アパレル以外の業種からも参入しやすく 在庫リスクなし・初期費用不要からの受注生産一体型ECパッケージ『sitateru SPEC』がリリース

ECのミカタ編集部

シタテル株式会社(本社:熊本県熊本市、代表取締役:河野秀和、以下シタテル)は、DNB向けに、受注・生産・配送一体型ECパッケージ「sitateru SPEC(シタテルスペック)」の提供を開始した。

アパレル以外の業種からも参入しやすく

シタテル社は業界で初めて、DNB(デジタル・ネイティブ・ブランド)と呼ばれる新たなブランド向けに、受注・生産・配送一体型ECパッケージ「sitateru SPEC(シタテルスペック)」の提供を開始した。

同社は、これによりアパレル業界のブランドの他、アパレル専門知識の無い各種コミュニティや企業、漫画アニメ、ゲーム、アーティスト、ライブ配信者など、非アパレル事業者が、在庫リスクを抱えずに新たな衣服づくりにチャレンジすることを可能とするとしている。

また近年、アパレル業界では「大量生産・大量廃棄」が問題となっているが、同サービスは完全受注生産・販売を実現することにより、無駄な在庫を一切出さないという。

サービス概要「受注生産と販売の一体化を実現」

サービス概要「受注生産と販売の一体化を実現」

シタテルは2年程前から、受注・生産を一元管理できるECパッケージ「SPEC(β版)」を、主に大手セレクトショップやファッションブランド向けに提供してきた。今回発表された「sitateru SPEC」は、業界ニーズに応えてDNBによる衣服づくりのハードルを大幅に下げることを目的に、従来の「SPEC(β版)」の料金体系に初期費用不要モデルを採用し、さらに物流・決済・海外販売の3機能を追加実装して、業界初のDNB向け受注・生産・配送一体型ECパッケージとして開発し、提供開始に至ったとしている。

また同サービスの最大の特徴は、受注生産と販売の一体化を実現した点だという。サービスの流れとして、最初に、事業者が思い描いた衣服の企画をサポートし、サンプルの生産を行う。続いて、サンプルの商品撮影を行い、専用のECサイトを開設して受注販売を行う。その後、注文の数だけ生産し、商品を購入者に個別配送する。さらに購入後の問い合わせや返品なども対応するそうだ。

支払い体系は、売上金額に一定の料率をかけたライセンスフィーを、シタテルから事業者に対して支払う仕組みだ。そのため事業者にとって、初期費用も不要なうえ、製作費も発生せず、在庫リスクを抱えないというメリットが生まれることになる。またDNB向けECパッケージとして、新たに以下の3つの機能が実装された。

(1)決済機能
購入者が注文する際に使用するクレジット決済機能を追加して誰もが簡単に衣服を購入できる機会を実現。

(2)物流機能
物流企業との連携を強化して全国一律料金での個別配送を実現。

(3)海外販売機能
海外にいるユーザーも「sitateru SPEC」にて商品を購入することが可能。試験的に一部ユーザーへ提供した際には海外からの購入もあった。

「sitateru SPEC」は昨今、世界中で問題となっている環境問題にも配慮しているという。アパレル業界では製品の大量生産・大量廃棄が問題となっており、海外有名ブランドのなかには、従来行っていた大量製品の焼却処分が世間的な非難を浴び、これを廃止せざるを得なくなっている。大量生産・大量廃棄の根底には、アパレル製品特有の需要予測の難しさ、長い生産リードタイム、短い販売期間等、数多くの問題が絡むことになるが、「sitateru SPEC」を活用した完全受注生産であれば、無駄な在庫は一切出ず、適量生産・適量消費を実現するとしている。

無駄な在庫の削減により、衣服を販売する事業者にとっては、余剰在庫をセール品として安売りする必要がなくなり、ブランド価値の保護、および利益率の向上につながるのだ。その結果、各事業者やアパレル業界全体の利益率改善が期待でき、労働集約的で低い利益率に悩む多くの国内縫製工場の運営改善に寄与することが可能となる。さらに、環境面においても、在庫を焼却する際に排出されるCO2の削減や、衣服生産の際に大量に用いられる繊維や水といった天然資源の保全も実現することができる。

DNBの主なターゲット層は、環境問題に配慮したものづくりや製品を支持する傾向にあり、同社はそういった観点でも「sitateru SPEC」はDNBの衣服づくりに貢献することが可能だとしている。

DNBなどが抱える課題に対応

DNBなどが抱える課題に対応

同社はサービスリリースの背景となる課題として次のように述べている。

「近年、欧米のアパレル業界や化粧品業界、寝具業界、食料品業界などで、DNB(デジタル・ネイティブ・ブランド)と呼ばれる新興ブランドが盛り上がりを見せています。DNBとは、D2C(Direct to Consumer)と呼ばれるビジネスモデルを活用し、エンドユーザーと直接の接点をもつことで高い関係性(エンゲージメント)を獲得し、データと分析力を起点に事業を成長させるデータドリブンなブランドを指します。代表的なDNBとして、アパレルブランドの『Everlane』、スーツケースブランドの『Away』、アイウェアブランドの『Warby Parker』などがあります。DNBは、主なターゲット層をミレニアル世代以下とし、製品そのものの価値よりも、製品がもつ世界観に重きを置くことで、ユーザーの共感を得て、売上に結びつけていくことを特徴としています。

アパレル業界では近年、アパレル知識のないコミュニティや企業などが顧客との接点を増やし、エンゲージメントを向上させることを目的として衣服づくりを行う動きが加速してきました。一方で、これらの非アパレル事業者によるDNBは、衣服づくりを行う際にいくつかの課題に直面しています。最大の課題が、衣服づくりに関するノウハウが不足していることです。衣服づくりには、デザイナーやデザイン画を元に型紙をつくるパタンナー、資材メーカー、縫製工場など数多くの事業者が関与します。それら複数事業者のスケジュールを調整しながら衣服を生産するには専門のスキルや人脈が求められ、DNBは簡単には衣服づくりを行うことができません。

次に、販売スキームの欠如です。DNBは販売チャネルを持っていないことが多く、最適なECサイトを迅速に開設することや、効果的なマーケティング施策を実行することは困難です。最後に、在庫問題です。在庫リスクは事業者の利益に直結するため、売れるかどうか未知数の製品をつくることには、二の足を踏まざるを得ません。また、在庫管理や物流のノウハウを有していなければ、それらを外部業者に依頼することになり、更に利益が圧迫されます。以上の理由から、DNBが衣服づくりにチャレンジするには、大きなハードルがありました」

これらの課題に対する同社の回答が「sitateru SPEC」なのだ。デジタルネイティブのDNB向けに受注生産一体型ECパッケージとして在庫リスクなしで生産・販売から配送までワンストップで管理できる「sitateru SPEC」を通して、同社はECそしてDNBの新たな挑戦を力強く支援することになりそうだ。


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