86%が認知しているのにもかかわらず利用者は半数。コード決済サービスに対するNPS調査に見るキャッシュレス決済の課題
GMOリサーチ株式会社(本社:東京都渋谷区/代表:代表:細川慎一)と株式会社Emotion Tech(本社:東京都千代田区/代表:今西良光)は、主要なコード決済サービスに対して利用者がどの程度満足・愛着を感じているのかについて、NPS®(ネット・プロモーター・スコア)を用いた調査を行った。
認知度は86%、利用者は半数。少額決済に使われる傾向に。
主要なコード決済サービスに関する認知度および利用率について調査を行った結果、認知率は86%と高いが、うち半数が利用していないことが明らかになった。
主要コード決済サービスの利用者12,968名を対象に、利用シーン別によく使う決済手段について質問したところ、「コード決済サービス」が使われるシーンとして「コンビニで買い物をするとき」が最も多く、回答者の6割を超えた。
次いで、「ドラッグストアで買い物をするとき」、「総合スーパーで買い物するとき」と続いている。
一方で「ネット通販で買い物をするとき」や「百貨店やファッションビルで買い物をする時」、「家電量販店で家電を購入するとき」は、クレジットカードでの支払いが圧倒的に多くなっている。
コード決済サービスは少額決済と相性が良いらしいことがわかった。
特にロイヤリティの高い「PayPay」「楽天ペイ」の異なる魅力
利用しているコード決済サービスに対して利用者がどの程度愛着を持っているかを把握するべく、NPSを測定する調査を行った。
サービスのNPSは、その値が高いほどユーザーからのロイヤルティが生み出されていることになり、口コミによる利用者の拡大が期待されている。
調査の結果、利用者全体のNPSは「-33.4%」、推奨度の11段階評価の平均点は「6.5」となった。
サービスごとにNPSを見ると、全体のNPSを上回っている「PayPay(-19%)」が最も高く、次いで「楽天ペイ(-24%)」となった。
コード決済サービスごとに、サービスのNPSへの影響度合いを見てみると、どのサービスにおいても「利用開始方法のわかりやすさ」「各種キャンペーンの魅力」に対する体験は重視されていることがわかった。
NPS1位である「PayPay」の利用者は、「各種キャンペーンの魅力」が重視される傾向にあり、現状の評価も高いことから、期待される価値を満たすことができていると考えられる。
本調査のフリー回答においては、「お得なキャンペーンを多く開催しているから」や「10%・20%還元キャンペーンの際に、食品や日用品が対象になるのは普段の生活でかなり助かる」など、キャンペーンに言及しているコメントが多く見られた。
一方、「楽天ペイ」は「会計時の決済のしやすさ(提示のしやすさ)」「ポイント等の還元率の高さ」が重視されているようだ。
「楽天ペイ」は、「楽天市場」などで獲得したポイントを決済時に利用でき、かつ決済時には楽天ポイントを貯めることができるため、会計時の利便性が評価されていると考えられる。
2019年10月1日の消費税率引き上げに伴い、政府主導のもと「キャッシュレス・ポイント還元事業」が開始され、本事業の登録加盟店は2019年12月1日時点で86万店舗に達した。
これを受けて、スマートフォンを使ったコード決済サービスに注目が集まっている。
コード決済サービスの継続利用に関しては、サービスの推奨度が高くなるにつれ、継続して利用したいと回答する人が増えることもわかった。
より良いカスタマー・エクスペリエンスを提供することで、利用者のサービスに対しての信頼や愛着といったロイヤルティが生まれ、継続して利用されるサービスになる。
コード決済サービスは、近年開始したばかりのサービスも多く、現段階では新規会員の獲得を行うためのキャンペーンに力を入れている状況だ。
サービスごとに利用者が重視しているポイントや、現状の顧客体験に対する評価が異なるため、各社は競合他社と同等の機能や利用メリットをそろえるのではなく、利用者の期待に沿ったサービスを提供することが求められている。
期待通りもしくは期待を超える顧客体験を提供することにより、メインサービスとしての利用または継続利用はもちろんのこと、中長期的な会員の増加を見込むこともできるとされている。