消費増税に関連する注目キーワードは「ポイント還元」 前回と比べて駆け込み需要に変化も【OKWAVE調査】
Q&Aサイト「OKWAVE」を運営する株式会社オウケイウェイヴ(本社:東京都渋谷区、代表取締役社長:松田 元)の総合シンクタンクであるオウケイウェイヴ総研(所長:大山泰)は、本年10月に予定されている消費税増税を前に、最近の消費者の行動や意識について「OKWAVE」の投稿やその属性データ等から特徴を分析した。ここではその概要についてポイントを絞って見て行く。
調査概要
オウケイウェイヴ総研では、「OKWAVE」に投稿された消費税増税に関連した「質問」の内容と属性データを調査した(調査対象期間①:2018年12月1日~2019年5月31日)。
また比較対象として2014年4月1日の消費税率5%から8%への増税前の半年間に消費税増税に関連した「質問」についても同様の調査を行っている(調査対象期間②:2013年10月1日~2014年3月31日)。
「キャッシュレス」「ポイント還元」などに関心
「質問」内容を分析すると、前回の増税前には無かった「電子マネー」「ポイント還元」といったワードが多く見られ(図1)、「キャッシュレス」「クレジットカード」といったキーワードも投稿内に見受けられた。
これは、2019年10月から予定される消費税率の増税の際に、電子マネーなどでキャッシュレス決済を行う場合、中小事業者での物品やサービスの購入の場合には、9カ月間の期間限定で5%のポイント還元、コンビニや外食などのフランチャイズ店でキャッシュレス決済をした場合は2%ポイントの還元が行われる制度(「キャッシュレス・消費者還元事業」)が合わせて導入されることから、“この制度を使ってできるだけ得する方法を知ろう”とする人や関心が高いことがデータ分析から分かるとしている。
また一部の食料品などへの税率を8%に据え置く軽減税率については、いくつか投稿されているものの、大きな関心時には至っていないことも浮き彫りとなった。
前回と比べて駆け込み需要に変化も
前回の調査期間に投稿された消費税増税関連の質問で関連性が高かったワードは「買う」「購入」だった。とくに「家電」「パソコン」「家」「土地」「車」となっており、前回2014年4月の増税前には、金額の大きな買い物、駆け込み需要への関心が高かった事がうかがえる。
また「値上げ」についても関心が高く、具体的な消費項目では「ガソリン」が目立つが、同時に社会問題にもなっていた「便乗値上げ」についての関心も伺える結果となっていた。なお調査対象期間①②ともに、消費税増税に関する「質問」投稿者は20代~40代の男性が多いという結果になった。
子育てなど生活の日々のやりくりに直面する世代が含まれ、投稿内容から読み解いても、日々の生活に直結していることがうかがえる。また、20代~40代は比較的、電子マネー、キャッシュレス決済に抵抗感がない世代であり、ポイント還元に興味関心があることも推察できる。
消費者は増税後の経済状況を注意深く見ている
調査結果にあるように20〜40代を中心に、消費税増税とあわせて導入予定のキャッシュレス決済のポイント還元制度への関心が高いことが分かった。
今回の調査を実施したオウケイウェイヴ総研の早川貴仁調査員は次のように述べている。
「投稿(悩み相談)をする世代が20代~40代という点についても興味深いです。これは生活に直面している世代が“少しでも得ができないか”という点に関心が高く、それに基ついて行動している傾向があるとみられます」
オウケイウェイヴ総研所長の大山泰氏は次のように述べている。
「2019年10月に予定されている消費増税(税率8%から10%への引き上げ)に関しては、令和のスタート前後から、『消費増税凍結で与党が衆参ダブル選挙を念頭か?』などの政治的な思惑等の話題が大手報道機関、大手メディアなどで取りざたされていましたが、弊社のQ&Aサイトをサーベイし、分析する限りでは、多くの生活者は消費増税予定を前に、日々の消費や出費などにどのような影響があり、実際的な消費行動に係わる変化への関心が高いことがわかりました。また2008年9月のリーマンショック、その後の世界的な景気回復を経て今年2019年は11年を経ましたが、2019年は“景気の先行き不透明感強まる恐れ”が経済専門家等の分析などから様々に指摘されている中、多くの人が日々の消費について細かく意識を持ち、行動していることも垣間見えています」
特に増税そのものは歴史を見ても、また経済学的な視点からも、それによって景気へのマイナスの影響は避けられない。先の消費増税後の状況を体感している消費者の立場からも、経済動向の先行きに不安を感じつつ、生活にどのような影響があるかを注意深く見ている様子がうかがえる。
また今回は特に駆け込み需要に対する意識の変化も浮き彫りとなっており、こうした消費者のマインドを捉えることもEC事業者として重要となってきそうだ。