アスクルAVCがさらに効率化! Hacobuソリューション導入で待機時間50%削減に成功、将来の物流資産シェアリングにも布石
株式会社Hacobu(以下「Hacobu」)は、アスクル株式会社 (以下「アスクル」)が、同社の関西エリア主力物流拠点であるASKUL Value Center関西(以下「AVC関西」)で取り組まれている物流改革プロジェクトの一環としてHacobuが提供する物流情報プラットフォーム「MOVO(ムーボ)」(以下「ムーボ」)バース管理ソリューションを活用した結果、待機時間の大幅な短縮効果が得られたことを公表した。
「運ぶを最適化」するMOVO
今回アスクルが導入したMOVO(ムーボ)とは、物流面での課題に対応したSaaS型の物流管理ソリューションだ。たとえば待機時間でトラックを効率的に稼働させられない問題(バース管理)、トラックが手配しにくい問題(オンライン求車)、そしてトラックの位置情報を把握できない問題(動態管理)等を解決するための機能を、クラウド上のプラットフォームで提供している。
さらに物流業界にデジタルトランスフォーメーションを起こし、AIなどのテクノロジーを普及させることを企図しているという。なおムーボの名前の由来はmove(移動する)とoptimization(最適化)をかけ合わせた造語で、ミッションである「運ぶを最適化する」という思いが込められているそうだ。
アスクルでの実績
ムーボ・バース管理ソリューション導入による効果(アスクルの業務改善活動とあわせた効果)について次のようにまとめている。
◆【待機時間削減】
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AVC関西では2019年2月からムーボ・バース管理ソリューションによる予約・受付を開始した
[2]
平均待機時間は約50%の減少、1時間以上の待機率(全体の入荷車両数を分母とした、1時間以上待機した車両の割合)については60%超の減少となり、稼働初月から大幅な改善効果が見られた
◆【庫内作業効率の向上】
[1]
ムーボの導入によってすべての入庫車両について受付・作業状況が電子化された
[2]
構内の呼出待ち車両が庫内のPC・タブレットから確認できるようになったことで、庫内作業効率が向上した
Hacobuは、今後もアスクルの他のセンターにおけるムーボ・バース管理ソリューションの導入検討を支援して行く方針だ。
物流資産のシェアリングを構想
Hacobuは、ムーボ・バース管理ソリューションを、サプライチェーンの上流から下流の様々な物流拠点に一気通貫で導入していくことを目指しているそうだ(例:メーカー調達物流、工場~在庫保管倉庫/センター、小売・卸共配センター)。
まず小売サイドにおいて、複数の事業者で共通システムが使われることで、予約する側(納品事業者側の配送管理者やドライバー)が複数のシステムを使う煩雑さを軽減できる。またムーボ・バース管理ソリューションは、入出荷両方の業務に活用できるため、納品事業者は納品先の予約と自社拠点(工場/倉庫)における入出荷を同じ環境で行うことができる。
さらにHacobuは物流業界におけるドライバー不足やアナログな情報伝達手段で行われている現状を危惧しており、中長期的にムーボのプラットフォームを活用されることによって物流の在り方を変え、企業間物流における課題を解決していくことを目指すとしている。
具体的な一つの在り方として、小売の保管型倉庫(Distribution Center、以下「DC」)における調達物流(引き取り便)の展開と、その先における複数の事業者をまたいだ物流資産のシェアリングを構想しているそうだ。
現在、小売DCへの納品は納品事業者(もしくは委託先の物流事業者)側でのトラック手配が一般的だが、ドライバー不足が深刻化する中で、今後納品事業者側の個社最適での車両手配は次第に難易度が高くなることが考えられる。
多数のメーカー・卸が特定の小売DCに納品するモデルにおいては、その物量を受け入れる小売サイドからの調達物流への転換によって、車両手配の効率化が実現され、小売サイドがサプライチェーンの最適化を実現できることに加え、納品側の負担軽減にもつながるのだ。
中長期的には、ムーボ・バース管理ソリューションがメーカー・卸・小売事業者に広く普及することによって、何がどこで、どのような車両によって納品/出荷されるのか、という「モノと車両と場所」にかかわる物流情報が、一つのプラットフォーム上に蓄積されることになる。
それらを通し複数の納品事業者・小売をまたいだ調達物流を、ビッグデータ分析から得られる示唆を活かしながら構築し、物流資産のシェアリングを推進していく計画だ。
引き続き活況を呈するEC市場だが、今回アスクルで大きな実績をもたらした基盤をもとに、その市場を支える物流にも大きなイノベーションの波を巻き起こすことに期待したい。