新元号【令和】決定に伴い、EC事業者が準備すべきこととは?

ECのミカタ編集部

経済産業省から公益社団法人日本通信販売協会(JADMA)に宛てて、新元号「令和」公表に先がけ、改元に伴う情報システム改修等への対応について事務連絡が発出された。

急がれる情報システムの改元対応

平成31年4月1日午前11時半過ぎ、政府より新元号「令和」の発表がなされた。新元号は「初春の令月にして気淑く風和らぎ梅は鏡前の粉を披き欄は珮後の香を薫らす」という万葉集の歌からの引用となった。

これを受け、5月1日に新天皇の即位に合わせ改元が行われ、平成に代わる新たな時代の幕開けとなる。まさに記念すべき時代の節目だが、情報システムの面でも各方面で対応が急がれている。この点で経済産業省は、公益社団法人日本通信販売協会に宛てて、新元号「令和」公表に先駆けて、改元に伴う情報システム改修等への対応について事務連絡が発出された。

改元に伴う情報システム改修等への対応について

改元に伴う情報システム改修等への対応について

以下、経済産業省が出した改元に伴う情報システム改修等への対応の中身だ。

「改元に伴う情報システム改修等への対応について」
(参考:改元に伴う情報システム改修等への対応例)

◆1.情報システム改修に向けて想定される段取り・工程

《新元号公表前に行う作業》
[1]和暦の使用状況の調査とシステム改修計画の策定
[2]他のシステムとの連携における連携先の対応方針の確認
[3]プログラムの修正と動作テスト
[4]修正したプログラムの適用などのリリース作業のリハーサル

《新元号公表後に行う作業》
[1]新元号の適用(仮元号から新元号に置き換える作業のみなら
ず、OS 等のアップデート含む)
[2]印字や表示を含め、処理が適正に行われているかどうかのテ
スト
[3]他システムとの連携のテスト(動作確認、エラー修正、再確
認等)

◆2.改元対応において留意すべき事項

[1]自社内のシステムについて
(特に複数のベンダーに対応を依頼する場合、)自社内のシ
ステム間連携における新元号での連携のルールや改修の必要
箇所を把握・確認した上で、テスト計画を立案できているか

[2]自社外のシステムとの連携について
① システム連携先の対応方針について確認し、和暦の使用箇
所、改修の必要箇所を把握できているか
② 自社外のシステムとの連携におけるテスト計画を立案できて
いるか

◆3.システム改修における対応例

[1]和暦を使用しているシステムの依存関係を把握し、相互運用
を損なわない更新手順の策定
[2]データを和暦表示で保有している場合の改元以降の新元号表
記への変換
[3]書面やシステムの画面上に元号を印字・表示している場合、
印字・表示内容の変更
[4]西暦と和暦との変換処理を行っている場合、変換プログラム
の修正又は変換テーブルへの登録

なお同省が出している文章によれば、新元号の公表から改元までの間にすべての作業を完了することができない場合は、顧客との接点となる箇所など、優先順位を付けた対応が必要になるとともに、旧元号と新元号が併存する場合の運用について十分に検討する必要があるとしている。

JADMAのシステム対応チェックリスト

JADMAのシステム対応チェックリスト

公益社団法人日本通信販売協会(JADMA)は、改元に伴う情報システムの対応について次のようなチェックリストを出している。

1.1 ①調査・確認が完了しており、自組織の情報システムの和暦を使用している部分を特定できている。
②調査・確認が完了しており、自組織の情報システムでは、和暦を使用していないことがわかっている。
③調査・確認作業の最中である(部分的に完了している場合を含む)。
④今後、調査・確認を行っていく。

1.2 ①アップデートによる影響を考慮して調査しており、特段の影響はないことがわかっている。
②アップデートによる影響を考慮して調査しており、影響があるため、アップデートスケジュールを確認、注視している。
③アップデートによる影響を考慮していなかったため、今後実施する。

1.3 ①連携について考慮して調査しており、交換するデータや処理に元号の変更に影響される部分があることを確認している。
②連携について考慮して調査しており、交換するデータや処理に元号の変更に影響される部分がないことを確認している。
③連携について影響を考慮していなかったため、今後実施する。
④自組織にシステム間でデータ連携等を行う情報システムはない。

1.4 ①自組織の情報システムの改修を伴う対応が必要である。
②和暦を使用しているが、導入しているパッケージ製品のアップデート等、軽微な対応でよい。
③改修等の対応は必要ない。
④和暦が用いられている部分についての調査・確認は完了しているが、改修等の必要性については、今後判断していく。

2.1 ①全て又はほとんどの情報システムで具体化し、新元号発表前の作業(仮の2文字の元号でのテストなど)まで完了している。
②全て又はほとんどの情報システムで具体化し、確定しており、今後、作業に着手する予定である(作業実施中を含む)。
③一部の情報システムで具体化し、確定しているが、確定作業中の情報システムもある。
④全て又はほとんどの情報システムにおいて作業中である。

2.2 ①連携の相手方の対応方針等を確認しており、自組織の対応について十分に検討や調整を行っている。
②連携の相手方の対応方針等を確認している最中であり、自組織の対応については、検討中である。
③今後、連携の相手方の対応方針等を確認する予定である。
④連携に用いるデータは、元号の変更によって影響される部分を含んでいない。
⑤他組織の情報システムと連携等を行っていない。

2.3 ①改元後も旧元号を使用するが、終了時期は明確である。
②改元後も旧元号を使用するが、終了時期は未定である。
③改元後も旧元号を使用するかどうかについては、検討中である。
④改元後は旧元号を使用する予定はない。

2.5 ①保守性に配慮された情報システムが多く、改修範囲や作業量は限定的である。
②保守性に乏しい情報システムが多く、改修範囲や作業量が多い。
③複雑な情報システム、大規模な情報システム自体がなく、作業量は限定的である。
④画面や帳票に和暦を使用している箇所が多く、複雑な作業はないが、確認に必要な作業量などが多い。
⑤改修範囲や作業量が検討できておらず、今後これらについて検討を行っていく。

2.6 ①全て又はほとんどの情報システムで作業計画等を立案・確定できている。
②一部の情報システムで作業計画等を立案・確定しているが、作業中の情報システムもある。
③全て又はほとんどの情報システムにおいて作業中である。

2.7 ①全て又はほとんどの情報システムが5月1日又は業務開始日等までに対応できる予定である。
②5月1日又は業務開始日等までに対応できない情報システムが一部ある。
③5月1日又は業務開始日等までに対応できない情報システムが数多くある。
④全体的に業務の遂行に大きな影響はないことから、5月1日以降に対応する予定である。

2.8 ①考慮した作業計画等を立案しており、新元号発表の前の作業を明らかにできている。
②作業量が小さいなどの理由から、新元号発表の前の作業をすることなく対応可能である。
③考慮していなかったため、今後、新元号発表の前に作業が必要かどうか検討する予定である。

3.1 ①作業計画等において、具体的なテスト内容や実施スケジュールを確定している。
②現時点の作業計画等において明らかになっていないため、今後、検討する予定である。

3.2 ①考慮して作業計画等を立案しており、連携に係るテストの実施スケジュールが確定している。
②考慮して作業計画等を立案しており、連携に係るテストの実施スケジュールは確認等の作業の最中である。
③考慮して作業計画等を立案しているが、連携に係るテストは不要である。
④考慮していなかったため、今後、検討する予定である。
⑤他組織の情報システムと連携等を行っていない。

4.1 ①対応できないと見込まれる全て又はほとんどの情報システムにおいて検討を行っており、代替措置の実施などにより、業務への影響を最小限とする予定である。
②対応できないと見込まれる全て又はほとんどの情報システムにおいて検討を行った結果、業務の遂行に際しては特段の支障はないと考えている。
③全て又は一部の情報システムにおいて検討が完了しておらず、作業中である。

4.2 ①全て又はほとんどの情報システムで作業計画等を立案・確定できている。
②一部の情報システムで作業計画等を立案・確定しているが、作業中の情報システムもある。
③全て又はほとんどの情報システムにおいて作業中である。

新時代の幕開けはシステム面でも

まさに時代の転換点となっているが、ECプラットフォームをはじめ、システム基盤を提供する事業体にとっては、新元号「令和」の公表と共に、改元への対応に向けた最後の追い込みの時期ともなっている。

改元への対応については、すでにシステム基盤を提供する各事業者において対応済となっている所も多いようだが、システム面でも滞りなく準備を遂行し、各ECショップとしても晴れやかな気持ちで新時代を迎えたいものである。


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