帝国データバンクが消費増税後の景気動向を調査 不透明感が増しているが好材料も存在

ECのミカタ編集部

株式会社帝国データバンクは、全国2万3,731社を対象に2019年10月の国内景気動向を調査・集計し、景気DIとして発表した。ここではその概要についてポイントを絞って見て行く。

調査のポイント

調査のポイント

1.2019年10月の景気DIは前月比1.1ポイント減の43.9となり、3カ月ぶりに悪化した。国内景気は、低調な設備投資や消費税率の引き上げにより後退局面入りの可能性が続くなか、さらに台風による被害が悪影響を及ぼした。今後の国内景気は、消費の動向が鍵を握るなか、貿易摩擦や世界経済の減速といった懸念材料も多く、不透明感が一層強まっている。

2.10業界中、『小売』など8業界が悪化、2業界が改善した。消費税率が引き上げられて、買い控えや反動減から消費関連業種が大きく悪化したうえ、台風など相次ぐ大雨による被害が幅広い業界にマイナスの影響を及ぼした。

3.10地域中9地域が悪化、1地域が改善した。消費税率引き上げで『南関東』『東海』『近畿』など大消費地を抱える都市部での悪化が目立ったほか、台風による企業活動の停滞もみられた。一部地域では、設備投資の弱含みにともなう影響が関連業種へと波及した。

国内景気が後退局面入りか

国内景気が後退局面入りか

2019年10月の景気DIは前月比1.1ポイント減の43.9となり、3カ月ぶりに悪化した。10月の国内景気は、消費税率の引き上げと台風19号などの自然災害に下押しされた。消費が落ち込み、小売業など個人消費に関連する業種を中心に大きく悪化したほか、大雨による被害が企業活動の停滞を招いた。

中国など海外経済が減速するなか、自動車や半導体関連を中心とした輸出低迷を背景に製造業の悪化が続き、設備投資意欲も低迷した。また、建築着工の減少傾向や人件費などの負担もマイナスに働いた。他方、米中貿易摩擦緩和への期待などを受けた株価上昇やラグビーW杯の盛り上がりが一部で好材料となった。

国内景気は、低調な設備投資や消費税率の引き上げにより後退局面入りの可能性が続くなか、さらに台風による被害が悪影響を及ぼした。

下振れ材料多く不透明感が一層強まる

同社は今後について消費税率引き上げにともなう消費の落ち込みの程度と、その後の動向が重要になってくるとしている。また人件費や輸送費が引き続き企業経営に重荷となるうえ、製造業を中心に世界経済の減速がマイナスに働くと指摘。

米中などの貿易摩擦および世界的な金融緩和政策の動向も注視する必要がある一方で、自然災害からの復旧・復興や防災を目的とした公共事業は景気を下支えする一因になると見込まれ、東京五輪に向けた機運の高まりや都市部の大規模開発、省力化投資の需要拡大も好材料となるとも述べている。その上で今後の国内景気については、消費の動向が鍵を握るなか、貿易摩擦や世界経済の減速といった懸念材料も多く、不透明感が一層強まっていると結んでいる。

経済学や経済政策の視点からも、増税後に景気動向が悪化するのは規定路線とも言える。政府主導のキャッシュレス決裁の導入に合わせたポイント還元の実施により、駆け込み需要の抑制と消費増税後の消費の落ち込みに一定の効果があったとする見方があるが、同社のデータからは、特に大都市部など消費をけん引する地域での消費動向の悪化が示される形となった。

これに自然災害や米中貿易摩擦などが下振れ要因としてのしかかっている形となるが、オリンピックや復興需要など好材料も存在しており、また金融面でも日銀による大規模金融緩和が続行中であり、市場の行く先は必ずしも漆黒の闇というわけではないとも言える。

EC市場そのものも引き続き大きな伸びしろを持っており、EC化率の進展とともに、既存の消費チャネルをECとしていかに取り込んでいくか、そして人類が初めて経験するEC時代が既存の景気循環の前にどのような意義をもつのかを含めて、これからの動向からは目を離せそうに無い。


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