インスタフォロワー173%増・LINEも積極活用 産直ECの『新潟直送計画』が流通額で前年比35%の成長を達成
株式会社クーネルワーク(新潟市西区、代表:谷俊介)が運営する、通販サイト「新潟直送計画」は、2019年の1年間の合計流通額が2億3000万円を突破したことを公表した。
売上35%増の成長
クーネルワーク社が運営する、新潟県内の生産者と全国の消費者をつなぐ通販サイト「新潟直送計画」は、2019年の1年間の合計流通額が2億3000万円を突破したという。
これは前年流通額の1億7000万に比べて35%増の売上成長となる。県内の各産地からの年間合計発送件数についても、前年の39,874件から25%増となる、50,081件となったとしている。
新潟直送計画は、2011年12月にスタートした、新潟県内の生産者と全国の消費者をつなぐ産直サービスだ。専門スタッフによる現地取材を元に、新潟から産地直送で県内産品を販売。
インターネットでの販路拡大を考える生産者にとって大きな負担となる、ページ作成・商品撮影・顧客対応・代金回収・集荷配送管理業務など、面倒な事務作業をほぼ全て同社が代行することで、県内生産者が労力とコストを抑えてインターネット販売を始められる仕組みだ。なお同サービスを通して楽天市場・Yahooショッピング・Amazon上でも販売を行っている。
同サービスは2019年末時点でページ公開中の参加店舗数は、2018年末時点の公開店舗数270店舗から45%増となる393店舗に到達し、2020年1月には400店舗を突破。出店店舗全体の4割は農家であり、最低限の手間とコストで全国へ販路を拡大できる通販サービスとして支持を得てきた。
これまでは個人農家の出品を中心に県内産品の取り扱いを増やしてきたそうだが、2019年からは地域ブランドを立ち上げるなど、地域産品のPRに注力して県内JAとのタイアップも開始。JA羽茂の「佐渡産おけさ柿」・JAささかみの「縁玉(枝豆)」など、県内独自のブランド農産物の取り扱いをスタートさせた。
2019年の1年間の合計流通額は2億3000万円を突破し、前年流通額の1億7000万に比べて35%増の売上成長となった。県内の各産地からの年間合計発送件数についても、前年の39,874件から25%増となる、50,081件となった。
コシヒカリに安定した人気
2019年度の注文元エリアを集計すると、関東圏(東京・神奈川・埼玉・千葉・群馬・栃木・茨城) からの注文が42.84% ・新潟県内と関東圏からの注文だけで58.25%を占めた。配送先エリアでは、関東圏が44.37%を占め、明治期以降の「新潟から東京への人口流出」による影響も含め、新潟ブランドや産品自体の認知度が関東圏に偏っており、関西圏などの他地域にはあまり浸透していないことがうかがえるとしている。
同様に2019年度の注文総数50,081件の発送先エリアを集計すると、県外へ発送された注文件数が47,466件と全体の94.79%を占めた。そのうち自家用途は24,989件と全体の49.91%・新潟に所縁ある県外顧客が故郷の味をお取り寄せするために利用している傾向が浮き彫りとなっている。
県外からのお取り寄せ用途で人気のジャンルは、1位「米」、2位「麺類」、3位「水産物・水産加工品」となりました。各ジャンルの売れ筋は、コシヒカリ、へぎそば(小嶋屋総本店)、サーモン塩辛(三幸)など、新潟の定番商品や、テレビ放映などで全国的に注目された商品が上位を占めた。
さらに2019年度全体の注文のうち47.76%がギフト利用となっており、県内から県外へ贈られたものが5,261件・県外から県外へ贈られたものは17,216件と「県外へのギフト配送」が主な用途となっている。新潟県にゆかりあるユーザーが、県外の知人へふるさとの味を贈る傾向が見られ、県産品を全国へ発信する上で重要な動きであると同社は見ている。
県外へのギフト利用として特に人気があったのは、冬ギフトの定番となるル・レクチェ、へぎそば(小嶋屋総本店)、涼菓 流れ梅(大阪屋)などの商品で、お中元・お歳暮での利用が多かった。
次に新潟直送計画の商品ジャンルのうち、最も売上が高いのが「果物」で、ジャンル全体で30%の成長となった。中でも最も注文数が多かったのがル・レクチェで、2019年度は3,245件を発送し、県外での認知度が徐々に高まってきていることが見てとれる。米の需要減に伴う新潟県内の農業産出額の減少が続く中、県が推進する園芸振興と足並みを揃える形で、今後も果物ジャンルの販売促進を強化していきたいと考えているという。
売上第2位の商品ジャンルは「米」で、2019年度は6,827件の発送となり、前年5,893件から15.84%増となった。 2019年度の新潟直送計画内での米全体の流通額における、「品種別の内訳」としては、コシヒカリの売上が69%、新之助が18%、ササニシキが6%だった。「新之助」や「つきあかり」等の新品種が増える中でも、コシヒカリの売上が27.97%増と伸び続けているそうだ。
インスタフォロワー173%増・LINEも積極活用
同社は新潟直送計画の販売手法について次のように述べている。
「ECサイトにおける販売促進手法は、これまでメルマガやDMが主流でした。しかし近年ではSNS上での販促活動の比重が高まっています。『Twitter』『Facebook』『Instagram』では、共感した投稿への『いいね』や『シェア』によって情報が拡散されるのが特徴です。新潟直送計画では、新潟に所縁あるユーザーの郷土愛を誘うような新潟名物のトピックを中心に投稿。新潟を離れてしまった新潟出身者を中心にフォロワーを増やし、県内産品の情報を拡散することに注力をしています。2019年に最もフォロワー数が増加したSNSは『Instagram』で、前年の2,674人から173%増の7,309人となりました。
また利用ユーザーが8,200万人を超えるコミュニケーションアプリ『LINE』を、販売促進ツールとして導入。季節ごとのおすすめ商品や、新商品告知などに活用しています。これまでのメルマガ配信時の平均開封率が20%だったのに対し、LINEの平均開封率は50%以上・平均転換率(サイト流入から注文に至る割合)は10%を維持しており、メルマガを大きく上回る効果が出ています。ユーザーからの問い合わせの窓口についてもメールからLINEへのシフトを進めています。今後、ユーザーとのコミュニケーションにおけるSNSやLINEの重要性は、業界を問わず高まっていくと思われます」
また同社は2020年3月をもって、113年の歴史を持つ老舗百貨店「新潟三越(新潟・中央区)」が閉店することが発表されている点にも触れている。県内におけるギフト市場の変化が予想されており、新潟直送計画は今後マルシェなどのイベント出店やメディア露出を高め、県内でのサービスの認知度向上に取り組みながら、インターネット通販における県産品のギフト利用を推進することで、県産品のPRに努めていきたいとしている。
売り手と買い手を国境すらも無いかのように結び付けるECの力。WebやSNSでの発信力も通してその力はさらに威力を発揮する。地方創生が叫ばれて久しいが、少子高齢化や大都市部への人口集中がこれからも進むと予想される中で、新潟直送計画は、まさにECの力で確かな成果を上げつつあるようだ。