LINEがローソンを舞台にした新店頭販促ソリューションの実証実験を開始
LINE株式会社(本社:東京都新宿区、代表取締役社長:出澤 剛)は、同社が運営するコミュニケーションアプリ「LINE(ライン)」および「LINE」関連サービスを活用した店頭販促ソリューション「LINE Sales Promotion」において、「LINEウォレット」を活用した初の店頭販促キャンペーンの実証実験を福岡市内のローソン全店舗において開始した。
「LINEウォレット」を活用
LINEでは、「LINE」および「LINE」関連サービスを活用することで、店頭オペレーションの軽減や店頭POPの削減、キャンペーン参加の促進、購買行動の把握といった店頭販促における課題を解決することを目的に、店頭販促に特化したソリューション「LINE Sales Promotion」を提供している。
そのLINEが今回、新たな取り組みとして、「LINEウォレット」を活用した初の店頭販促キャンペーンの実証実験を福岡市内のローソン全店舗において開始した。
キャンペーンで効果を検証
今回の実証実験で展開されるキャンペーンでは、2018年3月よりLINEアプリ内に設置された「LINEウォレット」を活用することで、月間利用者数7800万人を超える「LINE」ユーザーであれば誰でも参加することが可能だ。
ユーザーは、LINE公式アカウントや、「LINE Beacon」によりローソン店頭で告知されるキャンペーン画面からキャンペーンにエントリーでき、エントリー後に福岡市内のローソン各店舗にて対象商品と「LINEウォレット」のマイカードを提示することで、もれなく商品の値引きを受けることができる。
「LINEウォレット」を利用した店頭キャンペーン、および「LINE Beacon」を利用したキャンペーン告知は今回が初の試みとなる。また、「LINEウォレット」の月間利用者数は2018年12月末時点で5600万人を突破しており、キャッシュレス・ウォレットレスの足がかりとなっているとしている。
【キャンペーン概要】
期間中にキャンペーンエントリー済みのユーザーが、対象のドリンクをローソンで購入の際に、LINEウォレットのマイカードから「ローソンバーコード」を提示すると、買い物全体から30円引きになり、さらに購買者の中から抽選で、50名にLINEポイント1,000ポイント分をプレゼントする(2月下旬を予定)。
※対象商品を1回の会計で複数購入したとしても値引きは30円分まで
※参加は1ユーザーあたり1回まで。当選者にのみ、LINE社の専用アカウントからポイント付与のお知らせ配信
[時期]
2019年1月15日(火)〜1月31日(木)
[場所]
福岡市内限定
[対象店舗]
ローソン(約200店舗)
[対象メーカー]
アサヒ飲料、キリンビバレッジ、サントリーフーズ、日本コカ・コーラ
[対象商品]
・三ツ矢サイダー 500ml PET
・キリン ファイア 挽きたて微糖 185g 缶
・ボス とろけるカフェオレ 500ml PET
・コカ・コーラゼロ 500ml PET
キャンペーン実施時の工数を削減しデータを活用
従来の小売店舗における店頭キャンペーンでは、シリアルコードやレシートを活用した応募、また自社アプリのダウンロードなどを前提としており、ユーザー、小売、メーカーともにコストや手間などが課題となっていたが、日本全国で広く利用される「LINE」をプラットフォームにすることで、より手軽に購買データを取得できるキャンペーンの実施が可能になる。
また実証実験では、経済産業省により作成された標準購買履歴データフォーマット*を活用しキャンペーン参加データを集積することで、生活者、メーカー、小売店、プラットフォーマーそれぞれの視点から購買データ活用の価値をはかり、今後の小売り・流通業におけるデータ利活用施策の検討、および全国展開に向けた課題の洗い出しを行うことも目的にしているという。
経済産業省では、ビジョンとして掲げる「Connected Industries」の実現に向け、小売・流通業のデータ連携およびデータフォーマットの標準化を推進しており、このたびの実証実験においても、購買データの標準フォーマットに関するアドバイザーとして参画している。
今回の実証実験で得られた福岡市内のローソン各店舗におけるキャンペーン参加者の購買データは、経済産業省の標準フォーマットに従い集積され、アサヒ飲料、キリンビバレッジ、サントリーフーズ、日本コカ・コーラといった本キャンペーンの参加メーカー各社にレポート形式で共有される。これにより、各社が店頭購買における購買データ取得・活用の可能性を検討できる仕組みの構築をサポートしていく計画だ。
*「標準購買履歴データフォーマット」とは
標準購買履歴データフォーマットは、レシートの印字項目を網羅的に洗い出し、同じ意味の項目は同じタグに格納するなどの整理を行うことで、購買履歴データを流通させる際の基本的な仕様を定義したものとして、経済産業省が2018年6月に策定したものだ。言語はデータ型記述言語であるJSONを採用し、TOPタグやデータ保有時の構造タグ以外の全ての項目を任意で省略可能とすることで、利用方法に柔軟性を持たせた仕様になっている。
新たなデータプラットフォームはECでどう活かされるか
またLINEと福岡市は、2016年に「情報発信強化に関する連携協定」を締結し、また情報発信強化の分野以外でも、2018年6月には「福岡市実証実験フルサポート事業」の「キャッシュレス」に関するプロジェクトにLINEとLINE Fukuokaを含むLINEグループが採択され、2018年8月にはさらなる連携を目指した包括的な連携協定を結んでおり、「福岡市内における消費購買活動の活性化」など7項目における共働事業を進めている。
今回の実証実験は、実店舗を舞台としてO2O施策という外形を持つが、経済産業省の「標準購買履歴データフォーマット」を活用している点で、官民合わせたこれらの購買データ活用に関して前身させるという意味でも意義深いものと位置づけられるだろう。
今後、オムニチャネル施策をはじめとしたECとの連携においても、より手軽に購買データが活用でき、新たなマーケティングの仕組みとプラットフォームの構築に道を開く可能性も考えられる。
マーケティングに関するデータは、企業秘密に関わるセンシティブな内容を含むだけに、今後、大企業だけでなく中小ベンチャーを含めた事業体がどこまでそうしたプラットフォームを活用できるかについても注目されるところもなりそうだ。