
ECサイトの作り方ガイド。費用やおすすめ制作会社なども併せて紹介
ECサイトを作る方法にはさまざまな選択肢があり、自社の規模や目的に合った方法を選ぶことが重要です。
この記事では、ECサイトの具体的な作り方を、初心者でもわかりやすいように解説します。各手順や費用の目安、さらには制作を依頼する場合のポイントも紹介するので、ぜひ参考にしてください。
5パターンのECサイトの作り方
ECサイトの構築方法として考えられる選択肢は、以下の6つです。
- ゼロから作る方法(フルスクラッチ)
- オープンソースを活用して作る方法
- 構築ツール(ECパッケージ)を使って作る方法
- クラウドECで作る方法
- ASP(ショップ作成サービス)で作る方法
それぞれの作り方によって、主にコストや自由度・拡張性が違います。方法を決めるときは、自社の規模や開発リソースをもとに検討するのがおすすめです。
以下の図は、コストと自由度・拡張性の2つの軸でそれぞれの構築方法を示したものですサービスによってそれぞれ違いがあるので、大まかな傾向を把握するのにお役立てください。
外部のサービスを使用する場合は、コストや自由度・拡張性のほか、セキュリティ面やサポート体制なども判断の材料になります。
それぞれの作り方について、以下で詳しく説明します。
1)一からシステムを作る方法(フルスクラッチ)
フルスクラッチとは、既存のソフトウェアを使わず、一からECサイトを開発する方法です。機能やシステム連携の自由度が高く、理想のデザインや仕様を実現できるのが特徴です。自社の開発チームで構築する場合もあれば、外部の制作会社に委託することもあります。
ただし、この方法は最もコストと時間がかかるため、中長期的な視点での投資が必要です。開発後も、自社でメンテナンスや機能拡張を継続し、サイトの品質を維持する必要があります。
成功させるには、十分な資金と開発力が不可欠です。特に、大規模なECサイトや独自機能が求められる場合に適した選択肢といえるでしょう。
2)オープンソースを活用して作る方法
オープンソースとは、無料で公開されているソースコードを利用してECサイトを構築する方法です。この方法を使えば、一から開発するよりもコストを抑えつつ、自由にカスタマイズできるのがメリットです。プログラミングの知識があれば、独自の機能を追加することも可能です。
ただし、セキュリティ対策や不具合対応は自社で行う必要があるため、技術力や知識がないと運用が難しくなります。そのため、オープンソースに精通したエンジニアがいない場合は、実績のある制作会社に依頼するのも一つの選択肢です。
代表的なオープンソースのECサイト構築システム
- EC-CUBE
- Magento
3)構築ツール(ECパッケージ)を使って作る方法
ECサイトに必要な機能がパッケージ化されたシステムを利用する方法です。カート機能や受注・発注管理、売上管理、顧客管理など、ECサイト運営に必要な機能が最初から備わっているため、一から開発する手間を省けます。
パッケージの基本機能にないものはカスタマイズによる追加が可能で、フルスクラッチほどの自由度はないものの、ASP型よりも柔軟な運用ができます。
また、大規模なアクセスや画像容量にも対応可能で、今回紹介する作り方の中ではフルスクラッチに次いで初期費用が高くなるのが特徴です。専門知識が必要なため、自社で対応できない場合は制作会社に依頼するのが一般的です。
代表的な構築ツール
- ecbeing
- ebisumart
- コマース21
- W2
- ecforce
4)クラウドECで作る方法
クラウドECは、構築ツール(ECパッケージ)のカスタマイズ性やシステム連携機能と、ASPのような自動アップデート機能を兼ね備えた方法です。
ASP型ECサービスでは難しい高度なカスタマイズが可能な一方、クラウド環境で管理されるため、オンプレミス(自社内サーバーでの運用)が必須の企業では利用できない点に注意が必要です。
最新機能を活用しながら、ある程度自由なカスタマイズも行いたい企業に適した選択肢といえるでしょう。
代表的なクラウドECのサービス
- ebisumart
- Shopify Plus
5)ASP(ショップ作成サービス)で作る方法
ASP(Application Service Provider)とは、ソフトウェアをインストールせず、ASP提供会社のシステムを借りて利用する方法です。ECサイト側でシステムのアップデートを行う必要がなく、常に最新の機能を利用できるのが大きなメリットです。
また、ASPカートには、リピート通販やBtoB-EC(法人取引)、越境ECに特化したものなど、多くの選択肢があります。
ASPにはECサイトに必要な機能が一通り揃っており、サーバーを用意する必要がないため、初心者でも簡単にECサイトを作ることができます。デザインテンプレートも豊富で、短期間での開設が可能です。
しかし、カスタマイズの幅が限られているため、独自性を出しにくく、ブランディングには不向きな側面があります。また、商品が売れるたびに決済手数料が発生する仕組みのため、売上が増えるとコストがかさむ点にも注意が必要です。
ASPは、副業でECサイトを始めたい人や、短期間でサイトを立ち上げたい場合に適した選択肢です。
代表的な基本料金無料ASPカート
- BASE
- STORES
代表的な基本料金が有料ASPカート
- futureshop
- makeshop
- Shopify

ECサイトの作り方を決めるときのポイント
構築方法を選ぶときのポイントは、以下の4つです。
- 販売する商材
- 運営リソース
- 初期投資や運用の予算
- ビジネスの展望
順に説明します。
販売する商材
ECサイトは販売する商材があってこそです。アパレル商材を販売するのか、食品や家具・インテリア商材を販売するのかでも、ECサイトに必要な機能は異なります。
以下で具体例を3つ紹介します。
商材 | 必要な機能 |
---|---|
アパレル |
商品点数が多く、同じ商材でも「サイズ・色」で分かれます。 そのため、SKUの多さに対応できる機能が搭載されているか 確認しましょう。 |
食品 |
賞味期限や保存状態(冷凍なのか温冷なのか)を考慮する必要が あります。カートにその機能があるのか、 ない場合は外部連携できるのか確認しましょう。 |
家具・インテリア |
消費者が自宅に設置した際のイメージを可視化できる機能があると 好ましいです。また、実店舗を持っている場合には、連携できるこ とも重要です。 |
運営リソース
構築方法を選ぶ際の判断は、運営リソースにより大きく左右されます。
1人で運営をするのか複数人で運営するのかによっても必要な機能は異なります。運営が1人や少人数であれば受発注処理などを効率化する工夫が必要になり、複数人であれば複数アカウントでの作業に対応していることなどが求められます。
初期投資や運用の予算
基本的には、予算が大きいほど自由度や拡張性の高い構築方法を選択できます。
また構築時の費用だけでなく、運営費や、決済手数料・販売手数料を考慮する必要があります。
ビジネスの展望
小規模からビジネスを始めて、徐々に拡大していくケースが非常に多いです。
この場合、安易にASPで始めるとその後の移行が難しくなり、余計な損失が発生したり事業拡大が遅れたりすることがあります。小規模から始めるとしても、将来的に機能を拡張できるのか、ほかのサービスに移行できるのかなどを検討しましょう。
すぐに実践できる!ECサイトの作り方・作成手順
ECサイトの構築方法ごとに、具体的な作成手順を解説します。
ただし、外部サービスを利用する場合は、提供会社ごとに仕様が異なるため、ここで紹介する手順はあくまで一般的な流れとして参考にしてください。
1)フルスクラッチでゼロから作る手順
- 要件定義(必要な機能やシステムの仕様を決める)
- 設計(システム構造やデザインを設計する)
- 開発(プログラミングを行い、システムを構築する)
- テスト(不具合がないか確認する)
- リリース・運用(サイトを公開し、運用・メンテナンスを開始)
ポイント
- 社内に開発チームがいない場合は、外部の制作会社に委託する必要あり
- 制作会社へ依頼する場合、要件の整理やディレクション業務が発生
2)オープンソースを活用して作る手順
- サービス選定(例:Magento、EC-CUBE)
- サーバーやドメインの準備
- オープンソースのインストール
- 設定・開発
- リリース
ポイント
- 無料で始められるが、カスタマイズやセキュリティ対策は自社で対応する必要あり
- 技術力がない場合は、制作会社にサポートを依頼するのも選択肢
3)構築ツール(ECパッケージ)を使って作る手順
- サービス選定(例:ecbeing、ebisumart)
- 要件定義
- 設計
- 開発(パッケージを組み込み、必要に応じてカスタマイズ)
- テスト
- リリース
ポイント
- ECの基本機能が組み込まれているため、ゼロから開発するより短期間で構築可能
- 外部に委託する場合、RFP(提案依頼書)を作成し、制作会社と調整が必要
4)クラウドECで作る方法
- サービス選定(例:ebisumart、Shopify Plus)
- 要件定義
- 設計
- 開発(クラウド上の機能を活用し、カスタマイズを実施)
- テスト
- リリース
ポイント
- 基本的な構築手順はECパッケージと同様だが、クラウドサービスならではの自動アップデート機能が活用できる
- 自社サーバーでの運用が必須の企業には不向き
5)ASP(ショップ作成サービス)で作る手順
- サービス選定(例:BASE、STORES、Shopify、makeshop)
- ASPへ登録(アカウント作成・必要情報の入力)
- 基本設定・デザイン調整
- リリース
ポイント
- 最短数分でECサイトを開設可能なサービスもあり、手軽に始められる
- カスタマイズ性は低めのため、ブランド独自のデザインを作るのは難しい
- 販売手数料が発生するため、売上が増えるとコストがかかる点に注意

初心者におすすめのECサイトの作り方は?
どの方法を選ぶかは、予算・目的・技術力の有無によって変わります。
- 初期コストを抑えて手軽に始めたい → ASP(BASE、STORES など)
- ある程度カスタマイズしつつも開発コストを抑えたい → クラウドEC or ECパッケージ
- 自由度の高いサイトを作りたいが、開発費用は抑えたい → オープンソース(EC-CUBE など)
- 完全にオリジナルのECサイトを作りたい → フルスクラッチ
ASPであれば、初心者でも問題なくECサイトを作れます。
もしフルスクラッチで開発が必要なのであれば、制作会社に依頼するのがよいでしょう。
ECサイトを作るための費用の内訳と相場
ECサイトを構築する際の方法別の費用相場は、以下のとおりです。
構築方法 | 費用相場(目安) |
---|---|
1)1から作る方法(フルスクラッチ) | 500万円〜 |
2)オープンソースを活用して作る方法 | 300万円〜 |
3)構築ツール(ECパッケージ)を使って作る方法 | 100万円〜 |
4)クラウドECで作る方法 | 50万円〜300万円 |
5)ASP(ショップ作成サービス)で作る方法 | 無料~10万円 |
自社で開発するか、外部の制作会社に委託するかによっても費用は変わります。
外部に委託する場合は、制作会社によって体制や得意なジャンルなどが異なるため、同じ構築方法でも費用に差が出てきます。複数の制作会社に相談し、相見積もりを取ったうえで決定するのがおすすめです。
参考:無料でECサイトを構築する方法は?
無料でECサイトを構築するには下記の方法があります。
- オープンソース
- 無料ASP
- 無料ECモール
オープンソースによっては、無料で構築できるものもあります。
ASPは、無料で構築できるものが多いので選びやすいでしょう。
また、出店料無料のECモールを利用すれば、同じく無料で始められます。
これらの方法は構築は無料ですが、別途販売手数料がかかるなど、コストが全く発生しないというわけではないので注意が必要です。
初めてECサイトを作るならECのミカタにおまかせ
ECサイトは社内で構築することも可能ですが、初めてECサイトを作る場合は専門の制作会社に依頼するのが安心です。
もし、ECサイトを開発できる制作会社を知らない、どの制作会社に依頼したらよいのかわからないときには、制作会社を紹介してくれるマッチングサービスがおすすめです。
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