オイシックスとヤマト運輸の共同プロジェクトが遂に始動。農家を救う物流システムの構築へ

ECのミカタ編集部

有機・特別栽培の農産物やミールキットなどの食品宅配を展開するオイシックス・ラ・大地株式会社(東京都品川区、代表取締役社長:高島 宏平、以下、「オイシックス・ラ・大地」)と、ヤマトホールディングス傘下のヤマト運輸株式会社(東京都中央区、代表取締役社長:長尾 裕、以下「ヤマト運輸」)は、2017年10月より、農産品物流の課題解決に向けた「ベジネコ」プロジェクトを開始し、受発注からお届けまでをワンストップで効率化するオープンプラットフォーム構築に向けて共同研究を進めている。

今回その取り組みの第1弾として、2019年2月25日より「農事組合法人ながさき南部生産組合」において農産品物流特有の煩雑な受注業務や帳票作成をシンプルにするシステムの提供を下記の内容で開始した。なお「ベジネコ」プロジェクトはヤマト運輸が特許出願中だ。※「ベジネコ®」はヤマトホールディングス株式会社の登録商標

受発注から配送までをワンストップで

オイシックス・ラ・大地とヤマト運輸は、2017年10月より、オイシックス・ラ・大地の有する生産者ネットワークやヤマト運輸の有する輸送ネットワークといった両社のリソースを活用し、農産品物流の課題解決を目指す「ベジネコ」プロジェクトを立ち上げ、受発注から配送までをワンストップで効率化するオープンプラットフォームの構築に向けて共同研究を行ってきた。

オイシックス・ラ・大地は、日本の農産品物流においては多くの場合、電話やFAXで受発注の情報を集め、手作業でデータを打ち込み、再び電話やFAXでやりとりを行うといった煩雑な受発注業務が、生産者や出荷団体の大きな業務負荷となっていると指摘する。

また、物流事業者とのスムーズな情報連携の仕組みがないため、希望するタイミングやサービスレベルでの輸送が難しいといった問題が起きており、物流事業者にとっても、「積載効率が悪い」「帰り荷が無い」「長距離運行」など、働き方や収益性の面で課題がある。

「ベジネコ」プロジェクト第一弾

「ベジネコ」プロジェクト第一弾

「ベジネコ」プロジェクトでは、これらの課題解決に向けて各地の生産者や出荷団体との協議や検討を重ねた結果、「生産者や出荷団体における煩雑なデータ作業の効率化」「物流事業者とのデータ連携を含めた輸送スキームの効率化」を実現するべくシステムの開発を進めて来た。

今回「ベジネコ」プロジェクトによるソリューションの第1弾として、農産品物流特有の煩雑な受注業務や帳票作成をシンプルに効率化するシステムの提供を開始した。2月25日より、長崎県南島原市の「農事組合法人ながさき南部生産組合」が同システムを利用しており、3月11日からは北杜市農業企業コンソーシアムにも参画している山梨県中央市の農業法人「株式会社サラダボウル」での利用もスタートする。

システムの概要

【対象者】
生産者、生産組合、生産団体、出荷団体、農業法人など、農産品の生産と出荷に関わる個人・法人

【メリット】
FAXや電話での受注のやり取りや手入力によるそれらのデータ管理、手書きや複数システムを使った帳票作成など、アナログで煩雑な作業を、PCやスマホで一括して行うことができる。

[生産者]
出荷団体からの受注情報をどこでも確認できる。

[出荷団体など]
①小売店からの注文受付情報を自動で取り込み、各生産者への注文数量振り分けデータの作成作業を過去実績に基づいて自動計算で行える。
②納品書や請求書、送り状の帳票を一括で作成することが可能。

オープンプラットフォームはさらに進化する

オイシックス・ラ・大地では、2019年度中にソリューション第2弾として小売店との出荷調整の効率化などにも対応できるシステムとしての提供を開始し、第3弾としてそれらのデジタルデータを物流事業者と連携して輸送の効率化を図る仕組みをつくり、産地の販路拡大や消費地の仕入れ先拡大にも貢献できるオープンプラットフォームの提供開始を予定する。

また「ベジネコ」プロジェクトによるこのソリューションはオープンプラットフォームとして日本全国の生産者への展開を考えており、2021年までに15,000の生産者に利用してもらうことを目指す方針だ。

同社も指摘する通り、これまで日本国内の農業産品の流通はけして簡素とは言えなかった。そうした煩雑な受注から配送までの一連の流れを独自の効率的なプラットフォームで構築することは一筋縄ではいかないが、オイシックス・ラ・大地とヤマト運輸の提携でその難題を乗り越えたことになる。今後そのオープンプラットフォームはさらに進化するものとみられ、新たな展開に期待がかかるところだ。

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