セコムグループのTMJとEmpathが提携しAIを活用した新コールセンター・ソリューションを構築
音声感情解析AI 「Empath」を開発する株式会社Empath (本社:東京都渋谷区、代表取締役CEO : 下地貴明、以下「Empath」)は、コールセンターBPOの提供を行うセコムグループの株式会社TMJ(本社:東京都新宿区、代表取締役社長:丸山 英毅 以下「TMJ」)と音声感情解析を用いたコールセンター・サービスの構築のため、2018年12月27日に事業提携契約を締結した事を公表した。
当該事業提携契約締結により、Empathの音声感情解析AIとTMJのコールセンターBPO領域における知見に基づいたコールセンターAIを両社で共同開発し、応対品質向上による成約率増加ならびにオペレーター・ケアによる離職率低減を推進するとしている。
コールセンターが抱える2つの課題に対応
Empath社によれば、コールセンターでは、一般的に各オペレーターの応対品質のばらつきが問題となっており、品質の平準化ならびに向上が課題となっており、この応対品質を向上させることで、アウトバウンド・コールでの成約率増加が期待されているとしている。
また、オペレーターの離職率も高くなっており、採用、教育のコストの観点から、離職率の低減も近々の課題となっている。この2つの課題を解決するために、Empathによる音声感情解析とTMJのコールセンターBPO領域における知見を掛け合わせることで、新しいコールセンターAIを共同開発していく方針だ。
提携によって生み出される効果
同社では、今回の提携によって次の効果につながるとしている。
[応対品質の向上と成約率の増加]
2015年から2016年にかけて行われたTMJとの共同研究では、アウトバウンド・コールの獲得品質に、オペレーターのモチベーション・感情表現が寄与していることが明らかになっている。そこで、応対品質の平準化および向上のため、オペレーターの感情を解析することで、オペレーターがより顧客の感情に即した適切な応対をすることを実現する。顧客の感情に即した応対を可能にすることで、成約率の増加が期待される。
また、顧客の感情を可視化することで、購買行動と顧客の感情との相関関係を導き、成約率を増加させる。これまでの両社の共同研究の成果では、特定の感情値と成約率との相関が明らかになっている。こうした成果を踏まえ、顧客の感情解析に基づき、オペレーターにリアルタイムにAIから指示に与えることで成約率を向上させる。
[オペレーター・ケアによる離職率低減]
Empathを活用することで、オペレーターのメンタル・ヘルスケア、ならびに離職率防止を実現する。音声感情解析を搭載したコールセンターAIにより、各オペレーターの気分状況の把握し、不調な状態が続いた場合には、上司からのサポートを速やかに受けられる仕組みを作る。こうしたサポートを通じて、コールセンターでの仕事によりやりがいを感じてもらうことにより、オペレーターがより働きやすく、長期間働き続けられる職場作りを目指す。
新コールセンターAIを外部にも展開
今後、両社は今回共同開発するコールセンターAIをTMJ内で活用し、その後外部パートナーにも販売していく予定とのことだ。
EC市場のみならずコールセンターは企業やブランド、そしてビジネスそのものを確かなものにする上で重要な存在だ。なぜなら顧客やファンとそれらをつなぐ貴重なコンタクトポイントであるだけでなく、直接的に会話などを通して豊富な情報をやりとりできるからだ。
またコールセンターは、それらの要素を通じて顧客満足度に直結する存在でもあり、応対品質は企業やブランドと顧客との信頼関係にもダイレクトに影響することになる。一方で、前述したように、コールセンターの品質の平準化と維持、熟練したオペレーターの育成はノウハウやコストの面からも大きな課題となっていた。
今回の提携により2社の知見と技術が融合し、新たなソリューションを生み出すことでそれらの課題に対応し、より高度で進化したコールセンター構築に大きく貢献することになりそうだ。