市場だけでなく、海外の市場も視野に入れた方が良いというのが感じられるのではないでしょうか。

前段で説明した通り、数年前に比べて、越境ECのプラットフォームや支援サービスは格段に整っており、それらを活用することで、低コスト、低リスクで越境ECに参入することも可能です。特に、オリジナル商品を持っている企業にはチャンスがあります。「越境ECなんて無理」と決めつけず、ぜひ一度は検討してみることをおすすめします。

特に、これまでECに本格的に取り組んだことがないというメーカーなどの企業にも、越境ECは参入を検討してほしい市場です。近年、国内でもメーカーのEC参入が増えていますが、越境ECでもそれは同じで、消費者に直接商品を販売することができます。模倣品や偽造品が横行している現状を考えると、直販であることは消費者にとっても魅力的です。実際に、メーカーが越境ECに参入する例は増えていますし、メーカーを対象とした越境EC支援サービスも出てきています。

販売先は 米国・中国だけではない

越境ECというと、米国や中国のイメージが強いと思います。確かに、米国と中国は世界の越境EC市場の中で大きな存在感があります。事実、越境ECの市場規模(2015年)では、米国が400億米ドル、中国が390億米ドル、そして3番目の英国は120億米ドル、4番目のドイツが90億米ドルと米国、中国が他の国を大きく引き離しています(※)。越境ECの利用者数(2015年)も多く、中国が7000万人、米国が3400万人となっています(※)。

市場の大きさでは米国が上ですが、利用者数の多さから、中国市場の成長の余地はまだまだ感じられます。米国の越境EC市場で主流となっているのがAmazonやeBay、中国の越境EC市場で主流なのはTmallGlobalやJD・com、Kaora.comです。Amazonは当然ですが、これらの名前は、耳にしたことがある人がほとんどでしょう。

しかし、市場が注目されている分、米国・中国は越境ECの激戦市場にもなっています。世界の越境EC市場の規模からも分かるように、越境ECは米国・中国以外でも盛んです。米国・中国で競争に勝ち抜いて行くのも一つの方法ではありますが、他の国や地域を狙うというのも効果的な戦略です。

越境EC市場は、世界の様々な国と地域にあります。中でも日本のEC企業にとって進出しやすく、チャンスをつかみやすい市場が、台湾やインドネシア、ベトナムなどの東南アジアです。台湾のEC市場は成長率が大きく、2015年の市場規模は1兆台湾元で、長らく成長率二桁台を保っています。

その成長の原動力となっているのが、女性の購買力の高さです。台湾の女性は、親と同居している人が多く、貯金をあまりしないため、自由に使えるお金が多いという傾向があります。そのため、台湾越境EC市場の売れ筋商品としては、20代~30代の女性向けの化粧品や健康食品があげられます。市場規模が大きいという点では、中国市場ももちろんですが、台湾越境EC市場の大きな特徴として、「圧倒的な親日的国民性」と、「商習慣が比較的日本に近い」という点があります。中国越境EC市場では、この2点が真逆で、苦戦することが多いはずです。もちろん、台湾にも様々な人がいますし、商習慣が似ているといっても全く同じというわけではありませんが、中国市場に比べると、日本で売れている商品を同じように売りやすい傾向にあります。これは、日本のEC事業者にとって大きなメリットとなっています。

東南アジアのEC市場は、台湾などと比べるとまだ発展途上と言えますが、その分、競合が少なく進出しやすい市場でもあります。そんな東南アジアのEC市場において欠かせない存在が、東南アジア最大級のモール型ショッピングサイト「Lazada(ラザダ)」です。

Lazadaは、マレーシア、シンガポール、タイ、フィリピン、インドネシア、ベトナムの6ヵ国に展開しており、様々なジャンルの出品があります。2017年の情報では出品者数は1万5000人以上、一日の訪問者数は平均400万人程になっています。東南アジアのEC市場においては、重要な販促ツールとしてFacebookが挙げられますが、LazadaのFacebookファンは100万人以上になっています。

また、2016年4月、中国のアリババグループがLazadaを10億ドルで買収したことにより、世界的な注目が集まりました。アリババグループは、2018年3月に20億ドルの追加投資も行っており、東南アジアEC市場におけるLazadaの存在感が高まっています。Lazadaは、展開している国ごとにドメインが分かれており、出品する場合はまずマレーシアのLazadaに出品することになります。その後、販売状況に応じて、他の国へ出品できるようになります。Lazadaは、「東南アジアのAmazon」と呼ばれる存在でもあります。それは、商品数や出品者数の多さはもちろん、配送業務をLazadaにアウトソースできる点など、出品者に対するサービスもAmazonに似ているためです。東南アジアに進出する場合は、ぜひLazadaを活用しましょう。

※「平成29年度 我が国におけるデータ駆動型 社会に係る基盤整備(電子商取引に関する市 場調査)」(平成30年4月 経済産業省発表) のデータに基づく


【2018年度】越境ECの今を解説(後編)へつづく
https://ecnomikata.com/ecnews/20401/

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