【世界の家電市場2018】大型家電市場は減少するも、その他は堅調に増加【GfK調べ】
ジーエフケー マーケティングサービス ジャパン株式会社(所在地:東京都中野区、代表取締役:藤林 義晃、以下「GfK」)は、2018年におけるグローバルの家電販売動向を公表した。
またGfKは、株式会社デジタルガレージ(所在地:東京都渋谷区、代表取締役 兼 社長執行役員グループCEO:林 郁、以下:DG)と協業し、家電メーカー向け広告効果測定ソリューションの提供を開始したことをあわせて公表している。
デジタル広告の実売効果を可視化
GfK ジャパンは、家電製品を中心に販売実績(POS)データを収集しており、このデータを活用して、広告をはじめとするマーケティング施策が実売に与える影響を分析する「GfK マーケティング・ミックス・モデリング(MMM)」を提供している。
今回、企業のマーケティング活動を支援するDGと協業し、同社の保有するデジタル広告出稿データをGfK MMMに掛け合わせることにより、デジタル広告の実売効果を可視化し、家電メーカーのマーケティング施策におけるROI向上を支援していくとしている。
同ソリューションは、家電製品のPOSデータに加え、TVCM・デジタル領域の広告出稿データ、製品価格、プロモーション、競合情報やシーズナリティ等の外部要因を組み込んだ多変量解析を基盤としている。
売上に貢献する様々な要因を定量化することで、広告の販売貢献度やその他要素との相関関係を把握することが可能となっている。また、広告出稿量や価格の変更等が実売に与える効果のシミュレーションを通じて、今後の広告の適切な予算配分や、投資対効果の向上に貢献する方針だ。
2018年におけるグローバルの家電販売動向
GfKは、2018年におけるグローバルの家電販売動向(*)について取りまとめ、その結果を公表している。
【テレコム市場】
・2018年におけるグローバルのテレコム市場は金額前年比7%増
グローバルの家電販売金額のうち44%を占めるテレコム市場は、前年比7%増の約4400億ユーロとなった。台数ベースでは市場成長が停滞しているものの、スマートフォンを中心とした高価格帯製品の需要増を受け、金額規模は大きく拡大した。地域別の動向をみると、中南米は金額前年比5%減と不調であったが、多くの地域で前年の販売金額を上回り、ヨーロッパと北米はそれぞれ同14%増、同12%増の2桁成長を記録した。
【大型生活家電市場】
・2018年におけるグローバルの大型生活家電市場は金額前年比1%減
グローバルの家電販売金額のうち17%を占める大型生活家電市場は、前年比1%減の約1770億ユーロとなった。同市場ではコネクティビティが1つのトレンドとなっており、機器間のネットワーク連携や、スマートフォン等を使用して機器をコントロールできる機能に注目が集まっている。例えば冷蔵庫では、カメラを搭載しスマートフォン等で庫内状況を確認できる製品が増えてきている。大型生活家電の地域別の販売動向をみると、中南米は金額前年比6%増、ヨーロッパは同3%、APACは同2%増と好調であった。
【IT・オフィス市場】
・2018年におけるグローバルのIT・オフィス市場は金額前年比1%増
グローバルの家電販売金額のうち16%を占めるIT・オフィス市場は、前年比1%増の約1570億ユーロとなった。
IT市場では、高性能機器の販売が好調で、特にゲームパソコンではこの傾向が顕著であった。地域別では、APACと中南米はわずかに前年の販売を上回ったが、ヨーロッパは前年並みとなり、北米と中東/トルコ/アフリカは前年を下回った。
オフィス市場は、APAC、特に中国の拡大に支えられ、前年比3%増の約160億円と堅調であった。
【AV・イメージング市場】
・2018年におけるグローバルのAV・イメージング市場は金額前年比6%増
グローバルの家電販売金額のうち15%を占めるAV・イメージング市場は、前年比6%増の約1530億ユーロとなった。
AV市場は高価格帯製品の成長により、金額前年比6%増の約1380億ユーロとなった。その4分の3程度を占めるテレビ販売は前年比5%増となった。50インチ以上の大画面モデルの拡大が顕著で、テレビの販売金額の半分以上を占めた。また、有機ELテレビは、テレビ全体の1割に満たない金額規模ではあるが、前年の2倍以上と急伸した。オーディオ販売においては、ワイヤレス製品が市場成長を支えた。ヘッドホン・ヘッドセット(モノラル除く)は金額前年比40%増と大幅に伸長し、その半分以上をBluetooth対応機が占めた。AV市場の販売金額を地域別にみると、中南米が前年比24%増と大幅に成長した。APAC、ヨーロッパ、中東/トルコ/アフリカはいずれも同4-5%増となった。
イメージング市場は金額前年比5%減と低調であったが、その中で高価格帯のカメラ販売は比較的好調であった。
【小型生活家電市場】
・2018年におけるグローバルの小型生活家電市場は金額前年比7%増
グローバルの家電販売金額のうち8%を占める小型生活家電市場は、前年比7%増の約860億ユーロとなった。小型生活家電は、コードレス掃除機に代表されるような利便性の高い製品の需要が高まり、多くの地域で前年の販売を上回った。特に中国の成長が顕著であり、APACは金額前年比13%増と大幅な成長を記録した。
--注記 --
* 世界70カ国以上における販売実績 (北米は予測) に基づく、家電(テレコム、生活家電、IT・オフィス、AV・イメージング)小売市場の販売動向。2018年1-11月は販売実績を使用、12月は予測値を使用。販売金額は1USドル=0.829ユーロで換算。
初めて1兆ユーロを超える市場規模に
調査結果にあるように、2018年におけるグローバルの家電販売金額は前年比4%増の約1兆100億ユーロを記録した。多くの製品カテゴリにおいて高価格帯が伸長し、初めて1兆ユーロを超える市場規模となった。
成長をけん引したのはテレコム、小型生活家電、AV・イメージング市場で、いずれも前年の販売金額を6-7 %上回った。地域別の金額構成比をみると、APACが42%と最も大きな割合を占め、次いでヨーロッパが25%、北米が20%、中南米が7%、中東/トルコ/アフリカが6%を占めるという結果になっている。
全体として同市場規模は微増といった所だが、その内容はテレコム分野などが牽引する形となっている。日本をとりまく家電業界の状況としては、テレコム分野を含む家電メーカー全体として、中華圏での技術開発の目覚ましい進展や猛烈なマーケティング攻勢などがあり、苦戦が続いている。かつて日本の製造業を支えた国内の伝統的な家電メーカーがはたしてどう新たな価値を消費者に提示していくのかにも注目が集まるところだろう。
ECという視点でみれば、こうした一国の製造業の状況を乗り越えて、さらに国境を越えた家電市場として発展していくことになりそうだ。