キャッシュレス導入事業者は7割だが一方で不安も 「キャッシュレス導入に関する実態調査報告」が公表される

ECのミカタ編集部

同社資料より(以下、同様)。

株式会社ラクーンコマース(本社:東京都中央区、代表取締役社長:和久井 岳)が運営する卸・仕入れサイト「スーパーデリバリー」は、会員小売店を含む事業者を対象に、キャッシュレス決済の導入に関するインターネット調査を行った。

調査概要

[調査方法]
アンケート調査

[調査期間]
2019年6月10日~6月20日

[有効回答者数]
526名

[調査対象]
全国47都道府県の事業者

QRコード決済導入は69%

QRコード決済導入は69%

キャッシュレス決済を導入している事業者は、7割を超える高い水準となった。またキャッシュレス決済として一番多く導入されているのは「クレジットカード(VISA、MasterCard、JCB、AMEXなど)」で87%となった。

次いで「QRコード決済(PayPay、LINEペイ、メルペイ、楽天ペイ、d払いなど)」が69%、「電子マネー(Suica、Edy、iD、QUICPay、nanaco、WAONなど)」が36%という結果だった。

キャッシュレス決済を導入済みの事業者のうち、70%が複数の決済方法を併用しており、その全員が「クレジットカード」を導入していることから、最初に「クレジットカード」を導入したうえで、他の決済方法も追加していく動きが主流だと考えられる。

一方で13%の事業者は「QRコード決済」だけを導入しており、一連のキャンペーンなどを通して小規模事業者への「QRコード決済」の普及が進み、新たな層を開拓しているともいえそうだ。

キャッシュレス決済が売上全体に占めるのは「10%未満」

キャッシュレス決済が売上全体に占めるのは「10%未満」

キャッシュレス決済が売上全体の何割を占めるか質問したところ、「10%未満」という回答が一番多かった。今回の調査では、例えば「関東圏」「都市部」で利用が集中するというような地域格差は特に見られず、全国的に売上への影響はあまり大きくない結果となった。

「販売機会損失の減少・客単価上昇」を実感する事業者も

「販売機会損失の減少・客単価上昇」を実感する事業者も

前述のように、キャッシュレス決済による売上の金額がそこまで大きくないことや、導入したものの利用者がまだ少ない状況から、「特に効果は感じていない」という回答が半数を占めたとも推察できそうだ。

一方で売上比率は低くても「販売の機会損失の減少」や「客単価の上昇」といった複数の効果を実感している事業者もいるため、今後利用者が増えることで、さらなる効果も期待できそうだ。

キャッシュレス導入を見送る事業者も

キャッシュレス導入を見送る事業者も

取り扱う商品や事業内容から「キャッシュレス決済は必要ない」と考える事業者や、顧客から要望がない、客層として年配の方が多くキャッシュレス決済を知らないなど「ニーズがない」ことを理由にキャッシュレス導入を見送る事業者が多いことがわかった。他には、「決済手数料が高い」「初期導入コストがかかる」「手続きが煩雑」などが理由としてあがっている。

キャッシュレス化に向けられる複雑な視線

その他、キャッシュレス決済全体や10月より実施予定のポイント還元事業に対する意見を自由記述で求めたところ、165件のコメントが寄せられたようだ。

キャッシュレス決済に関しては「手数料を支払うことで利益が減少するので歓迎していない」「売上金の入金サイクルによっては現金化が遅れるため資金繰りが苦しくなるのではないか」など不安視する声が多くあったそうだ。

またポイント還元に関しては「購買につながると期待している」との声がある一方で、「仕組みが理解できていない」「レジで混乱が起こりそう」「ポイント還元の説明をお店でするのは面倒」といった回答もあり、事業者の複雑な心境が伝わる結果となった。

いかに不安を取り除いていくかも課題

調査結果にあるように、回答のあった事業者の7割以上がキャッシュレス決済を導入。導入数が最も多い決済方式はクレジットカードが9割近く、次いでQRコード決済が約7割となった。

また導入済み事業者の7割が複数の決済方法を併用しており、クレジットカード+他の決済方法が主流といえる。新たな傾向としてQRコード決済のみを導入している事業者が1割を超えており、今後の広がりも予感させる。

さらにキャッシュレス決済の売上比率は10%未満が約5割で、利用する顧客がまだ少ないなどの理由で、約半数の店舗が導入効果を特に感じていないともしている。

政府の後押しもあり急速に浸透するキャッシュレス決済だが、さらなる利用の拡大の余地がある調査結果ともなったようだ。7payでは大規模な不正利用が発覚したことも記憶に新しく、事業者と利用者にとってのさまざまな面での不安をいかに取り除いていくかも一層の利用促進に向けた課題となってくるだろう。


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