ユナイテッドアローズ決算 2019年3月期は増収増益、EC売上が大幅増

ECのミカタ編集部

株式会社ユナイテッドアローズは、2019年3月期 決算(連結)について取りまとめ、その結果を公表した。当連結累計期間(2018年4月1日~2019年3月31日)は、2期連続の増収増益となり、同じく2期連続で計画を達成。売上高は前期比102.9%、計画比101.7%の1,589億円となった。会社別では ㈱UA、㈱コーエン等が増収し、販売チャネルではネット通販が大きく増収した。ここでは、それらの内容についてポイントを絞って見て行く。

経営成績の概況(経営成績)

同社資料より(以下、同様)。

ユナイテッドアローズ社では、当連結会計年度におけるわが国経済は、先行きの不透明感が増しているとした上で、衣料品小売業界においても訪日外国人による免税需要の伸長やネット通販売上の拡大などが見られる一方、記録的な猛暑と暖冬に伴う秋冬物需要の停滞に加え、消費者の節約志向の高まりや慎重な購買行動が継続しているとしている。

このような状況の下、同社は2019年3月期の単年度経営方針として「中期戦略の徹底推進」を掲げ、グループの体質改善、収益改善、成長基盤の確立に向けた様々な取り組みを実施した。

この達成に向け「強い経営基盤の確立」、「実店舗の強みを活かしたEC(ネット通販)の拡大」、「既存事業のマーケット変化への対応」、「未来の成長に向けた取組の実施」の4つの重点取組課題を策定した。

強い経営基盤の確立については、経営理念の改定に加え、始業時間を選択できるスライドワークの導入準備や評価制度の見直しなどに着手し、従業員が安心して働け、全社一丸となって中長期の成長、理念の実現に向けて取り組める基盤作りを行った。

当連結会計年度も不採算な取り組みの精査は続けており、役割を終えた店舗の退店検討、間接部門の業務の見直し、標準化・効率化に向けて取り組み、収益構造の健全化を進めた。

実店舗の強みを活かしたEC(ネット通販)の拡大については、実店舗とネット通販双方の売上に貢献できるサービスや仕組みの検討、現在の小売環境に合わせた基本販売政策の改定、多様な働き方に対応した人事施策やRFIDの導入、店舗業務の効率化による人員不足への対応を進め、実店舗の販売力を高めながらネット通販売上拡大に向けて取り組んだ。

当連結会計年度は単体ネット通販売上構成比が前期から1.7ポイント上昇し20.0%となったことに加え、ネット通販既存店売上高前期比が21.7%、小売既存店売上高前期比が1.6%増と、両販売チャネルとも既存店売上高が前年を超えた。

既存事業のマーケット変化への対応については、トレンドマーケットにおいては質の向上による収益率の改善、ミッドトレンドマーケットにおいては売上規模拡大による収益額の向上、ニュートレンドマーケットにおいては社内構造改革とブランド認知拡大策による収益額の向上を目指し、様々な取り組みを実施した。

トレンドマーケットにおいてはユナイテッドアローズ総合店の改装リニューアルを実施し、ミッドトレンドマーケットについてはビジネスウェアやウィメンズ衣料に特化した小型店舗の出店を進めた。

未来の成長に向けた取組の実施については、経営理念の「世界に通用する新しい日本の生活文化の規範となる価値観の創造」を具現化すべく、衣料品以外へのドメイン拡大の検討を引き続き行った。

海外展開については、台湾においてグリーンレーベルリラクシング、コーエンの自社オンラインストアを開設したほか、有力商業施設に期間限定店舗をオープンした。商品調達面では、今のユーザーの購買行動に適したサプライチェーンの確立に向け、準備を進めている。

出退店では、第一事業本部:4店舗の出店、4店舗の退店、第二事業本部:14店舗の出店、6店舗の退店、アウトレット:2店舗の出店、2店舗の退店を実施した結果、当連結会計年度末の小売店舗数は211店舗、アウトレットを含む総店舗数は237店舗となり、グループ全体での新規出店数は29店舗、退店数は18店舗、当連結会計年度末の店舗数は358店舗となった。

それらの結果、当連結会計年度の売上高については、新店出店に伴う増収、既存店の増収、ネット通販の伸長等により、前期比2.9%増の158,918百万円となった。なお株式会社ユナイテッドアローズにおける小売+ネット通販既存店売上高前期比は106.2%となった。

売上総利益は前期比2.8%増の81,760百万円となり、売上総利益率は前期とほぼ同等の51.4%となった。販売費及び一般管理費は株式会社ユナイテッドアローズにおける物流倉庫再編にかかるコスト増等があったものの、固定費の減等に伴い、前期比2.5%増の70,696百万円となり、売上高の伸びを下回った。

以上により、当連結会計年度の営業利益は11,063百万円(前期比5.2%増)、経常利益は11,312百万円(前期比5.0%増)とった。また、減損損失の減等により特別損失が減少し親会社株主に帰属する当期純利益は前期比22.3%増の6,417百万円という結果になった。

財政状態の概況

①資産、負債及び純資産の状況

(イ) 資産

流動資産は、前連結会計年度末に比べて1.5%増加し、44,533百万円となった。これは、主として現金及び預金が449百万円減少した一方、業容拡大に伴い、未収入金が1,008百万円、商品が64百万円、貯蔵品が124百万円それぞれ増加したこと等によるものとしている。

固定資産は、前連結会計年度に比べて12.7%増加し、26,205百万円となった。これは、主として出店や物流センター再編に伴う大型機械装置の導入やソフトウェア開発等により建物及び構築物が875百万円、機械及び装置が930百万円、無形固定資産が473百万円、投資その他の資産その他が777百万円それぞれ増加したこと等によるものとしている。

この結果、総資産は、前連結会計年度末に比べて5.4%増加し、70,738百万円となった。

(ロ) 負債

流動負債は、前連結会計年度末に比べて0.5%減少し、27,082百万円となった。これは、主として支払手形及び買掛金が332百万円、短期借入金が600百万円、未払法人税等が491百万円それぞれ増加した一方、一年内返済予定の長期借入金が500百万円、未払金が116百万円、賞与引当金が139百万円それぞれ減少したこと等によるものとしている。

固定負債は、前連結会計年度に比べて21.6%減少し、4,078百万円となった。これは、主として業容の拡大に伴い、資産除去債務が368百万円増加した一方、長期借入金が1,500百万円減少したこと等によるものだとしている。

この結果、負債合計は、前連結会計年度末に比べて3.9%減少し31,160百万円となった。

(ハ) 純資産

純資産合計は、前連結会計年度末に比べて14.1%増加し、39,578百万円となった。主な要因は、利益剰余金が配当金の支払により2,212百万円、非支配株主への持分売却により210百万円減少した一方、親会社株主に帰属する当期純利益により6,417百万円増加したこと、および自己株式が譲渡制限付株式報酬として処分したことにより27百万円減少したこと等によるもとしている。

キャッシュ・フローの概況

当連結会計年度における現金及び現金同等物(以下「資金」という)は、前連結会計年度末に比べ 461百万円減少し、当連結会計年度末には、5,839 百万円となった。

(イ) 営業活動によるキャッシュ・フロー

営業活動の結果得られた資金は9,140百万円(前連結会計年度比4,797百万円収入減)となった。

収入の主な内訳は、税金等調整前当期純利益10,723百万円、減価償却費1,859百万円、仕入債務の増加額430百万円であり、支出の主な内訳は、売上債権の増加額410百万円、その他流動負債の減少額1,348百万円および法人税等の支払額3,031百万円としている。

(ロ) 投資活動によるキャッシュ・フロー

投資活動の結果使用した資金は5,926百万円(前連結会計年度比3,484百万円支出増)となった。

これは、主に新規出店、改装および物流センター再編に伴う大型機械装置の導入等に伴う有形固定資産の取得による支出3,548百万円、長期前払費用の取得による支出1,046百万円およびソフトウェア開発等による無形固定資産の取得による支出955百万円等があったこと等によるものとしている。

(ハ) 財務活動によるキャッシュ・フロー

財務活動の結果支出した資金は3,711百万円(前連結会計年度比7,101百万円支出減)となった。これは、短期借入金の純増加額が600百万円、長期借入金の返済による支出が2,000百万円、配当金の支払額2,212百万円等があったこと等によるものとしている。

4つの重点取組課題

1.経営基盤の確立

2019 年 4 月に改定した経営理念の徹底推進に加え、人事制度の見直し、柔軟な雇用形態の推進、有給休暇取得推進、残業時間の抑制など、従業員が安心して働ける職場環境を整え、強い経営基盤の確立につなげるとしている。加えて間接部門の業務も中長期的なタームで抜本的な見直しを行い、生産性の向上を図る。

2.実店舗の強みを活かしたECの拡大

2020年3月期下期を目処に実施する自社ネット通販サイトの運営体制刷新に向けた準備を進め、ユーザーが実店舗とネット通販を自由に使い分けることができる環境を整備する。実店舗においては主に商品管理などの店舗付帯作業を担当するパートタイム労働者の採用を増やし、正社員が接客販売に注力できる体制を整え、販売力を強化する。

3.既存事業のマーケット変化への対応

トレンドマーケットにおいては質の向上による収益率の改善、ミッドトレンドマーケットにおいては売上規模拡大による収益額の向上、ニュートレンドマーケットにおいては社内構造改革と店舗の効率運営策の実施による収益額の向上を目指し、様々な取り組みを実施する。

4.未来の成長に向けた取組の実施

台湾においてユナイテッドアローズ グリーンレーベル リラクシング、コーエンの期間限定店舗やネット㈱ユナイテッドアローズ(7606)通販の出店を継続し、今後の出店の可能性を探りながら、台湾以外のエリアへの進出についても調査、検討する。

2020年3月期の出店についてグループ全体では新規出店19店舗、退店14店舗、期末店舗数363店舗を見込む。

以上により、2020年3月期の連結業績予想については、売上高164,240百万円(前期比3.3%増)、営業利益11,970百万円(前期比8.2%増)、経常利益12,000百万円(前期比6.1%増)、親会社株主に帰属する当期純利益は6,700百万円(前期比4.4%増)を見込む。

中期ビジョン

現在の中期ビジョンは2018/3期から開始し、2020/3期を最終年度とした3年間のビジョンであり、2019/3期で2年目が終了した。結論から、4つの戦略を着実に推進することで、すべての定量目標が計画を上回り推移し、成果が安定的・持続的に数値に現れていると認識しているとする。

1.「強い経営基盤の確立」

まず不採算2事業の撤退を実行。加えて店舗の生産性向上を目指し、退店すべき店舗を見極め、2年間のトータルで49店舗の出店、51店舗の退店を実行した。

これらの施策により、小売既存店の売上高は2年連続で前年を越えた。次に組織風土、人事改革に向けた各種プロジェクトを推進することにより、2019年4月に経営理念の改定および人事評価制度の見直しを実施した。

人事施策の見直しは今期以降も継続的に推進し、人材の維持・確保やモチベーションの向上を図ることで生産性の向上を目指す。経営理念の改定についてもこの後、説明する。さらに、次代の経営体制強化に向け、業務執行取締役2名を選任した。これにより中期戦略の1つに掲げている「マーケット変化への対応」がより迅速に推進できたと考えるとする。

これらの推進の結果、中期開始前の2017/3期に比較し、営業利益率が0.7ポイント、経常利益率が0.6ポイント改善した。

2.「実店舗の強みを活かしたEC拡大」

2018/3期にはブランドサイトと自社ECサイトの統合、ネット通販在庫の拡充、自社EC体制変更に向けた準備等を進めた。2019/3期には自社EC体制変更も踏まえた物流機能の再編を実施。さらにクオリティの向上や掲載タイミングの早期化を目指し、本部オフィスおよび物流センター内に撮影スタジオを設置した。

また、中期ビジョン開始以前よりハウスカードサービスについて実店舗とネット通販の統合などを行ってきた。これらの取り組みによりネット通販の既存店売上高は4期連続で2桁増となった。加えて実店舗も順調に推移し、ネット・実店舗、双方の売上が向上したことは同社の大きな強みであると認識しているとする。

現在は今期実施予定の自社EC運営体制変更に向けた準備を着実に行っている。さらに2018年3月期よりUA・BYおよび小型事業についてRFIDの導入に向けた準備を進めており、2019年春夏には当社グループの主力事業への導入が完了し、さらなる生産性の向上が期待できるとしている。

3.「マーケット変化への対応」

㈱UAについては、2018/3期よりマーケットに沿った組織再編の準備を開始し、翌2019/3期に組織再編を実行した。トレンドマーケットに向けた第一事業本部では、昨今のビジネス・カジュアルスタイルのシームレス化という消費者のニーズの変化に沿ったUA・BY総合店化の推進を図った。

ミッドトレンドマーケットに向けた第二事業本部では、グリーレーベルから派生したビジネスニーズ特化店舗や狭小区画にも出店可能なウィメンズ特化店舗の開発・出店を進めたほか、一部のスモール事業のリブランディング等を推進した。また、各マーケットにおいて、女性の社会進出に沿った需要を継続して獲得できた。さらに、これらの取り組みに先駆け、2018/3期にはバリューチェーンと商品プラットフォームの見直しを行い、各ストアブランドのポジショニングやターゲット層を明確化することで、商品計画の精度向上を図った。

連結子会社のコーエンにおいては、2017/3期の下期から収益構造改革を推進することにより、早期に業績低迷からの脱却を図ることができた。

以上の結果、各マーケットにおいて着実な売上成長を果たすことができたとしている。

4.「お客様との接点の拡大」

掲げていた項目の一つである「海外展開の拡張」において、トレンドマーケットに加え、ミッドトレンドおよびニュートレンドマーケットに向けたテストマーケティングを推進した。グリーンレーベルやコーエンのEC展開や期間限定店舗
を展開することにより、今後の実店舗出店への布石を打った。なお、掲げている「ドメインの拡張」等については、次期の中期ビジョンにおいて継続的に討議・検討を行う予定だ。

以上の取り組みにより、掲げている定量目標のすべての指標が計画を上回って進捗していると結んでいる。

消費者と市場の動向をとらえて一層の飛躍へ

冒頭で述べたように、当連結累計期間(2018年4月1日~2019年3月31日)は、2期連続の増収増益となり、同じく2期連続で計画を達成。売上高は前期比102.9%、計画比101.7%の1,589億円となった。会社別では ㈱UA、㈱コーエン等が増収し、販売チャネルではネット通販が大きく増収した。

EC市場を牽引するアパレル分野。その中でもひときわ存在感を発揮するユナイテッドアローズは、今回の決算においても極めて良好な数値を叩き出したことになる。またリアルとネットにまたがる幅広いチャネルの保有を誇る同社は、ECの比率がさらに高まっていることを示す結果ともなったと言えるだろう。

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