『トレンドマップ 2019冬』が公表、「EC」が経済インパクトと将来性で最高スコア

ECのミカタ編集部

日経BP社(本社:東京都港区、社長:新実 傑)は2019年2月15日、マーケティング専門メディア「日経クロストレンド」が作成した「技術」「マーケティング」「消費」の潮流を見極める「トレンドマップ 2019冬」を発表した。

同トレンドマップは、日経クロストレンドの活動に助言する外部アドバイザリーボードのメンバーと、編集部の記者などの知見を集約し、その分析結果を可視化したもので、「2018夏」に続く2回目のものとなる。なお同トレンドマップは2月15日から「日経クロストレンド」Webサイトにて公開されている。

2つのスコアでマッピング

日経クロストレンドは「技術・マーケティング・消費」の3分野について、この中から、一時の流行でなく中長期に注目すべきトレンド(潮流)を見極めることが、新規事業開発やマーケティング活動の成功の近道となるとしている。同社は、そのトレンドを直感的に理解できるよう、「現時点での経済インパクト」と「将来性」の2つのスコアでマッピングした。

分析手法は次の通りだ。「技術・マーケティング・経営」の専門家ら約40人が参加するアドバイザリーボードのメンバーと、日経クロストレンド、日経トレンディ編集部員を対象にアンケートを2019年1月に実施。

同社の編集部が選定した技術16キーワード、マーケティング21キーワード、消費22キーワードそれぞれを認知する人に、そのキーワードの現時点での「経済インパクト」と「将来性」を5段階で尋ね1~5点でスコアリングした。

質問の選択肢は下記の通りだ。

[経済インパクト]
1.どの企業も収益を得られていない/2.一握りの企業(1~2割程度)の収益に影響している/3.一部の企業(3~5割程度)の収益に影響している/4.大半の企業(6~8割程度)の収益に影響している/5.社会全体になくてはならない存在

[将来性(=企業の収益貢献や社会変革へのインパクト)]
1.将来性は低い/2.将来性はやや低い/3.どちらとも言えない/4.将来性はやや高い/5.将来性は高い

技術マップ

技術マップ同社資料より(以下、同様)。

「EC」が経済インパクトと将来性で最高スコア

「EC」が経済インパクトと将来性で最高スコア

前回調査と比べて将来性スコアが各分野で最も伸びたのが、技術は「5G」と「キャッシュレス決済」、マーケティングは「オムニチャネル」、消費は「お一人様」となった。

また、経済インパクトスコアの1位は「スマートフォン」、スコアは5点満点中の4.81となった。企業独自のスマートフォンアプリ、QRコード決済などの普及で、企業が消費者と関係を構築するうえで必要不可欠なものとなっているようだ。

将来性スコアの1位は「5G(第5世代通信システム)」でスコアは4.70。2019年に国内で先行サービスが開始される見込みの5Gは、さまざまな産業での実験を目にする段階に入り、ビジネスを変えるという期待が高まっていることがうかがえる。

マーケティング分野では「EC」が経済インパクトスコアで4.10、将来性スコアで4.67と最も高くなった。メーカーは、ECを顧客と継続的な関係を構築する新たな機会としても注目している。そうした状況も反映し、顧客がECサイトを通じて継続購入するサブスクリプション型コマースも将来性スコア4.25と3位に入った。

さらに消費分野で将来性スコアが最も高かったのは、「アクティブシニア」で4.61だった(2018夏の調査では2位)。経済インパクトスコアは3.61で、両スコアで1位になった。2位も将来性、経済インパクトともに「コト消費」が入った。

存在感を増す『EC』

トレンドマップにあるように、「5G」「キャッシュレス決済」「オムニチャネル」「お一人様」といったワードは、ネット上でも頻出するワードであり、その将来性やインパクト、あるいは市場に与える影響度を考える時にスコア上位に来るのもうなずけるだろう。

一方で、「ブロックチェーン」はネット上でも頻出するワードであるにもかかわらず、それらほどのスコアは獲得していない。当初、一般からも期待値の高い技術と概念であったが、仮装通貨の失速などにより従来ほどの精彩は放っていないようだ。

また「ドローン」や「空飛ぶクルマ」については、革新的な技術であり、人の移動だけでなく物流の面でも大きなインパクトを与え得るものだが、技術的なハードルの高さや市場での実績の少なさから、スコアの上では高くなっていないとの分析も可能だろう。

なんと言ってもマーケティング分野で、ECが経済インパクトスコアと、将来性スコア双方で最も高くなったのは特筆に値する。技術面でも、マーケティングの面でも、いかにECが大きな存在感を持って受け止められているかが明示されているとともに、それがもつ今後の成長性への期待も感じられる結果とも言えそうだ。

 


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