メルカリがAI技術説明会を実施 独自技術をもとに世界的なマーケットプレイス構築を目指す

ECのミカタ編集部

株式会社メルカリは報道関係者向け「AI技術説明会」を開催した。同説明会は、メルカリ社のAIを中心としたメルカリの技術面における取り組みについて、報道関係者に理解を深めてもらうことを目的として開催されたものだ。

テックカンパニーとしてのメルカリ

テックカンパニーとしてのメルカリ

同説明会では、はじめに濱田優貴氏(取締役CPO)より『世界のAIのトレンドと、テックカンパニーとしてのメルカリが目指す世界』をテーマにした説明がなされた。

メルカリがグローバルテックカンパニーを目指すためにはテクノロジーによる差別化が重要と位置づけ、特にAIが最注力領域であることが語られた。今後については「出品に注力し、極限までモノを簡単に売る世界観を提供していきたい」と述べた。

そのために出品してから売れるまでをAIで最適化する「Selling AI」という構想についても紹介し、AIが出品後の商品価格を自動的に売れやすい価格へ調整したり、商品を探すお客さまの目に触れやすくなるようなリコメンド機能の強化などを検討しているとしている。またメルカリ社内ではエンジニアに限らず、社員全員がAIを業務で活用する「AIの民主化」を目指していきたいと述べた。

メルカリで使用されているAIの特徴や強み

メルカリで使用されているAIの特徴や強み

続いて木村俊也氏(Director of AI Engineering)より、『メルカリにおけるAI活用のいままでとこれから』をテーマに、メルカリで使用されているAIの特徴や強みについての説明がなされた。

メルカリのAIの強みは、数十億規模にのぼるデータと卓越したAI人材にある。データの強みについては、メルカリが累計出品数11億品を超える大規模な商品画像やテキストデータを保有しており、これによって高精度な機械学習モデルを作成することが可能となることが語られた。

またAIを支える人材については、現在約30名の多様な人々が国内外より集結しており、今後について「2019年4月に新卒社員約10名、10月には約20名の新卒社員を新たに迎え、今後も人員の増強を図る」ことが明らかにされた。

さらに物体認識機能を使い、スマートフォンをかざすだけで商品情報が自動的に入力され、出品ができるようになるプロトタイプの紹介を行い、「AIで出品を極限まで簡単にする」との構想も述べられた。

ユーザーが感動する機能を

ユーザーが感動する機能を

最後に、山口拓真氏(Engineering Manager of AI Engineering)から、『AI技術の活用例~AI出品と写真検索~』をテーマに、2019年3月18日(月)に発表したフリマアプリ「メルカリ」の写真検索機能をはじめとする、AI出品を実現させるためのテクノロジーについて説明がなされた。

AI出品は「お客さまが感動する機能を」という思いから開発を続けてきたと述べ、それを実現するためには「最高精度のDeep Learning(深層学習)だけでいいサービスを作れるわけではなく、Transfer Learning(転移学習)を取り入れることなどで柔軟性を高め、サービス運用を考えたシステムを構築する必要がある」としている。

また「自社独自のAIモデルを開発することで、精度の高い規約違反出品に対応でき、より『あんしん・あんぜんな取引』を可能にした」と語られた。今後については「AI出品のさらなる認識精度の向上と、写真検索の満足度向上以外にも、様々な形でAIを活用していく」とも述べられた。

世界的なマーケットプレイスの実現を目指す

世界的なマーケットプレイスの実現を目指す

同説明会では、メルカリのAI技術を体験できるデモンストレーションスペースを用意し、AI出品と写真検索機能の体験やAIを活用し利用規約に違反する商品を監視する違反検知システムのデモンストレーション、機械学習プラットフォーム「Lykeion(リュケイオン)」についての説明など、AI技術を体験できる仕掛けも披露された。

メルカリでは、説明会を通して同社のAI技術に関する取り組みについて多方面からご説明をする機会を持つことができたとしている。今後もメルカリはグローバルテックカンパニーを目指し、「売ることを空気に」するための技術開発を通じて世界的なマーケットプレイスの実現を目指す方針だ。

日本発の有望なユニコーン企業として、国内を中心にリユースECを力強く牽引してきたメルカリ。同社の海外展開は荒波に見舞われつつ、果敢な挑戦が続いている。こうした世界的なマーケットプレイス構築へ向けた展開を裏付けるのは、同社が持つ独自のビッグデータとAIを始めとしたメルカリならではの技術力に他ならないだろう。世界展開に向けた同社の今後に熱い視線を送りたい。

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