LINEがリーチ率で圧倒・スマホ利用率増加に歯止め ニールセンが『2019年日本のインターネットサービス利用者数・利用時間ランキング』を公表

ECのミカタ編集部

視聴行動分析サービスを提供するニールセン デジタル株式会社(東京都港区、代表取締役社長 宮本淳)は、「ニールセン デジタルコンテンツ視聴率(Nielsen Digital Content Ratings)」、スマートフォン視聴率情報「ニールセン モバイル ネットビュー(Nielsen Mobile NetView) 」のデータをもとに、2019年の日本におけるトータルデジタルとスマートフォンでのインターネットサービス利用ランキング、「Tops of 2019: Digital in Japan」を公表した。ここではその概要についてポイントを絞って見て行く。

スマホの利用率増加に歯止め

スマホの利用率増加に歯止め

2019年もスマートフォンの利用者数は継続的に増加し、全年代でインターネット利用のメインデバイスとなった。しかし、サービスによってはパソコンとの併用利用も多いため、デバイスを跨いでのインターネット利用状況を把握することが重要となりそうだ。

2019年におけるトータルデジタルでの日本人口に対するリーチ(利用率)TOP 10サービスをみると、昨年と大きなランキングの変動はなく、継続してTOP3サービスは人口の半数が利用していた。デバイス横断でリーチが最も高かったのはGoogleで56%、次いでYahoo Japanが54%、YouTubeが50%となっており、トータルデジタルのTOP10サービスではスマートフォンからの利用が多いサービスが数多くランクインしていた(図表1)。

LINEがリーチで圧倒・YouTubeも増加

LINEがリーチで圧倒・YouTubeも増加

スマートフォンアプリでも、利用者数TOP 10サービスの顔ぶれ・順位は昨年と大きく変わらなかったものの、既に広く浸透している上位サービスにおいても、スマートフォン利用者のリーチが昨年と比較して増加した。

スマートフォンアプリの中で7年連続でリーチが最も高かった「LINE」は、2019年も順調にリーチを伸ばし、スマートフォン利用者のうち83%が利用するアプリとなった。また、他サービスは昨年から2、3ポイント増加していたのに対し、YouTubeはリーチが5ポイント増加しており、デジタル全体で利用者数が拡大しているだけでなく、スマートフォン利用者の中でリーチが増加している。

3位以降はリーチランクとは違う傾向も

3位以降はリーチランクとは違う傾向も

スマートフォンアプリの利用時間シェアTOP10サービスをみると、リーチ同様1位は「LINE」、2位は「YouTube」がランクインした。一方で、3位以降ではリーチランキングとは異なる傾向が見られた。

リーチではそれぞれ7位、9位だった「Twitter」と「Yahoo!」は利用時間シェアにおいては3位と4位と上位にランクインし、リーチランキングではランキング圏外だった「Instagram」や「Facebook」、「スマートニュース」、「メルカリ」は10位以内にランクインしていた。利用者数では規模が小さいサービスでも、利用者に長時間利用され、エンゲージメントが高くなっていることが分かる。

目的に合わせた施策設計が重要

調査結果にあるようにトータルデジタルで日本人口の半数以上がGoogle、Yahoo Japan、YouTubeを月1回以上利用していた。スマートフォンアプリの利用率1位は昨年に続き「LINE」、2位には「YouTube」がランクイン。利用時間シェアでは「Instagram」「Facebook」「スマートニュース」アプリがTOP10入りした。

同社アナリストのコヴァリョヴァ・ソフィヤ氏は、次のように述べている。

「スマートフォン利用は年々拡大し、来年も中高年層への普及が更に進むことが想像されますが、成長率は今年に入り一桁に留まったことからも今後利用者数が急激に増えることは考えにくいでしょう。ここ数年で利用される上位サービスでも大きな変化は見られず、固定化してきている傾向にありますが、YouTubeのようにスマートフォン利用者の中でのリーチ(利用率)が増加しているサービスもあることから、引き続き各サービスのリーチを注視していく必要があるでしょう。

一方で、エンゲージメント(利用時間)では、リーチとは消費者の動向は異なることが分かりました。サービスによっては1人あたりの利用時間が短い代わりに多くの利用者にリーチできるサービスや逆に利用者数が少なくても特定の利用者の高い支持を得るエンゲージメントの高いサービスもあります。広告主は消費者とコミュニケーションプランを組み立てて行く上で、利用者数(リーチ)だけでなく、各サービスの利用時間(エンゲージメント)も考慮して、認知獲得するためにはリーチの高いサービス、好意度向上ではエンゲージメントの高いサービスなど、キャンペーン目的に合わせたメディア選定をすることが重要になります」

今日のデジタル視聴ではマルチスクリーンでの分散視聴が拡大している。広告主、広告会社、メディアのマーケティング担当者は視聴者がどのスクリーン(デバイス)でコンテンツを視聴しているのか、あるいは、デジタル全体でどのような視聴が行われているのかという視聴者の行動を理解することがEC市場においても重要となりそうだ。


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