ドローンビジネスは2019年に1450億円市場へ

ECのミカタ編集部

インプレスグループでIT関連メディア事業を展開する株式会社インプレスのシンクタンク部門であるインプレス総合研究所は、国内のドローンビジネス市場の動向を調査し、ドローンビジネスに関する調査結果を公表した。なお同社は、同調査結果をまとめた『ドローンビジネス調査報告書2019』の出荷(予約受付中)を2019年3月29日(金)より開始する。

[同社注釈]
■※1.ドローンビジネスの市場規模は、「機体」と「サービス」と「周辺サービス」の3つで構成される。■※2.機体市場は、業務用(固定翼及び回転翼、ローバー型、ボート型、潜水艦型)の完成品機体の国内での販売金額。軍事用は含まない。■※3.サービス市場は、ドローンを活用した業務の提供企業の売上額。ただし、ソリューションの一部分でのみドローンが活用される場合は、その部分のみの売上を推計。■※4.公共団体や企業が自社保有のドローンを活用する場合は、外部企業に委託した場合を想定し推計。■※5.周辺サービス市場は、バッテリー等の消耗品の販売額、定期メンテナンス費

ドローン市場は前年比85%増

ドローン市場は前年比85%増【図表1】 国内のドローンビジネス市場規模の予測
出所:インプレス総合研究所作成

同社によれば、2018年度の日本国内のドローンビジネスの市場規模は931億円と推測され、2017年度の503億円から428億円増加(前年比85%増)。2019年度には前年比56%増の1450億円に拡大し、2024年度には5073億円(2018年度の約5.4倍)に達すると見込まれるとしている。

分野別に見ると、2018年度はサービス市場が前年比134%増の362億円となり、昨年度最も高かった機体市場の346億円(前年比64%増)を追い抜いた。また、周辺サービス市場が前年比63%増の224億円で続いている。各市場とも今後も拡大が見込まれており、2024年度においては、サービス市場が3568億円(2018年度の約10倍)と最も高く、機体市場が908億円(2018年度の約2.6倍)、周辺サービス市場が597億円(2018年度の約2.7倍)に達する見込みだ。

各分野にドローン利用が広がる

機体市場のうち、マルチコプターに着目すると、2018年度はDJIのMAVIC 2 ENTERPRISEやPhantom 4 RTKなどに代表される小型機の性能が向上し、手軽に扱えるようになったことで、土木測量や設備点検、災害調査の分野で小型機の活用がより一層進んだ。

2019年度以降は、農薬散布や物流などで大型の産業機の活用が進むことで、産業用機体の市場が増えていくと見る。また、警察や消防の導入が進むことで、小型機の業務活用のパーソナル化(ドローンの携帯化)が進んでいくことが予想されるとしている。一方で、空以外の領域においても、ローバー型ドローン(UAV:Unmanned Ground Vehicle)、ボート型ドローン(USV:Unmanned surfacevehicle)、水中ドローン(UUV:Unmanned Underwater Vehicle)の開発や実証実験が進み、業務への活用されるものが出始めているとのことだ。

進む物流分野での活用

進む物流分野での活用【図表2】 サービス市場の分野別市場規模
出所:インプレス総合研究所作成

サービス市場において、すでに市場が形成されつつあるものは、農薬散布や空撮、土木測量、ソーラーパネルや屋根等の設備点検などだ。また、災害調査では、公共だけでなく、損害保険会社の損害査定での活用が本格化している。物流においては、人口集中地区以外における目視外飛行(レベル3)での運用が開始された。

その他の様々な業務分野では、サービス開発に向けた民間企業主体の実証実験が数多く行われて、業務への実装がはじまろうとしている段階と言えるとしている。

物流利用はまず離島や山間部から

物流利用はまず離島や山間部から

2019 年度以降は、非GPS環境下での安定飛行といった課題が一部解決するとともに、橋梁、送電線、鉄塔、基地局、発電施設、工場やビル、船舶といった点検の対象となる設備や構造物へのドローン活用の役割が明確化しつつあることにより、具体的なソリューションが開発されることでインフラや設備点検分野の利用が急速に拡大していくと予想されるとしている。また、物流は離島や山間部等に代表される配達困難地域から導入が進んでいくと見る。

周辺サービス市場では、ドローンの産業利用が進むにつれて、バッテリー等の消耗品や定期的なメンテナンス、業務環境に即した保険のバリエーションの増加などにより機体市場の拡大に合わせて成長していくと予想している。

同社が分析するようにドローン市場は急速に拡大しており、EC市場のラストワンマイルを支える物流の面での利用も進むものと見られる。まずは離島や山間部での比較的重量の軽い荷物の輸送で実績を重ねるものとみられるが、今後、安全面との整合性や法整備などをクリアしながら都市部での利用や、より重量のある荷物の輸送へも広がるかなど、その先行きについても注目すべきだろう。

 


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